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小中学生の九州大会に行ってきました

特集 

小中学生の九州大会に行ってきました

中学生の1回戦は山鹿市民球場で

軟式野球連盟が単独で主催する、日本初の地方大会

「いつか九州で各県選抜による女子大会を開きたい」
 そう聞いたのは2009年のことだった。熊本市の小学校教諭で、女子小中学生チーム「暴れん坊ガールズ」(06年結成)代表の上坂智さんからだ。

ご存知、熊本城

 その上坂さんから女子大会開催決定の報が入ったのは10年のこと。全日本軟式野球連盟九州連合会主催で行われる予定だという。しかもできれば各県選抜チームやクラブチームによる県対抗戦にしたいのだとか。

 全軟連九州連合会主催の県対抗戦? すごい! 

 関東には「NPB CUP 関東女子交流大会」、関西には「近畿少年軟式野球大会 女子学童交流大会」という、各県の軟式野球連盟が代表チームを出す大会はあるが、軟式野球連盟が単独で主催するものではない。また女子大会のほとんどは女子野球団体や指導者有志の手作り大会だ。

 うれしかった。九州の人たちって、なんて女子の活動に理解があるんだろう! それに全軟連の主催となれば地域レベルで女子野球が浸透するし、各チームの指導者たちは選手を選抜チームに出しやすくなる。また有志の大会のように一個人の都合によって簡単に大会が消滅するような事態は避けられる…。

 とはいえ大会事務局の責任者となった上坂さんは、そりゃあ大変だったらしい。無理もない、県内を取りまとめるだけでも大変なのに、他県の関係者までまとめなければならないのだから。

豪雨の中の開会式

 それでも県内外に支えてくれるたくさんの人たちがいて、2011年8月26日16時、無事「全日本女子軟式野球 九州大会」開会式を迎えることができた。式には忙しいスケジュールの合間を縫って熊本市出身の片岡安祐美さんも駆けつけた。
 残念ながら参加できない県が出てきてしまったので九州連合会の主催ではなく、熊本県軟連の主催になってしまったが、日本初の軟式野球連盟単独主催による女子の地方大会に変わりはない。

片岡安祐美さんはスピーチと始球式を

 あいにく式が始まる直前に豪雨となり、その中での選手入場、来賓挨拶、始球式となったが、選手も大人も元気に式を遂行したのは立派だった。

「記録より記憶に残る開会式になりました」
 と言ったのは誰だったか。

県の威信をかけた対戦。各県メディアも取材に

 試合は翌27日から28日。うって変わって晴天。ジリジリと肌が焼ける音が聞こえるような炎天下、小学生の部は水前寺野球場と飽田公園グラウンドに分かれて計5試合、中学生の部は山鹿市民球場で3試合が行われた。各県のテレビクルーや新聞記者の姿も見える。

延岡対嬉野・太良選抜。延岡の攻撃

 エントリーしたのは
<小学生の部> 
熊本県…熊本県選抜AとB
福岡県…福岡選抜
佐賀県…伊万里Bガールズ、嬉野・太良選抜
大分県…オール大分ガールズ
宮崎県…宮崎スマイルガールズ、延岡選抜
沖縄県…美ら(ちゅら)沖縄

<中学生の部>
熊本県…熊本県選抜AとB
福岡県…福岡選抜
佐賀県…佐賀県選抜
大分県…オール大分ガールズ

中学生の熊本Aと佐賀の対決。佐賀の攻撃

 試合は半分も見られなかったが、率直な感想として、小中学生とも九州大会のレベルは高いと思った。選抜チームということもあるが、小学生でもしっかりバットが振れている選手が何人もいたし、普通のチームでもエース級というピッチャーがゴロゴロ。磨けば光る選手がたくさんいて、感心しながら観戦した。

 特に熊本県選抜Aのエース(中学生)が重くて速い球をビシビシ投げ込む姿、福岡選抜の中学生たちの身体能力の高さが印象に残る。また3~6年生まで市内全ての女子選手を集めてきたという延岡ガールズの粒がそろっていたことにも驚いた。まだ線は細いが、一つの市内であれだけいい選手がそろうなんて、今年の延岡はすごい。

