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全国の「女子交流会」を紹介

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「楽しい」がいっぱい! 全国の「女子交流会」を紹介

埼玉県の交流大会。開会式はフラワースタジアム

「普段試合に出られない選手にも出場の機会を」「野球を楽しんでほしい」「野球を諦めないでほしい」という指導者たちの思いから始まった全国の女子交流(大)会。勝ち負けよりも参加することに意義があり、会によってはプラスアルファのお楽しみ企画もあるから、参加した子どもたちは本当に楽しそうだ。
 女子野球の底辺拡大にひと役かっている、全国の交流会を紹介しよう。

330人の小学生が参加した埼玉県の交流大会

 11月23日、埼玉県鴻巣市で開催された「第7回 埼玉県スポーツ少年団女子団員軟式野球交流大会」に行って来た。埼玉県のスポーツ少年団所属の女子選手(4~6年生)が参加する、05年創設の全国で一番歴史のある交流会だ。
 

朝早くから続々と集まる参加者や保護者たち

 開会式の会場は映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の撮影に使われたというフラワースタジアム。さすがロケ地に選ばれただけあって、グラウンドも電光掲示板もトイレも、とてもきれいだ。 

 
 開会式は9時からだというのに、8時にはもう選手や保護者、グランドコートに身に包んだ指導者でごった返している。
 今年の参加者は330人。埼玉県西部、東部、中央などのブロック内でチームをいくつか作り、ブロックが違う3チームを一組として1チームあたり2試合を行う。会場はフラワースタジアムをふくめ、全部で7つ使用する。

 この大会を作った埼玉県スポーツ指導者協議会の吉田敏雄会長は、創設の理由をこう語る。
「スポーツ少年団の目標の一つに女子団員の拡大というのがあるのですが、どうやったら増やせるだろうと考えたとき、がんばれば大きな大会に出られるという目標を作ったらいいんじゃないかと思ったんです。それがこの大会です。おかげさまで女子の数は年々増加しています。今日はとにかく楽しんで帰ってほしいですね」

 面白いのは選手1人につき2枚の年賀はがきが配られること。自分の住所と名前を書いて対戦相手と交換し、メッセージを書いて年末に発送すれば、お互いに交換した相手から年賀状が届くという寸法。友達作りの一助にという主催者からのささやかなプレゼントだ。

年賀はがきは対戦相手と交換

 また運営に埼玉栄女子硬式野球部員が参加するのも特徴の一つ。開会式後は高校生たちが参加者の前で練習を披露し、そのあと各チームに2人ずつ高校生が入ってアップの手伝いや試合の盛り上げ役を務めるのだ。大会関係者に同校女子野球部員の保護者がいた縁で、第2回大会から行っているという。
「うちの生徒たちにとって、この経験が将来必ず何かしらのかたちで生きてくると思います」と同校の斉藤賢明監督。

 では早速参加者にインタビュー。まずはスタンドで高校生のキャッチボールやノックを見ていた選手たちに突撃。
――この大会は楽しみだった?
「いつもは試合に出られないから楽しみ。女子だけだから楽しい」(2回目参加の6年生)
「いつもレフトだから、希望のポジションが言えてうれしい」(2回目参加の6年生)
「楽しみ。行ってアピールしてこいって監督に言われました(笑)」(初めて参加の5年生)
「年賀状が届くとうれしい。文章読むと、ああ、あの時のって思い出す」(2回目参加の5年生)
「友達? 自分から積極的に話しかけちゃうからすぐできる」(2回目参加の6年生)

埼玉栄の選手は2人一組でチームに配属される

 そうかそうか、あなたたちは活発そうなお嬢さんだもんね。
 そこで一人ぽつんと座っている選手にも声をかけてみた。野球を始めたばかりという4年生だ。
――試合には出たことある?
「初めて…」
――じゃ、今日の大会は楽しみだった?
「心配…」
――なんで?
「うまくできるかとか…」
――きっと大丈夫だよ。
(恥ずかしそうにコクンとうなずく)
――埼玉栄のお姉さんたちのプレーを見てどう思う?
(パッと顔を輝かせて)「ちゃんと捕れてる。声出してる」
――高校生になっても野球やりたい?
(笑顔で首をかしげながら)「わからない」
 こんな遠慮がちな選手でも試合に出られるのが交流会のいいところ。

行くぞ!!

