女子野球情報 

17年4月

和歌山県に女子硬式野球連盟誕生。県体育協会に加盟(2017年4月21日)

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 和歌山県の女子野球界が動いている。
 県下初の女子硬式野球クラブ「和歌山ファイティングバーズNANA」(中学生~大人)ができたのに続き、県軟連がサポートする軟式の中高生クラブ「和歌山Orange Glove(オレンジグローブ)」が誕生。さらに4月に和歌山県女子硬式野球連盟ができ、県の体育協会に加盟したのだ。連盟理事長にはNANAの川保麻弥監督が就任した。

 連盟設立に動いたのは、NANAを作った谷口和樹県議会議員だ。
「和歌山県に女子硬式野球を定着させ、広げるためには、きちんとした組織が必要だと思って、NANA設立と併行して動いてきました。体育協会に加盟するのは、男子野球の中に女子野球が入るのではなく、女子は女子のやり方で、自由にやるのがいいのではないかと考えたからです」

 なぜ体育協会に加盟すると女子独自の活動ができるのか。ここが一番大事な点なので、ご説明しよう。
 まず和歌山県体育協会は、県全体のスポーツを振興する組織で、バレーボールや水泳、トライアスロン、相撲など、現在96のアマチュアスポーツ団体が加盟している。野球関係ではこれまで県の軟式野球連盟や高野連、中体連(軟式野球競技部)が傘下にあったが、女子硬式野球連盟が体協に加盟したことで、女子の連盟はこの3つの野球連盟と同格になり、対等な立場でものが言えるようになったのだ。

NANAで指導にあたる川保さん。NANAの監督、連盟理事長、仕事と、超多忙な毎日だ

 都道府県レベルで、かつて女子硬式野球連盟がこれほど一般の野球連盟と肩を並べたことはなく、それだけに、谷口さんをはじめとする県女子硬式野球関係者の熱意が感じられる。

 ちなみに女子軟式野球は、約20年前から北海道女子軟式野球連盟が北海道野球協議会(硬軟のアマチュア野球連盟で構成)に男子野球連盟と同格で加盟している。また昨年12月には新潟県女子野球連盟(硬式軟式ふくむ)ができて、同じく男子野球連盟と同格で新潟県野球協議会に加盟した。これらの動きは、後日改めてご紹介したい。 

 では女子硬式野球の全国組織「全日本女子野球連盟」のなかでは、どんな位置づけになるのだろうか。同連盟の傘下には、すでに関東と関西の女子硬式野球連盟があるが、「加盟ではなく、協力団体として交流していく」(全日本女子野球連盟)のだという。

 つまり全日本女子野球連盟の中には入らず、あくまでも和歌山県の連盟という立場で活動していくのだ。そして県下のスポーツ環境を作りながら、同時に女子の連盟と情報共有し、傘下のチーム(現時点ではNANAだけ)は各種女子大会にも参加する。さらに、和歌山の連盟独自に女子硬式野球大会を作ってもかまわないそうだ。

 最後に理事長に就任した川保麻弥さんに抱負をうかがった。
「連盟が立ち上がったことで、和歌山の皆さんが安定して女子硬式野球をする環境ができました。いずれは日本代表として日の丸を背負える人材を和歌山から出したいですし、和歌山で日本代表の試合も開催したいですね。
 また和歌山の女子野球は学童チームの活動があってここまで発展してきたので、軟式と硬式で選手を取り合うのではなく、お互いに尊重しながら活動していきたいと思っています。野球人生は長いですから、その時の状況、年齢に応じて、選手が硬式と軟式、どちらでも選べるような、豊かな女子野球環境を作っていきたいです」

※写真提供/和歌山県女子硬式野球連盟


履正社高校、笑顔の野球で春の全国大会初制覇(2017年4月5日)

16人でつかんだ栄冠

 またしても春の嵐が吹いた。創部3年目の履正社高校が春の全国大会を制したのだ。創部間もないチームが優勝するのは、15年の京都外大西高校以来のことだ。履正社高校はこの春、男子野球部がセンバツで準優勝し、女子は優勝して、球史に名を刻んだ。

埼玉栄の小野あゆみ投手

 大会初日は雨にたたられ、最終日の4月2日は準決勝、決勝と体力的にきついスケジュールになったが、その準決勝第1試合、福知山成美vs埼玉栄戦。
 まずマウンドに上がったのは栄の小野あゆみ選手(2年)。斎藤監督は小野選手の全国大会デビューを、この準決勝にもってきた。中学時代、ハンドボールでU16代表入りした期待の選手。身長173㎝、大柄で強肩の彼女が、軸足にしっかり体重を乗せて上手から投げる直球は、破壊力抜群。福知山打線をわずか2安打に抑え、観客の度肝を抜いた。

 福知山は昨年からぐんぐん成長してきた右腕、大野七海がマウンドへ。1回戦から全試合投げ抜き、3試合でわずか1失点という安定感。準決勝でも連投の疲れを見せない好投で、栄の小野投手と素晴らしい投げ合いを見せたが、3回に味方のエラーで許した2点が最後まで響き、0-2で敗退。埼玉栄が2年連続7回目の優勝に王手をかけた。

福知山成美の大野七海投手 さしもの福知山打線も、小野投手の前に沈黙

 準決勝2試合目は、作新学院vs履正社。どちらも準決勝進出はこれが初めてというフレッシュな対戦だ。作新の田代恭規監督は、09年に県下初の女子学童チームの監督を務めて以来、子どもたちの成長に合わせるかのように県中学選抜、作新学院女子野球部を率いてきた、栃木県女子野球の立役者。今回のメンバーにも、小学校時代から田代監督の指導を受けてきた選手が何人もおり、結束は固い。

