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セレクション

第11期女子野球日本代表セレクション、雑感

尚美学園大学のグラウンドで開催。テレビクルーの姿も。

約4人に1人が二次進出。悲喜こもごもの選考結果

 3月3、4日の2日間にわたって、埼玉県川越市の尚美学園大学で第5回女子野球ワールドカップに向けた第11期日本代表のセレクションが行われた。サッカーのなでしこ人気のせいか、今回はテレビ局の取材が3つ入っていると聞いたが、何台も並ぶカメラを見ながら、これを機に女子野球がもっと世の中の人に知られてほしいと思う。

 受験者数は過去最高。北は北海道から南は沖縄まで210人の選手がエントリーし、うち小学生は6人、中学生45人、高校生82人、大学(専門学校)生51人、社会人22人、その他4人。実際に参加したのは205人で、遠方に住む中学生や高校生は前日の金曜日から学校を休んで参加したり、期末試験と重なった選手は「帰ったら追試」態勢で参加するケースも少なくなかった。

 昨年の夏前に発表されていた第11期代表候補選手も改めて一から受験し直すことになり、ワールドカップを目指す全ての選手が尚美学園大学グラウンドに集結した。
「特にボーイズやリトルシニアといった中学硬式チームに所属する選手の受験が増えています」と日本女子野球協会の胡桃広伸副理事長は言う。かつては中学生でも代表の座を射止める選手がいたことと、数年先に目標を定め、今のうちに雰囲気に慣れておこうという思いがあったからではないだろうか。

 1日目は各選手が希望ポジションについてのシートノックと50m走、遠投、フリーバッティングが行われ、55名が2日目の二次選考へ。

白地にくっきりと赤い文字が。

 二次進出選手の名前を見ると、昨年代表候補になっていた受験者は全て順当に二次へ。とはいえ何人か受験しなかった選手もいて、たとえばアサヒトラストに所属していた宮崎恵選手(第10期代表)と松永美希選手は家庭の事情で故郷に帰ったと聞く。また大阪体育大学女子硬式野球部の半田渚(第9期代表)、神村学園高等部の森藤友綺、至学館大学女子硬式野球部の大澤靖子の各選手はプロ入りのため受験せず、マドンナ松山の宮本美奈子の各選手も、理由は把握していないが受験しなかった。
 わずかな期間に各選手を取り巻く状況が変わったことに驚くが、その分、他の選手にチャンスが増えたということもできるだろう。

 今回話題になったのは、前回の第10期トライアウトには参加しなかった片岡安祐美選手(第4~7期、第9期代表)の参加だ。片岡選手は昨年から各種メディアでトライアウト再挑戦の意志を表明し、ワールドカップ開催の告知に努めていただけに、この人が動くとやはりカメラが動く、ような気がする。

 高校生選手を見ると、こちらも有力選手は全員が二次に進出。しかし中学時代に有名だった選手が二次に進めなかったケースがいくつかあり、高校に入って伸び悩んでいるのか、トライアウトに向けてベストな状態にもっていくことができなかったのか、その理由はわからないが、次回はぜひリベンジしてほしいと思う。またトライアウト自体受けていない才能ある高校生がまだ全国に何人もいるので、高校生選手のこれからが楽しみだ。

試合形式の二次選考に臨む選手たち。

 中学生に目を向けると、東京都の鐘淵中学校野球部&軟式クラブチーム「鐘ヶ淵イーグルス」所属の泉由希菜選手と、同じく東京都の中学女子硬式クラブチーム「AFバイスブルーバッツ」所属の加川沙樹選手の2人が二次に進出したのが光る。

 泉選手は小学生のときから有名な選手で、「12球団ENEOS CUP ジュニアトーナメント」の東京ヤクルトスワローズジュニアに選ばれ、中学に進んでからは軟式チームの強肩捕手として活躍。試合中、弱気になったエース(男子)にツカツカと歩み寄って気合注入のビンタを張った逸話をもつツワモノで、その彼女が中学生の段階で二次進出というのは頼もしい。

 加川選手は11年春のヴィーナスリーグ・Uリーグでベストナインに選ばれた選手。小学生のとき東京都足立区の女子選抜チーム「足立フレンズ」で女子野球を始め、07年には「第3回東京都学童女子軟式野球交流大会」で全試合コールド勝ちで優勝。またIBA-boysのオーストラリア遠征にも参加してオーストラリアの男子小学生チーム相手に善戦したメンバーの一人でもある。まだ女子学童チームが珍しかった時代に頑張っていた選手が、今日本代表セレクションで好成績をおさめている。そういう時代になったのかと感慨深い。

二次通過者24人中16人が代表経験者

 さて4日の二次選考。55人を3つのグループに分け、試合形式で審査が行われた。一次をふくめ、選ぶのは新谷博代表監督、清水稔コーチ、前代表監督で日本女子野球協会理事長の大倉孝一さんだ。

白板に掲示されたチーム分け

 グラウンドを見てまず思ったのは、ここに日本のトップレベルの選手が集まっているということ。気合の投球でアピールする選手、なんとしても球に食らいつこうとするバッター、得意の足で魅せる選手。少しでも弱気や迷いを見せたら負ける、そんな気迫をどの選手からも感じた。
 日本代表選手を選ぶのだからそうでなくては困るのだが、誰もが口をそろえるように、トライアウトは回を追うごとにレベルアップしている。率直にいって今はもう中学生が合格するのは無理だし、高校生以上でもちょっと地元で有名ぐらいのレベルではなかなか合格できないだろう。高いレベルで切磋琢磨し、高い意識をもって精進する選手のみが選ばれる状況になってきていると感じる。

 代表候補に選ばれた選手は24人。うち16人が代表経験者というベテラン中心の選考になったが、その中で埼玉栄高校の小出加会、吉井萌美、蒲田女子高校の花ヶ崎衣利の3人の高校生投手と、企業チーム「アサヒトラスト」の有坂友理香投手が初選出にされたことに注目したい。

 右のサイドスローの小出選手、左投げの吉井選手は同校の二枚看板として活躍し、昨年11月の女子野球ジャパンカップの優勝にも貢献した。また浦安シニアや中学女子硬式チーム「LSレディース」で活動した花ヶ崎選手は蒲田女子高校のエースとして気を吐く選手だ。有坂選手は元々投手だったが、「アサヒトラスト」に入ってから捕手に転向。当時もトライアウトにチャレンジしたがかなわず、今回投手にもどって再挑戦し、初めて代表候補の座を手にした。彼ら4人の選出は次代を担う若手を育てる意味でも重要だ。

 内野手には九州ソフトボール界から矢野みなみ選手が選ばれた。残念ながら矢野選手の情報はもっていないが、ソフトボール界で活躍した選手とのこと。巧者ぞろいの内野手候補のなかでどこまで頑張れるか期待したい。

新谷監督(右)と大倉前監督(左)。

 トライアウト初挑戦ながら代表候補の座を手にしたクラブチーム「侍」の直井友紀選手は、本来の捕手ではなく外野手での選出。埼玉栄高校時代から負けず嫌いな性格で知られたが、トライアウトでもあの寒空の下、一人半袖で元気にプレーしていてびっくり。パワフルな打撃とともにそのガッツも評価されたのか?

 第5回女子野球ワールドカップは8月10~19日、カナダのエドモントンで開かれる。各国の打撃力が増すなか、新谷監督はどんなチームを作り上げるのか。日本女子野球協会ではプロ野球選手の招聘も視野に入れているというから、まだまだメンバーは入れ替わる可能性があるが、ぜひ最強のチームを作り上げて三連覇を達成してほしい。

 

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