 保護者たちからは「女の子だけのほうが生き生きしている」「ポジション? どこでもやるって言って張り切ってますよ」「これからはプロもありますからね。やりたければやらせてやりたい」などという声が。

 指導者たちにも好評だ。
「女の子が男子に負けないようにプレーできるこういう大会はありがたいと思ってやっています」「年に1度のイベントですから、いい思い出を作って楽しんでほしいですね。もちろん全員試合に出します」

 順位はつかなくても試合はどれも真剣勝負。ベンチからもスタンドからも「ボール捕ったら一つ深呼吸しなさい」「あわてなくていいから、ちゃんとボール見て」とたくさんの声援が飛ぶ。どちらのチームも2ケタ得点なんて試合もあったけれど、子どもたちはみんな一生懸命プレーしていた。

高校生も指導者も、みんなで選手を盛り上げる

 そうそう、ベンチに入って応援していた埼玉栄の選手からもひと言。
「緊張してます」
 つい10日ほど前、「第1回女子野球ジャパンカップ」で同校が優勝したときの“日本一”のメンバーも、初めは表情が固かったのが微笑ましい。
 でも、「いやいや、高校生たちはすごいですよ。あっという間に子どもたちをまとめますから。帰りは子どもたちが高校生の腕にぶら下って『帰らないで』なんていう光景もよく見られますよ」と吉田会長。

 野球をがんばればこんなふうになれるという良い見本となった高校生たち。子どもたちにとって試合経験を積むと同時に将来の展望も得られる貴重な場となった。

札幌と苫小牧で行われている北海道の交流会

 北海道は全国でも有数の女子野球が盛んな土地。その理由の一つに、北海道女子軟式野球連盟が若い人への野球の普及に力を入れていることがあげられる。06年には小学生への普及活動が評価されて、同連盟が第3回Yahoo! JAPANスポーツ応援プロジェクトの賞を受賞したほどだ。

写真提供/北海道女子軟式野球連盟

 ではまず札幌市の「ガールズベースボールフェスティバル」(毎年7月開催)から紹介しよう。
 09年に始まったこの大会は、連盟所属の女子クラブチームの若手の育成試合と、札幌市の少年野球チーム所属の6年生による交流試合、それに8月の全国大会(軟式)に行くチームの壮行試合の3部構成になっている。
「小学生たちに私たちクラブチームの若手選手を見てもらって、これなら私もできるかも~なんて気持ちになったところで自分たちの試合を楽しんでもらい、最後に全国レベルの選手を見てもらって、こんな選手になりたいという憧れをもってもらえるように構成しました」(大会事務局)

 
 小学生の交流試合には毎年25人ほどが参加。
「チーム分けは事前にいつもの守備位置を聞いて行いますが、当日になるとけっこう適当で、本人の希望を聞きながら好きな守備位置に入ってもらっています。バッターボックスには全員が立てるようにして、あとはとにかく私たちがめちゃくちゃ盛り上げて、サインもなくイケイケ状態です(笑)。途中からは、ピッチャーやりたい人、手あげて~って感じでピッチャーを決めています」

写真提供/北海道女子軟式野球連盟

 その楽しさは伝説? になるほど。少年野球チームの先輩から話を聞いた6年生が、出たくて出たくて、所属チームの試合の後に駆けつけることもあるとか。おかげで毎年何人かの子どもたちがクラブチームに入団するという。

