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おかわり君

コラム 2014年12月8日
第6回女子野球W杯とホームラン

出でよ、女子野球界のおかわり君

サンマリンスタジアム宮崎で開かれた第6回女子野球W杯。両翼100m、中堅122m

 2013年3月14日のコラムで女子野球W杯で使われるIBAF公式球について考察したが、今大会におけるIBAF公式球はMIZUNO200からMIZUNO270に変更になっていた。
 
 先のコラムを書いた当時は「IBAF公式球=MIZUNO200=NPB統一球」だったが、ミズノ広報宣伝部によれば、MIZUNO270はNPB統一球とは仕様が異なるという。ではどんなふうに違うのか、前回のMIZUNO200とは何が違うのか、回答を求めたが、「お話できません」とのことで真相はわからなかった。

 NPB統一球は13年6月に、密かにボールのゴム芯の配合を変えて飛びやすくしていたことが発覚し、加藤良三NPBコミッショナーが辞任に追い込まれたが、その後も飛ぶ飛ばない論議が続き、品質も未だに安定していないようだ。

第6回W杯ではホームランが出なかった

 こうしたなか、MIZUNO270を使って行われた今回の女子野球W杯では、ホームランが一本も出なかった。ランニングホームランでさえも。つまりMIZUNO270は、スタンドに入ったものをふくめ6本のホームランが出たベネズエラ大会(10年)のMIZUNO150や、ランニングホームランが1本出たカナダ大会(12年)のMIZUNO200より飛びにくくなっていた可能性がある。データがもらえなかったので、あくまでも結果からの推測ではあるが。

 昔に比べ、女子の技術や体力は上がっている。それなのにそれと反比例するように下がっていくホームランの数。ホームランこそ野球の華なのに、女子の大会からそれを奪ってしまう女性不在の仕様変更は、いったいいつまで続くのだろう。

 最近つくづく思うのは、女子が使うボールやグラウンドサイズを男子と同じにするのは、やっぱり無理があるのではないかということだ。女子野球が今一つ魅力に欠けるといわれるのは、こうした華のなさが原因の一つであるのは確かだ。もちろん女子野球だってスタンドに入るホームランは何本も出ている。でもそんなことができるのは世界のトップクラスの選手か何人かの女子プロ野球選手ぐらいだ。一般人にはホームランは遠い夢にすぎない。

 もし飛ぶボールを使ったら…、もしホームランラインを縮めたら…、きっとW杯も今より打撃中心になって、外国チームがずっと優勝する時代が来るかもしれない。日本の戦い方も変わってくるだろう。それでもいいと私は思う。

 あなたも見たくないですか? 中村剛也みたいな女性ホームランバッターを(あ、ここ、あなたの好きなパワーヒッターの名前にかえてお読みください)。打席に立っただけで、「ここで一本、頼むよ~」と声をかけたくなるような選手を。

 だからやっぱり思うのだ。男目線で作られるボールやグラウンドサイズに振り回されることなく、女子の体力に見合ったものを研究し、女子用の基準を定めてほしいと。 
 実際に女子プロ野球ではわかさスタジアム京都に限り、両翼90メートルでラッキーゾーンを設け、ホームランを出やすくしている。

 今回のW杯の結果を踏まえ、IBAF内部でも、再び女子の体力に見合ったホームランラインを設けるべきではないかという声が出ているという。以前行われた協議では改革案は否決されたと聞いたが、さすがに今回はボールとグラウンドサイズの両方について真剣に議論してほしいと思う。

 出でよ、女子野球界のおかわり君!

スタンドに入るホームランを何本も打っているアメリカのタマラ・ホームス選手 女子選手の技術、体力は上がっている。写真は新宮有依選手
 

 

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