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高校硬式チームの創部ラッシュで、女子野球地図はどう変わる?

高校硬式チームの創部ラッシュで女子野球地図はどう変わる?

京都両洋高校の女子専用グラウンド

5県7チームから7県10チーム体制になる高校硬式野球界

 2011年も終盤になってうれしいニュースが飛び込んできた。至学館高校(愛知県名古屋市)と開志学園高校(新潟県新潟市)に女子硬式野球部ができるのだという(至学館高校はまずは同好会からのスタート)。
 12年春に創部予定の高校としては、早くから名乗りを上げていた京都両洋高校があるが、ここへきてまさかの2校連続エントリー。つまり来春には高校女子硬式野球チームが新たに3つもできるのだ。

 現在女子硬式野球部をもつのは埼玉県(埼玉栄高校、花咲徳栄高校)、東京都(駒沢学園女子高校、蒲田女子高校)、京都府(福知山成美高校)、和歌山県(国際開洋第二高校)、鹿児島県(神村学園高等部)の5県7校。1997年から2000年にかけて神村学園、埼玉栄、花咲徳栄、駒沢女子、蒲田女子に硬式野球部ができて以来、約10年間、どこも後に続かなかったことを思えば、現在の状況は、まさに創部ラッシュといっていいだろう。

 なぜ女子硬式野球部を作る学校が増えたのか。それはやはり女子野球の認知度が上がって高校以降も野球を続けたいという女子が増えたからだろう。なかには少子化を背景に生徒集めの目玉を作りたいからだろうと言う人もいるが、理由はどうあれ、しっかりした体制を作って高校生を指導してくれるのなら大歓迎だ。

 では硬式野球部ができることで、各地の女子野球地図はどう変わるのだろうか。

硬式と軟式、2つの選択肢ができる愛知県と新潟県

 まず愛知県。ここは愛知アドバンスやエイムワンなどの一般軟式クラブチームが2011年現在6つあり、大学軟式チームも7つあるなど、全国でも有数の軟式野球王国。その一方で硬式チームは大学に1つしかなく、硬軟のバランスは非常に偏っていた。また中学生チームがないなど、次代を担う若い世代の育成も課題だった。

 しかし10年、硬式クラブチーム「ASCA」が誕生し、中学3年になれば硬式野球をする道が開けた。そして今回の至学館高校硬式チームの誕生。これによって愛知県の硬式野球環境は大きく前進するだろう。
 至学館高校は系列の大学に、硬式と軟式2つの女子野球部をもつ至学館大学(旧・中京女子大学)があるのが強み。希望すれば高校、大学と野球を続けることができるのだから、野球少女にとっては見逃せない話だ。大学に続いて高校野球部がしっかり根付けば、東海地方の女子野球の柱になる可能性もある。

 余談ながら、中学生選手の増加を背景に女子軟式野球界の雄、愛知アドバンスにジュニアチームができたこともお知らせしたい。近くに中高生チームがないので関西女子野球ジュニアリーグに参加しているが、若いチームの誕生で愛知県の軟式野球界は活気づいている。今後しばらく、硬式は至学館高校が、軟式は愛知アドバンスジュニアが18歳以下世代を引っ張っていくだろう。

 新潟県の女子野球地図も急速に変化、発展している。
 08年以降、BBガールズ普及委員会が「BBガールズ フレンドシップマッチ」を通して小学生たちに女子野球の楽しさを教えたのが第一段階だとすれば、その子たちが中学生になって一般軟式クラブチーム「NLライズ」(10年創部)や「中越フェニックス」(11年創部)に入部し、中学以降の軟式野球環境を整えつつあるのが第二段階。そして開志学園高校に女子硬式野球部ができれば、新潟県の高校生にとっては硬式軟式、両方の野球環境がそろうことになる。それが第三段階だ。

福井ダイヤモンドガールズのエース(中2)

 原動力となったのはBBガールズ普及委員会の頓所理加代表や会の皆さんの熱意。
「野球をやりたくて他府県に野球留学するのもいいけれど、やっぱり地元で野球を続けられるのが一番。私たちはそんな環境を作りたいんです」(頓所代表)。

 開志学園高校の動きは北陸全体にも影響を及ぼす可能性がある。まだあまり知られていないが、実は北陸は今や女子野球界の台風の目になっており、たとえば福井県の中学軟式チーム「ダイヤモンドガールズ」は、11年、全日本女子軟式野球連盟主催の中高生の全国大会で準優勝し、富山県の中高生軟式チーム「ビーンズ」も同大会で3位に入賞している。

打撃力に優れたビーンズ

 石川県を除く新潟、富山、福井の日本海ラインは着々と実力と実績を積み、中高生の勢力図を塗り変えつつあるのだ。

 彼らのうち、高校でも野球を続けたい選手の目は他府県に向けられることが多かったが、新潟に硬式チームができれば、その目が北陸に向くことも考えられる。開志学園高校には、ぜひ良い指導者を招いて北陸の発展に努めてほしい。

硬式野球が拡大する京都。そして宮城にも新しい動きが

福知山成美高校

 京都両洋高校のある京都府はどうだろう。ここはすでに福知山成美高校に女子硬式野球部があり、数少ない近畿の硬式野球部として人気を集めている。京都両洋高校はこうした状況を踏まえたうえで高校硬式野球界に参入するわけだが、部の立ち上げを表明して以来、問い合わせが引きもきらないという。それだけ京都の硬式野球人気は高く、これから益々硬式野球が盛んになることが予想される。 
 また日本女子プロ野球機構が12年4月に京都アストドリームスのユースチーム(中高生対象)を立ち上げるので、京都の硬式野球環境はさらに良くなるだろう。

 
 ただ気になるのが軟式の中高生チームがないところ。京都はなぜか夏に学童選抜チームが作られるだけで、中学、高校チームはもちろん、一般のクラブチームもないのだ。野球は硬式ばかりではない。軟式をやりたい人の受け皿がないというのはちょっと残念だ。関西女子野球連盟がシステムのしっかりしたジュニア大会を作っているので、京都の皆さん、ぜひ軟式野球チームの創部をご検討ください。

 最後に東日本大震災で被災した宮城県の情報をお届けしよう。ここに今、女子硬式野球部を作る動きがあるという。が、その話に入る前に、宮城県の中高生の女子野球事情についてちょっと触れたい。

 仙台市には活発に活動する中学軟式チーム「宮城ドリームガールズ」があり、10年には関東で行われたKボールの全国大会で優勝し、11年も関東で行われる各種中高生大会に出場することになっていた。
 ところがあの震災で、一時は選手との連絡が途絶。チームの存続も危ぶまれたというが、後に選手全員の無事が確認され、チームは見事に復活した。被災後5カ月たった8月には、関東で行われたKボールの全国大会に参加し、関東女子軟式野球連盟の秋季中高生大会にも復帰している。

「震災でやる気をなくしたんじゃなくて、逆にみんな、野球やろうよっていって盛り上がっているんですよ」
 という堀江雄一監督の言葉が頼もしい。

画像の説明

 その堀江監督から、被災した宮城県のある市の高校に、女子硬式野球部を作りたいといって動いている人がいると聞いた。まだどうなるかわからない状況だけに校名の公表は控えさせていただくが、実現したらこんなにうれしいことはない。

 女子中高生チームの活躍が復興の象徴となり、東北に女子硬式野球の火が灯る日が来ることを信じている。

●残念ながら国際開洋第二高校は2012年3月をもって休校となり、女子硬式野球部も休部となった。

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