 苫小牧市の「女子軟式野球交流会」(07年創設。毎年11月開催)は連盟所属の苫小牧ガイラルディアの単独主催。札幌の交流会とは一味違った楽しい企画満載の会だ。

プレゼントは何かな? 写真提供/苫小牧ガイラルディア

「胆振地区や日高地区など、道南の小中学生やソフトボール部所属の高校生に声をかけて開催しています。今年は地元の新聞にも広告を出しました。女子でも野球を諦めないでほしい、続ける環境があるんだよということを知ってほしい」と事務局の大滝裕生雄さん。

 11年の参加者は約30人。午前中はスピードガンコンテスト、ベースランニング競争などを行って交流を深め、午後からは小学生、中学生、高校生、社会人の4チームに分かれて試合を行った。

 成績優秀者への賞品には兵庫スイングスマイリーズのグッズも! 日本女子プロ野球機構の片桐諭代表からプレゼントされたものだそうだ。

写真提供/苫小牧ガイラルディア
 

新潟の「BBガールズ フレンドシップマッチ」

写真提供/BBガールズ普及委員会

 08年スタートのこの小学生の交流大会(4~6年生対象。毎年8月開催)が、現在ものすごい勢いで発展している新潟女子野球の原点だ。つまりこの大会ができたことによって野球を続けたい少女が増え、彼らの受け皿になる女子クラブチームが生まれたのだ。

写真提供/BBガールズ普及委員会

 
 大会の概要や主催者のBBガールズ普及委員会については別コラムでも紹介したので詳細は省くが、
「普段男子の中で全力で野球をやっている女子選手たちが、1年に一度だけ集まって野球をする。そこでライバルをみつけたり、目標をみつけたり、仲間をみつけたり! そんな時間にしてもらいたいと思っています」(BBガールズ普及委員会、頓所理加代表)

 毎年、会のブログや県内の新聞やテレビを通して開催の告知と募集を行っている。11年は37人が集まり、3チームに分かれて試合を行った。

九州の小中学生の交流会

 11年8月に各県選抜チームによる地方大会が開かれた九州。しかし10年までは女子野球環境はごく限られたものだった。

 そんな夜明け前? の九州で09年に開催されたのが熊本県と福岡県の小中学生の交流会。正確にいうと熊本県の小中学生クラブチームの暴れん坊ガールズ(上坂智代表)対、福岡県の指導者・中野満義さん率いる福岡県や近県の連合チームの交流戦で、以来毎年2月ごろ開催され、小学生と中学生の試合がそれぞれ行われている。

写真提供/暴れん坊ガールズ

 中野さんのお嬢さんで日本代表(第7~10期)の菜摘さんがかつて神村学園に在籍したことから、同校女子硬式野球部による野球教室も開かれている。11年からは同じく中野さん率いる塁ベースボールクラブ(一般クラブチーム)と神村学園とのエキシビションマッチも行われており、子どもたちにとっては自分たちの試合もさることながら、高校チームやクラブチームという、「これから先」の野球生活をイメージできる格好の機会ともなっている。

「百聞は一見にしかずといいますか、毎年『中学でも野球を続ける』『私も神村に行く』と言う選手が続出します。子どもたちに目標をもたせ、意欲を高める意味で、同じ気持ちをもつ選手と試合をしたり、神村やクラブチームの選手と交流することは有意義なのではないでしょうか」(中野さん)
 
 夏の大会以来、九州各県で女子野球が盛んになっていることを背景に、今後は参加チームや内容に、うれしい変更が出てくるかもしれない。

写真提供/暴れん坊ガールズ

●2014年から規模が拡大し、小中高校生対象のお楽しみイベントと、日にちをかえた熊本vs福岡近県の交流試合&神村学園による野球教室という構成になった。
               ☆  ☆  ☆

 さて、「楽しい」が溢れる5つの交流(大)会、いかがだったろうか。勝ち負け抜きのこんな交流会が子どもたちの夢を育み、未来へ誘うのだと改めて思う。なかなか女子野球の火がつかない地域は特に、一度「女子交流会」を企画してみることをおすすめする。

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