女子野球情報 

13年8月

硬式の「ユース選手権大会」でチームトクハルが日本一に(2013年8月27日)

 今年で4回目となる18歳以下の全国大会「全国女子硬式野球ユース選手権大会」が8月19~25日に行われ、初参加7チームをふくむ史上最多の28チームが熱戦を繰り広げた。

決勝戦は雨のち曇り

 今年の目玉はなんといっても決勝と3位決定戦が神宮球場で行われたこと。女子にも神宮という大舞台で試合をさせてあげたいという関係者の熱意が実ったもので、実際にベスト4に残れば神宮に行けるとあって、みんな目の色を変えて戦ったという。

 なかでも特筆すべきは共に今春創部したばかりの高校1年生チーム、京都外大西高校と開志学園高校(新潟)の活躍だ。京都外大西はベスト8まで勝ち上がり、開志学園高校は準決勝に駒を進めて神宮球場で福知山成美高校と3位決定戦を戦った。結果は8-0の5回コールド負けだったが、創部わずか4カ月でのベスト4は快挙だ。

ベスト8に進出した京都外大西。写真はベスト18に選ばれた二塁手、大橋未来選手 全員野球でベスト4に輝いた開志学園高校(左右の写真とも於・田ヶ谷サン・スポーツランド球場)

 一方決勝は蒲田女子高校対チームトクハルの対決に。チームトクハルは花咲徳栄高校の3年生チームで、彼女たちの多くは昨夏、今春と、高校の全国大会で同校が優勝したときのメンバー。同校は今夏も全国優勝を目指したが、準々決勝で埼玉栄高校に破れ、無冠に終わっている。
 

神宮で女子の公式戦が開かれるのは初めて。マウンドは花ヶ崎投手

 蒲田女子高校は第11期日本代表候補になった花ヶ崎衣利投手をはじめ、学校史上最強ともいわれるメンバーで今年の春夏連続で全国大会決勝に進出。しかし春は花咲徳栄に、夏は埼玉栄に破れて全国制覇の夢はかなわなかった。
 
 そんな両校の3年生たちにとって、この大会は絶対に勝ちたい大会だ。

 11時プレーボール。マウンドに立った蒲田のエース・花ヶ崎は6回までトクハル打線をわずか2安打に抑える気迫溢れるピッチング。対するトクハルは前日完投したエース・落合香菜子を温存し、御山(みやま)真悠が先発。

 3回、蒲田は一番・笹生なつみの二塁打などで1死一、三塁とすると、四番・甲斐綾乃が左前適時打を放って1点先制。しかし4回からマウンドを引き継いだ落合が春の優勝投手の貫禄を見せ、毎回のように打者三人に打ち取るピッチング。蒲田に傾いた流れを引きもどす。

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トクハル0000001012
蒲田女子0010000001

 そして7回、トクハルはその落合自身が打った二塁打を足がかりに1点を返して延長戦に持ち込むと、9回、四番・金久保夏生の二塁打から1点を追加して勝ち越しに成功。その裏、蒲田は花ヶ崎が左前安打を放って意地を見せたが、後が続かなかった。

 チームトクハル(花咲徳栄高校)の阿部清一監督は、

阿部監督

「うちの3年生は例年夏の全国大会で引退するので、このユース選手権は普通なら楽しんで参加する大会でした。でも今年は夏に結果を出せなくて悔しい思いをしたので、みんな『このままでは終われない』と思ったんでしょうね、練習もそれまでどおり行って試合に臨みました。結果が出せてよかったです」
 と笑顔を見せる。

 ところで神宮で優勝したお気持ちは?
「うれしいですねえ。実は私、帝京高校時代にここで勝って甲子園(1983年、第55回記念選抜高校野球大会)に出たんですよ。それだけ強い思いがあるし、思い出もいっぱいある球場なので、本当にうれしいです」

 野球への情熱を神宮で燃やした高校球児が、30年後、その思い出の球場で女子高校生たちと再び優勝旗を手にしようとは。神様も粋な計らいをするものだ。
 
 オーロラビジョンに次々と映し出される女子チームの名前を見上げながら、たくさんの人々が様々な思いを馳せた大会だった。

歓喜するチームトクハルの選手たち ユースの決勝は今後も神宮で開催予定 

U18香港代表
「Hong Kong Youth Development Team」

 09年以来始まった香港と花咲徳栄高校、平成国際大学の交流をもとに、今年初めて香港棒球協会が結成し派遣した18歳以下の香港代表チーム。10年の第1回大会では日本から招待された3選手が日本との混成チーム「メタルテック香港」で優勝を手にしたが、3年後の今年はチーム編成も遠征費の調達も全て協会が行って参加した。
「日本選手の野球を一生懸命やる姿、球場に入るときは帽子をとるというようなマナーがとても新鮮で勉強になりました。花咲徳栄高校といっしょに練習もできて、とてもいい交流ができました」と羅嘉敏(ローカーマン)選手は話してくれた。