 履正社は創部間もないためか、のびのびとした雰囲気が持ち味。右の本格派、石村奈々選手を怪我で欠いた今大会は、大きなカーブとクセのある直球が武器の松島瑠菜選手が、エースナンバーを背負って勝ち進んできた。

 試合は作新が四球でためたランナーを適時打で返すなどして、3回が終わって4-1とリード。しかしまったく落ち込む様子を見せない履正社は、4回に作新のエース、半田莉子を捉え、連打に次ぐ連打で6点を返すと、5回にも1点追加して8-4で決勝進出を決めた。

人呼んで「栃木の守護神」 田所一塁手も、小学校時代から田代監督の指導を受けてきた選手 

履正社名物、試合前の歌と踊り。このあと手をつないで瞑目し、心の中で人数分、数を数えて集中 準決勝は連打で逆転 履正社ほど無邪気に喜びを表現するチームも珍しい

 決勝までは、わずか40分。普通なら疲れがある分、履正社不利と思える状況だが、始まった決勝1回裏、履正社は素晴らしいプレーで好調を見せつける。

連覇の夢を胸に秘め、飛び出す埼玉栄

 1死二塁の場面で履正社の三塁手・秋川桜が、キャッチしたサードフライを即座に二塁に投げ、飛び出していたランナーを刺したのだ。
 勢いに乗った履正社は、3回表に一番・北山未来が栄の先発・池本歩莉から中前打を放って出塁。さらに二盗した北山を二番・吉井温愛が右前打で返して先制。
 
 しかし栄は4回、エースで左腕の田中志緒梨にスイッチすると、田中は緩急をつけたピッチングで履正社打線を封じ、流れを引きもどす。さらに7回には四死球や相手エラーで2死満塁、一打サヨナラのチャンス。ここで斎藤監督が動いた。「代打、須之内彩菜」。
 しかし、思い切り振った須之内の打球はセカンドフライとなり、試合終了。1-0で履正社高校がセンバツ初優勝を飾った。

埼玉栄の先発、池本歩莉選手 履正社の先発、米田咲良選手 7回裏、思い切りバットを振った須之内選手だったが…

 優勝  履正社高校・橘田恵監督に聞く
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――無欲の勝利というのでしょうか、2013年の松山の全国大会で、創部2年目の履正社レクトヴィーナスが神がかり的な優勝をした時みたいな感じですね。
橘田 はい、何か下りてきてましたね(笑)。履正社高校は春のセンバツはいつも1回戦負けだったので、松山のときと同じように1勝が目標だったのですが。

――勝利の女神を微笑ませた理由はどこにあると思いますか?
橘田 大会前の練習試合でしょうか。福井工大福井さんとやらせてもらったのですが、そこで負けてしまったんです。でもそのあと自分たちで課題を見つけ、それをどういうふうに克服するのか、全員で具体的に話し合うことができた。うちは今16人いるんですが、寮生は4人だけしかいないし合宿もしていないので、みんなでじっくり話し合う機会がなかったんです。そしてそのあと加須シニアさんと試合させてもらったら勝つことができて、それで気持ちよく大会に臨めたのだと思います。

――開志学園戦では追いつかれてタイブレークに持ち込まれましたが、きつくなかったですか?
橘田 いいえ。うちはタイブレークで負けたことがないんですよ。レクトヴィーナスの選手を相手に、いつもタイブレークの練習をしているので。守備も攻撃も、色々な状況を作っては勝ち方を考えて練習しています。

優勝に貢献した松島投手

――今大会で松島さんがエースナンバーをつけた理由は?
橘田 敵にいたら嫌だなあと思って(笑)。あの大きなカーブはやっかいですし、ストレートもクセがあるので。

――今大会を振り返っての感想をお願いします。
橘田 決勝1回裏の秋川のプレーが物語るように、生徒たちが状況をしっかり見て、自分の頭で考えてプレーできるようになったことが、一番の収穫です。
 実は優勝の記念撮影が終わってグラウンドを出ようとしたら、キャプテンの吉井が来て、「今日のウイニングボールです」って、にっこり笑いながらボールを手渡してくれたんです。うれしかったですね。吉井はまじめな選手で、大会前1週間、私の厳しい指導に泣きながらついてきてくれたので、「ありがとう。よく耐えたね」って言いました。

――素敵な話をありがとうございました。

準優勝 埼玉栄高校・斉藤賢明監督に聞く

緊張している須之内選手に言葉をかける斎藤監督

――1回戦の相手は昨年の春、決勝で戦った駒沢学園女子高校でしたね。
斎藤 やっかいだなあと思いました(笑)。おととしの春は初戦でやられていますし。勝ててよかったです。

――準決勝で小野さんに投げさせることは、最初から決めていたことですか?
斎藤 いや、メンバー表を出す直前に決めました。決勝をふくめて3日間で4試合という状況でローテーションを考えたとき、エースの田中は初戦から3試合投げているので、準決勝ではあまり投げさせたくなかった。では誰に投げさせるか。池本か小野か、ずっと迷っていたのですが、どこかで小野を使ってみようという気持ちがあったので、決めました。継投を考えていたのですが、2回、3回と相手が打てなかったので、いけるな、と思って投げさせたら完投できたという感じです。

――7回に代打で須之内さんを出すとき、何か話していらっしゃいましたが、あの時はなんと言ったのですか?
斎藤 「来た球を思い切り打っていけ」と言いました。

――結果、セカンドフライでしたが、思い切り振った結果だから仕方がないと?
斎藤 そうですね。

――準優勝は、やはり悔しいですか?
斎藤 いや、でき過ぎの大会でした。今の3年生たちはなかなか勝てない子たちだったのですが、人に「この1年ですごく変わった」と言われるほど投打に成長しました。この大会でも得たものが多かったです。ここがスタート地点。夏、がんばります。


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