トルネード?投法の福岡(学童)エース 延岡の主将 福岡(中学)のショート 熊本A(学童)のエース

27日の結果は以下のとおり。

<小学生の部>
福岡選抜 7-0 伊万里Bガールズ  熊本県選抜A 11ー1 宮崎スマイルガールズ
延岡ガールズ 10-5 美ら沖縄  嬉野・太良選抜 10-7 オール大分ガールズ
延岡ガールズ 11-10 熊本県選抜B(サドン)
<中学生の部>
福岡選抜 7-1 熊本県選抜B  
福岡選抜 7-3 オール大分ガールズ  佐賀県選抜 6-5 熊本県選抜A(サドン)

小学生の決勝は熊本Aが延岡を圧倒

 28日は水前寺野球場で準決勝と決勝。小学生の部では、朝イチで福岡選抜に競り勝った熊本県選抜A(全員6年生)と、嬉野・太良選抜を下して勝ち上がってきた延岡ガールズの対戦となったが、熊本県選抜Aが投打に圧倒的なパワーを見せて優勝した。
 中学生の部の決勝は福岡選抜対佐賀県選抜。試合は4回に連打と敵失で一挙4点を奪うなど終始福岡優勢で進み、7対2で福岡選抜が優勝した。

28日の結果

<小学生の部>
熊本県選抜A 5-3 福岡選抜  延岡ガールズ 9ー5 嬉野・太良選抜
熊本県選抜A 12-0 延岡ガールズ  
<中学生の部>
福岡選抜 7-2 佐賀県選抜

熊本Aにサドンで勝って喜ぶ佐賀(中学生) 大分の中学生は中学野球部員が主

県によって異なるチーム作り

 各県はどんな方法でチームを作ったのだろう。 
(他の競技を行う選手の参加は認めるが、硬式野球選手の参加は認めない、というのが参加規定)

中学生の熊本A

 まず熊本県は1月から3月まで時間をかけてセレクションを実施。大会が8月下旬のため中学3年生は受験勉強と重なるとあって、最後は保護者の面接まで行って選抜した。
 大分県は地元メディアや中体連を通して選手を公募。3月末にセレクションを行い、4月から月2回、日曜の午後に練習を重ねた。
 宮崎県と佐賀県は支部または地域のチームがリーグ戦を行い、勝った2チームが出場。佐賀県は5月から、宮崎県は6月から本格的な練習に入った。
 福岡県は6月に小中学生とも中野満義監督が県内の優れた選手をピックアップ。
 

美ら沖縄

 厳しかったのは沖縄県だ。他の県軟連が早々にチーム作りに入ったのに対し、沖縄県軟連はなぜか不参加を表明。
 そのため、なんとか子どもたちの夢をかなえたいと「女子野球チャレンジ」というイベントを行ってチーム作りをしていた仲本裕樹さん(「野球っ子応援会」代表)は、何度も連盟に頭を下げ、7月上旬にやっと参加許可をもらったのだ。
「許可が下りたときはホント、涙が出そうでした」(仲本さん)

 女子野球に対する情熱も取り組み方も各県それぞれで、まだ参加できない県もあるとはいえ、軟式野球連盟の努力で大規模な地方大会が開かれた意義は大きい。
 佐賀県や大分県の県軟連は「これを機に女子の育成に力を入れる」と明言し、熊本県選抜は県内の一般の少年野球大会に招待されるようになったという。沖縄県では仲本さんが引き続き女子選手の育成に努力している。

写真の佐賀県のように、トレーナー帯同の県も

 今後九州、沖縄は女子野球のホットエリアになるだろう。
 ある高校女子野球関係者は、
「関東は大会が多いから選手が試合慣れしている。他の地方との差は大きい」
 と言ったが、小学校時代から軟式野球連盟が人材育成に取り組む今の九州、沖縄の姿を見れば、その認識は大きく変わってくるだろう。

 子どもたちもたくさんのことを経験したに違いない。
「こんなに女子(選手)がいるなんてびっくりした」
「(相手チームが)んー、ちょっとすごいって思った」
「負けて悔しかった」
 中学生チームも参加したある県の小学生は、
「中学生がやさしくて楽しかった」
 と笑顔を見せた。

 
 勝負の哀歓を味わっただけでなく、たくさん友達を作り、世の中の広さをちょっぴり知ったこの夏。子どもたちはこの経験を糧に大きく成長していくことだろう。
 保護者のみなさんもお疲れさまでした!

 来年は今回参加できなかった長崎県や鹿児島県が参加し、中学生大会の参加チームも増えて、大会がさらに充実することを心から願っている。 

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