約1週間滞在した香港チーム。香港では「フェニックスカップ」という女子の国際大会が開かれている

※大会の結果はこちら → 

※各章受賞選手はこちら → 


「NPBガールズトーナメント」、初代王者はオール愛知ガールズ(2013年8月24日)

決勝「オール愛知ガールズ」vs「千葉なのはなガールズ」戦。東京都昭島市民球場

 8月17日から21日まで、5日間にわたって行われた小学生の全国大会「NPBガールズトーナメント」が終了し、オール愛知ガールズが全国制覇を成し遂げた。女子野球が盛んな愛知県だが、小学生チームが作られるのはこれが初めて。女子野球大会参加経験のある関東、関西の選手たちをおさえて女子大会初参加の子どもたちが優勝したのは立派。

 炎天下、熱戦を勝ち抜いて準決勝に進出したのは徳島県選抜、オール愛知ガールズ、栃木スーパーガールズ、千葉なのはなガールズの4つ。うち徳島も愛知同様、県下に初めてできた女子学童チームだ。

 準決勝はまずその愛知と徳島の対決となった。徳島は敵失に乗じて果敢にホームを陥れたが、愛知は連打に次ぐ連打で(長短打合わせて15本)徳島を突き放し、15-5と圧勝。続く栃木対千葉の対決は、6回表まで栃木が3-0とリードするも、その裏、代わった栃木のピッチャーが四死球を出し、たまったランナーを千葉の四番、六番がヒットで返し、4点を奪う逆転サヨナラ劇となった(時間切れ6回終了)。

準決勝「徳島県選抜」vs「オール愛知ガールズ」戦。愛知の攻撃 準決勝で先発した栃木の渡邉春菜投手は5回まで2安打に抑える好投

「阿波娘 野球魂」のキャッチフレーズがカッコイイ、徳島のTシャツ こちらは千葉の応援Tシャツ 応援歌を歌い続けるなど、実は組織的な応援も日本一だった? 愛知のみなさん

 30分後に始まった決勝。愛知の石井利一監督はこの勝負をエース・大葉保乃莉の右腕に託し、千葉の池内正明監督は、豪腕ピッチャー・相澤ありさを先発に起用して愛知打線の封じ込めを図った。

千葉の相澤投手は捕手や打者としても活躍し、チームに貢献(写真は茨城戦)

 大葉は伸びのある球で1回を3人に打ち取る上々の立ち上がり。相澤は外角低めに速くて重い球をビシビシ投げ込んだが、時に制球を乱し、味方のエラーもあって1回に2点を献上。

 2回表、愛知は1死一塁の場面で千葉の高く弾んだ内野ゴロをサード・前川瑠那がうまくキャッチして一塁へ。さらに三盗を試みた一塁走者をファーストの鳥居一葉が見事な送球で刺すダブルプレー。愛知は3回表にも捕手・中谷琴美が二盗を刺し、流れは完全に愛知に。愛知はその裏、相澤から長打を放つなどして4点を追加。

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千葉00010124
愛知242010×9

 しかし4回、ようやく千葉打線が大葉をとらえた。二番・佐藤愛が二塁打で出塁すると、四球と四番・相澤のヒットで1死満塁のチャンス。ここで大葉が四球を出し、押し出しで1点。しかしその後のピッチャーゴロが1→2→3の併殺に遭い、無情のチェンジ。

 千葉は7回にも3安打を放って大葉を追い詰めたが、四番打者をピッチャーフライに打ちとられ、ゲームセット。その瞬間、大葉は小さくガッツポーズをした。

「あと一人」と大葉投手を励ます愛知の選手たち 優勝の瞬間!

