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関東(東京都以外)の女子野球事情(U18)

関東(東京都以外)の女子野球事情

※2010年に『HIT&RUN』(ベースボール・マガジン社)に掲載された記事を再構成しました。数字は09年当時のものです。

千葉県少女大会(09年)

女子思いの指導者が多い土地

 関東はなんで女子野球が盛んなのだろう。
「一番大きな理由は女子選手自身にどうして女子が野球をやっちゃいけないの? という意識が強かったから。指導者のほうが背中を押されるかたちでチームができていったのです」
 と関東女子軟式野球連盟の川越宗重会長は言う。もしかしたら65年から始まったジャイアンツV9に熱狂した少女たちの夢が次世代に受け継がれ、88年の関女連結成につながったのかもしれない。

 川越会長の記憶によると、70年代後半には小中学生のチームが東京、神奈川、群馬、千葉に10以上あり、お互いに交流戦を重ねていたという。  
 その後、生まれたり消えたりしながら、現在、東京都を除く関東のクラブチームは千葉県に2つ、埼玉県に2つ、神奈川県に1つ、選抜チームは17ある(※東京都の情報はコラム別項を参照)。

茨城クイーン(選抜)(千葉県少女大会にて、09年)

 
 選抜チームは皆目的の大会があって結成されるが、その内容は様々で、大会当日限りのチームもあれば、何カ月もかけて練習を重ね、複数の大会に参加するチームもある。どちらが強いかは言うまでもないが、最近後者のようなプレーの質を重視したチームが増えてきたように感じる。それは女子野球日本代表や女子プロ野球など女子の頂点ができたせいで、選手や指導者の意識が変わってきたからかもしれない。

歴史ある大会が多い関東

 関東には女子大会も多い。関女連では88年の連盟結成と同時に小学生大会を作り、02年には小中混成大会に変わり、07年からは中学生大会へと移行し、そのつど関東の小中学生に活躍の場を提供してきた。

 また「IBA-boys 関東学童女子選抜大会」(2008年から関東甲信越大会に)も、1996年から関東の多くの小学生チームの目標となってきた。千葉県の指導者有志の手作り大会「千葉県少女大会」も9回目を迎え、09年からは県外のチームも受け入れるなど、交流に広がりを見せている。

 女子硬式チームの多い埼玉県では、埼玉栄女子硬式野球部の協力のもと、県のスポーツ少年団が、所属するすべての女子に呼びかけて大規模な交流大会を開いている。決勝が西武ドームで行われるので人気の関東大会「NPB CUP」も、「将来母親になる子供たちに野球の楽しさを」をテーマに、今後女子大会も充実させる方向だ。

川崎市内の大会にて、09年 川崎市内の大会にて

 そんななか、昨年からちょっと驚くような大会を開いているのが神奈川県川﨑市。市の公式戦の一つに女子大会を設けて、7区あるうちの6区がチームを作って出場しているのだ。こんなぜいたくができるのは各区20~30人の女子がいるという川﨑市ならばこそだろう。

川崎市内の大会にて、09年

「全員参加が目標です。女子も見る野球じゃなくて参加する野球に」
 と指導者たちはニコニコするが、実際に試合に出られるとわかったとたん選手たちのモチベーションが上がり、野球をやめるのを思いとどまったり、ふだんは控えの選手が素晴らしいプレーを見せることもあるという。市ぐるみで女子を応援するこの大会は本当に貴重だ。

 大会は選手を育て、指導者を育てる。関東の真の強みは、長い歴史を経るうちに、女子選手の気持ちに本気で向き合う指導者がたくさん生まれたところにあるのではないだろうか。

●千葉県少女大会は2010年の大会をもってひとまず10年の幕を下ろした。
●関女連の中学生大会は2010年に中高生大会へと発展的解消をした。
●川崎市内の女子大会は、2011年に7区全部のエントリーが実現した。

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