 千葉は愛知の度重なる好守備に阻まれ、リズムに乗ることができなかったが、千葉も随所で好守備を見せ、また強打者はもちろん、走攻守そろった選手もいるなどタレントぞろい。決勝進出も納得の強さだった。
 一方愛知はふだんのチームでもエース級の投手陣、決勝で併殺3つを決めたことが物語る堅守、群を抜いた打撃力の三拍子がそろって優勝を引き寄せた。特に相澤投手の外角低めの剛速球を芯でとらえ、軽々と外野に運ぶ打撃力には舌を巻いた。

 参加チームの中で一番早く1月にセレクションを行い、頻繁に練習を重ねてチームを作ってきたオール愛知ガールズ。その努力が見事に花開いた全国大会だった。

総合力で他を上回ったオール愛知ガールズ

※大会の結果は → こちら(全日本軟式野球連盟)

※写真提供/千葉なのはなガールズ(相澤選手の写真)


軟式の全国大会で「オール兵庫」(一般の部)と「オール京急」(中高生の部)が優勝(2013年8月14日)

久々の優勝を喜ぶメンバーたち。でも初めて優勝を経験する選手も多い

 8月10~12日、東京都江戸川区で行われた軟式の全国大会「全日本女子軟式野球選手権大会 一般の部」で、関西の古豪「オール兵庫」が2007年以来となる6年ぶり8回目の優勝を遂げた。

 毎年全国から32チームを集めて行われるこの大会。今年はベスト4に「オール兵庫」(同大会優勝7回、準優勝3回)、「大阪ワイルドキャッツ」(11~12年、2年連続準優勝)、「愛知アドバンス」(優勝7回、準優勝1回)、「千葉マリンスターズ」(優勝4回、準優勝2回)の強豪が残り、準決勝から緊迫した雰囲気に。

中学2年生とは思えない堂々とした投球を披露した岩佐選手

 そんななか、昨年の準優勝チーム、大阪ワイルドキャッツが愛知アドバンスを8-1で、オール兵庫が昨年の覇者、千葉マリンスターズを3-2で破って決勝進出を決め、決勝は関西勢同士の対決となった。

 お互いに手の内を知り尽くしている両チームだったが、オール兵庫の伊藤秀次監督はここで”隠し球”を先発させた。岩佐美樹投手(中2)だ。昨シーズンまで「オール兵庫ジュニア」の一員として関西女子野球ジュニアリーグ(中高生リーグ)でプレー。この春からオール兵庫に昇格したが、キャッツ戦で投げるのは初めてだ。

 これが奏功した。
 

先発9人のうち5人が中学生というキャッツだが、角田(写真)、田中のベテラン勢も活躍

 キャッツは大柄で物怖じをしない岩佐投手の、右腕から繰り出されるパワフルなストレートに打線を封じられ、6回まで2安打。しかしオール兵庫もキャッツのベテラン、田中秀美投手に抑えられ、三塁が遠い。
 こう着状態で迎えた4回、オール兵庫は四球のランナーを足がかりにヒットと送りバントで1死二、三塁とすると、今大会当たっている七番・森井和美が中前適時打を放って1点先制。

 しかし7回、岩佐は突如制球を乱し、四死球を連発して1死満塁のピンチ。ここで投手は岩佐から水流(つる)麻夏(中2)へ。打席に立ったのはキャッツの攻守の要、七番・角田華子。角田スクイズ。ホームを襲う三塁走者。猛然とダッシュした水流はボールをすくい上げ、捕手・高野エイシア(中3)にグラブトス。捕った瞬間、高野は判断良く一塁へ送球。見事なダブルプレーだった。劇的な幕切れ。

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大阪00000000
兵庫000100×1

 この瞬間、三度目の正直で優勝を目指した大阪ワイルドキャッツの夢は破れた。

 オール兵庫の伊藤監督は「しばらく勝てなかったので、この一年、ジュニア上がりの選手たちを育ててチームを作り直してきました。その若い力に、森井のようなベテランの力がうまくかみ合ってつかんだ優勝です」と言う。
 ちなみに森井選手は第1回大会から今大会まで24年連続出場を果たしただけでなく、決勝では3打数3安打1打点と大活躍した。
MVPを取った岩佐選手(左)と敢闘賞を取った田中選手 左から水流選手、森井選手、岩佐選手。オール兵庫には小学校時代活躍した選手が次々に入団。水流選手は6年のとき全国大会に出場

 「一般の部」決勝が関西勢の対戦になったのに対し、「中高生の部」決勝は関東勢の対戦となった。高校生チーム「村田学園」(東京都)と準決勝で死闘を繰り広げ、6-5のサドンデスで辛勝した「オール京急」(神奈川県)対、「オール兵庫ジュニア」を9-2と突き放した「千葉マリンスターズヤング」の中学生同士の対決。

打撃に定評があるオール京急。写真の佐々木選手は1回にホームランを放った

 1回、オール京急は二番・立川繭子、三番・佐々木希が甘めに入った球を思い切り振り抜き、2者連続ホームラン。オール京急は2回にも1点を追加すると、5回、1死一、三塁の場面で五番・樋口紗穂がスクイズを決め、ダメ押しの1点を挙げる。

 対するマリンスターズヤングはチャンスは作りながらもあと1本が出ず、無得点のまま最終回へ。
 なんとしても塁に出たい先頭打者の七番・柴野美穂は粘った末にヒットで出塁。八番・高山藍子もこれに続き、死球もあって2死満塁のチャンス。相手ピッチャーゴロエラーの間に1点を返すが、四番打者がサードゴロに倒れ、試合終了。

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千葉00000011
京急210010×4

 打撃力と、悪い流れを早め早めの継投で絶ったオール京急が、この大会初優勝を飾った。

 今年は関東も猛烈な暑さに襲われ、熱中症で病院に運ばれる選手が続出した。そんななか、一般の部で強豪が4強に進出したのは、長年にわたる勝利のノウハウの蓄積があったからかもしれない。また中高生の部で「岩手絆ヴィーナス」と「岡山スカイマーメイド」が全国大会デビューを果たしたことも注目を集めた。

全員中3年生で決勝を戦ったオール京急。中2、3生のマリンスターズヤングに貫禄勝ち

※大会の結果は → こちら(全日本女子軟式野球連盟)   


Kボールの全国大会で横浜クラブ(神奈川)が初優勝(2013年8月12日)

 素材は軟球と同じゴムでも、大きさや重さは硬球とほぼ同じというKボール。一般的に軟式から硬式に移行する時期に使われることが多いが、そのKボールを使った女子中学生の全国大会「第2回 15U全国女子KB野球選手権大会in伊豆」が8月2~5日、静岡県伊豆市で開かれた。

見事な守備を見せる横浜クラブ

 昨年はこの大会に参加するために山形、愛知、静岡の各県に中学生の選抜チームが誕生したが、今年もこの大会への参加を当面の目標として茨城県、山梨県にチームが誕生。また関東の中学軟式クラブの参加が増え、硬式の中学生チームも参加して、昨年の10チームを上回る14チームでの開催となった。

 そんな中、決勝に進出したのは神奈川県横浜市の中学野球部所属選手を集めた「横浜クラブ」と、愛知県の一般女子クラブのジュニアチーム「愛知アドバンスジュニア」。

 愛知は初回、2死二、三塁の場面で五番・小田真萌が二塁打を放って2点先制するが、その後は打線が振るわず、6回に押し出しで1点を挙げたのみ。一方横浜は4回、コントロールに苦しむ相手投手を攻めて再三満塁のチャンスを作り、五番・石田吉乃の二塁打などで大量6点を挙げ、勝負を決めた。

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横浜クラブ013602012
愛知アドバンスJr.20000103

 最高殊勲選手には「横浜クラブ」のサウスポー、小田嶋真美選手が選ばれた。

 横浜の公立中学校教員でもある新庄広監督は勝因を次のように分析する。
「まずバッテリーがきちんと仕事をしたことです。エースの小田嶋は1日7イニングまでというルールがあるので決勝では投げられませんでしたが、準決勝まで無駄なランナーを出さず、また捕手の石田もワンバウンドをしっかりと止め、無駄な進塁を防ぐなどしてくれました。 

 もう一つは1イニングに大量失点をしなかったことです。私は男子の指導もしているのですが、女子に顕著な特徴としてメンタル面の弱さがあると思います。序盤の失点など気にしなくていいのに、女子はすごく落ち込んで失点を重ねてしまう。うちのクラブは3年前にスタートしましたが、その間にこうした女子の特徴を把握していたので、嫌な流れは早め早めに断ち切るようにしたのが奏功したと思います」

開会式は夕方からホテルのプールサイドで行われた。チーム紹介のひとコマ

 実はKボールの女子大会の参加チーム数が増えている要因として、「横浜クラブ」のような中学野球部の選手を集めたチームが増えていることが挙げられる。今大会なら同チームと「埼玉スーパースターズF」「山梨クラブ」「茨城女子野球クラブ」がそれで、今回は参加していないが「千葉マリーンズ」もコンスタントに活動している。
 いずれも中学校の教員有志が「男子の中ではなかなか女子が活躍できないから」といって作り、部活の合間を縫って月に1、2回練習をしている。

 教員が牽引し、部活と併行して活動するチームは、特定の団体に所属して大会に参加するのが資格的にも時間的にも難しいため、年に1、2回短期集中で参加でき、しかも連盟に加盟する必要がないKボールの大会はありがたい存在なのだという。

 ふだん男子を指導している教員が多いだけに、女子大会に参加すると戦術やメンタル面で学ぶところ、改善すべきところが見えるといい、女子野球界にとって、こうした人材やチームの参入は歓迎すべきことだろう。

 KB野球連盟は来年は台湾や中国といったアジアのチームも招いて開催したい意向だ。

中学野球部の女子選手で結成。今年で3年目の試み

※大会の結果は → こちら(KB野球連盟)
※写真提供/横浜クラブ、KB野球連盟(開会式の写真)


松山の全国大会で優勝!「履正社RECTOVENUS」の橘田監督にインタビュー(2013年8月10日)

「第17回 全日本女子硬式野球選手権大会」(8月3~7日、於・愛媛県松山市)で創部2年目ながら全国優勝を手にした橘田(きった)恵監督に、大会を振り返っていただいた。

橘田監督。国際野球連盟テクニカル・コミッショナーも務めている

履正社RECTOVENUS(レクトヴィーナス)優勝への道のり
予選リーグ/山口きらら防府BBC戦12-0、神村学園戦2-1(2勝)
決勝トーナメント/侍戦5-4のサヨナラ、マドンナ松山戦2-1、(決勝)福知山成美高校戦2-1

――初優勝、おめでとうございます。
橘田 優勝どころか公式戦で1勝を挙げたのもこの大会が初めてです(笑)。関西の大会ではいつも1回戦負け。昨年のこの大会もマドンナ松山に7-0のコールド、シリウスにも7-2で負けて予選敗退していますから。
――今大会は予選リーグで2勝して決勝トーナメント進出を決めました。
橘田  大会前は「とにかく1勝したいね。予選も通過できたらいいね」なんて言っていたのですが、松山に行ってみたら「こんなに立派なグラウンド(坊ちゃんスタジアム)でやれるんだ」って感激して、選手たちはとにかく勝ちたいと思ったみたいですね。なにしろ1期生は1年4カ月、公式戦で勝ったことがないわけですから。
 それが山口きららに勝ち、強豪・神村学園にまさかの勝利をおさめて、「勝っちゃった、どうしよう」とうれし涙でグチャグチャになっていました。本当に毎試合毎試合、ほぼ全員が勝っては泣いていました(笑)。うれし涙が止まらないんだそうです。
――勝つためにどんな作戦を立てましたか?
橘田 ピッチャーは個別に練習させて、左の松尾(莉奈)、右の杉本(冴映)の二枚看板で行くことにしていましたが、今まで勝てなかった分、我々にとっても相手チームにとっても初対戦がほとんどです。ですから相手を研究して作戦を立てるより、「とにかく一生懸命やりなさい。そうすれば見ている人たちがこのチームいいねと言って応援してくれるから」とだけ言っていました。
 また選手は皆ソフトボールや軟式経験者ばかりで小中学での硬式経験者は一人もいません。そのためまだまだ硬式の基本的な技術をきちんと身につけていない選手もいたので、とにかく全力でやって楽しめばいいと。

準決勝で強豪「侍」にサヨナラ勝ち!

――実際にうまくいきましたか?
橘田 はい。いつもなら私がベンチから指示を出すために吼えるんですが(笑)、あまりの暑さにその元気がなかった分、選手たちが声を掛け合ってうまくポジショニングしていました。たとえばショート、セカンド、サードが「そっち頼むよ」なんて声を掛け合ったり、外野にボールが飛んだら「前!」「もっと後ろ!」なんて大きな声を出して。とにかく必死にやっていました。
――いつもはあまり声が出ないのですか?
橘田 そうですね。本当に選手たちはのりにのっていたと思います。ベンチでの応援、スタンドにいるNINOとのコラボ応援歌もすごかったです(笑)。(履正社は専門学校生+高校生の「RECTOVENUS」と中高生チーム「NINO」の2チームで参加)
――ちょっと神がかっていたとか?
橘田 そうかもしれません。本人たちは全員まだ夢の中にいるようで、優勝したことが信じられないそうです(笑)。
――橘田監督は練習では技術や戦略などかなり厳しく指導する反面、試合ではミスをしても怒りませんよね。
橘田 はい、試合ではノビノビ楽しくやってほしいと思っています。関西人ですから、これでも私、けっこうジョークも言うんです(笑)。
――これからは追われる立場ですね。
橘田 いえいえ、まだまだです。来年また勝てばホンモノですが、コールドで負けてもいいと思っています。私が目指しているのは野球を通じた人間教育、それと野球をよく知る人材を育てることですから。優勝は本当にうれしいですが、勝つことだけが目的ではないので、常に野球を全力で楽しめるチームにしたいです。またこれから女子野球独自の作戦、戦術がもっと出てくるはずなので、私自身、それらを選手と共に勉強したいです。

公式戦初勝利が全国大会優勝につながった履正社RECTOVENUSのみなさん

※大会の結果はこちら → 

※写真提供/スポーツ報知(試合写真、集合写真)


夏の高校全国大会で、埼玉栄高校が優勝。春夏あわせて10回目の栄冠(2013年8月7日)

春夏あわせて10回目の優勝!

 7月31日~8月5日、兵庫県丹波市で開かれた「第17回 全国高等学校 女子硬式野球選手権大会」で、埼玉栄高校が夏の大会としては2年ぶり5回目、春夏あわせると10回目の優勝をおさめた。

 1997年(平成9年)にソフトボールチームもふくめて5チームでスタートしたこの大会も、今年は史上最多の16チームが参加。
 
 初参加は開志学園(新潟)、福井工大附属(福井)、横浜隼人(神奈川)、村田女子(東京)、京都外大西(京都)、室戸・中央連合(高知)の6チーム。昨年は人数が足りずに他チームと合同で参加した至学館(愛知県)も、今年はしっかりと1チームを作って参加した。

 決勝で常勝・埼玉栄と対戦したのは蒲田女子。10年春の全国大会で優勝をおさめた実績はあるが、夏の大会で決勝に進出するのはこれが初めて。第11期日本代表候補になった花ヶ崎衣利投手など、中学時代からその名を知られた選手たちをそろえて夏の大会初制覇を目指した。
 
 埼玉栄は先発・笹沼菜奈、捕手・中田友実、蒲田女子は先発・花ヶ崎衣利、捕手・今井志穂。

 試合はすぐに動いた。1回の表、埼玉栄が四球を足がかりに1点先制すると、その裏、蒲田も死球で出たランナーを返して1-1。2回、栄は七番・加藤萌音のレフトオーバーのヒットと相手内野陣のエラーで2点を追加。

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埼玉栄高校12120028
蒲田女子高校10200003

 栄は3回にも四番・瀬川優香、五番・金子芙美恵の2打席連続二塁打で1点を追加するが、その裏、蒲田は一番・笹生なつみが左前安打で出塁して反撃開始。1死二塁から三番・今井志穂、五番・立花美奈代が適時打を放って2点をもぎ取るが、栄は4回にも制球に苦しむ相手投手から2点を奪い、7回には佐々木蘭の三塁打などで2点を加え、勝利した。

 蒲田はチャンスにあと1本が出ず、また投手陣(花ヶ崎→甲斐綾乃→中川幸)が制球を乱すなど精彩を欠き、守りきれなかったのが惜しまれる。

 優勝した埼玉栄の斎藤賢明監督は、
「春の全国大会で1回戦で敗退したことが今回の優勝につながったと思います。生徒たちが『相手が強いとか弱いとかではなく、勝つためには自分を生かす最高のパフォーマンスをしなければいけない』ということを自覚したからです。

 私はデータを取って分析したり情報を集めるということをしません。一つひとつの試合の中で、たとえば相手投手の配球、癖などを見極めながら今ここで打つにはどうしたらいいのか、生徒たちが感じ取り、勝負できる野球を目指しています。 
 苦しい試合もありましたが、追い詰められても冷静に判断して好投手を打ち込み、タイムリーも上手く打つことができました。自分の頭で考える野球ができるようになってきたのだと思います」
 と語った。

 新チームの参入で例年にも増してにぎやかな雰囲気の中で行われた今大会。ベスト4には上記2校に加え、神村学園、福知山成美と誰もがよく知る強豪校が進出したが、来年はその一角を崩すニューフェイスが出てくることを期待したい。

※大会の結果はこちら → 

「考える野球」で優勝を手にした選手たち

※写真提供/埼玉栄高校


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