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東北に女子野球連盟誕生! 東北の発展にはずみ (2018年2月9日)

 2017年9月18日、女子軟式野球の全国組織「全日本女子軟式野球連盟」傘下に、「東北女子野球連盟」が誕生した。

画像の説明

 それまでは東北支部として活動していたが、全女連の規約では加盟チームが5つになれば連盟に昇格できるため、チーム数が条件を満たしたことをきっかけに連盟昇格の申請をし、全女連から承認された。
 2018年1月20日には東北の人々による臨時総会が開かれ、規約や役員等が承認されて、正式に連盟としてスタートした。加盟チームは右図の6チームである。

 同連盟では2015年から実施している「全日本女子軟式野球東北大会」と「東北女子野球秋季大会」を基幹大会として育てていくだけでなく、単発ながら高校生以上のチームを編成して、5月に行われる「碧南大会」に参加させる予定だ。
 また臨時総会では、東北地方が抱える課題について活発に意見が交わされたといい、今後、東北女子軟式野球は益々活発になると見られる。

 このたびの東北支部の連盟昇格により、全女連は、北海道、東北、関東、東海、関西、沖縄の6つの連盟と、北陸、新潟、富士、山陽、山陰、四国、九州の7つの支部で構成されることになった。

 さて東北連盟のチームを見てお気づきの方がいるかもしれないが、加盟しているのはすべて中学生のクラブチームである。中には16年に全軟連の全国大会に参加したいといって創部したチームもあるが、それらが現在、すべて全女連の東北連盟に加盟している。
 
 同様の動きは全国で見られる。つまり全軟連の全国大会に参加することを目的にクラブチームを作ったものの、大会は年に1回だけ。それでは通年活動するクラブチームとしては目標が少なすぎるため、全女連傘下の連盟や支部に加盟して、その地方大会に出場しようと考えたのだ。

 逆にいえば、こうした中学生チームを吸収することで全女連のチーム数(中高生の部)がふくれ上がっている状態で、今後も東北同様、連盟に昇格する支部が増えることが予想される。
 うまくいけば成長した選手たちが一般(大人)の軟式クラブを作ってくれる可能性があり、将来が楽しみだ。


今年も創部ラッシュ! 2018年4月に誕生するU18チームを紹介(2018年2月8日)

 この春誕生する4つのチームの情報が届いているので、早速ご紹介しよう。

■小学生               

 静岡県  静岡フューチャーズ ガールズベースボールクラブ

 静岡県初にして、全国でも数少ない女子だけの学童クラブ(通年活動)が、静岡市に誕生する。つくるのは少年野球指導歴16年の花村博文さん(代表・監督)と、少年野球および少年少女ソフトボールの指導歴9年の三浦和幸さん(チームディレクター)だ。

説明

 創部を決めた理由を三浦さんは次のように言う。
「少年野球チームのなかには、大人の罵声しか聞こえないところがありますよね。それを見てアメリカの指導者が『日本ではマフィアが教えているのか』と驚いていましたが、そんなやり方では子どもの意欲をつぶしてしまいますし、結果も出せません。 

 ですからもっとのびのびと野球を楽しませてあげたいし、中学から先にいって活躍できる、考える力と技術を兼ね備えた人材を育てたいと思ったのです」

 その方法論がこのチームの特徴だ。
「たとえばバランス感覚や身体能力を伸ばすために、ダンスやリズムトレーニングを取り入れたり、テニスやバレーボールなど他の競技もやらせたいですね。また基本の技術をマスターしたら、あとは結果を出すためにどんなプレーをするかは選手の判断に任せたい」と花村監督。

 こうした指導法、考え方はアメリカでは普通のことで、近年、日本でも注目され始めている。元シアトルマリナーズの長谷川滋利氏も、息子さんが色々な競技を楽しみながら野球で結果を出したこと、「アメリカ人は基本を守った上で色々な個性を発揮している」ことを野球雑誌に寄稿している。

「とにかく選手はほめて伸ばしたい。ミスも積極的に肯定して、もっと自由でクリエイティブにプレーさせたいですね。でも叱るべき時はビシッと叱りますよ」(花村監督)

 自分たちのイメージする選手を育てるには時間がかかるとして、募集するのは4年生以下。またすでに県軟連に登録を済ませているが、「初年度の今年は大会に出ることより、遊びを通してボールに親しむところから始めたいと思っています」(三浦TD)。

 練習は小さい子どもの体力、集中力に配慮して、8時から12時の午前中4時間だけ。小学生の全国大会「NPBガールズトーナメント」への出場は、追々考えていくとのことだった。
●問い合わせ先/090-3588―0198(三浦チームディレクター)

■中学生              

 埼玉県   軟式   Jyoshi One Ladies(ジョシ ワン レディース)

学童チームは全国大会の常連。写真は17年の県予選で優勝したときのもの

 小学生の全国大会「NPBガールズトーナメント」に第1回大会から出場している「Jyoshi One」。07年の創部から11年目の今年3月、遂にお姉さんチームが誕生することになった。

「これまで保護者の方々からJyoshi Oneの中学生バージョンを作ってくれないかと懇願されてきたため、創部することにしました。野球の楽しさを知った小学生選手たちが高校でも野球を続けられるように、中学での環境を整備する必要性を感じております」
 と竹内達代表(学童チームの代表も兼務)。

 県外からの入部も可能で、川越市安比奈親水公園グラウンドなど、公共のグラウンドを使って、土日祝、9時から17時まで練習する。
 指導は元学童野球の指導者、高校野球経験者など3人があたり、アドバイザーとして鷺宮製作所硬式野球部の元指導者を迎える。監督は3月半ばぐらいには公表できる予定だ。

2月3日に行われた説明会には、約40人の保護者が参加した

「このほか、狭山市のひしかわ針灸治療院の菱川浩直院長に専属トレーナーをお願いしました。成長期の女子ということを踏まえて、怪我をしない投げ方、壊れない体作りなどを指導していただきます」

 埼玉県野球連盟と関東女子軟式野球連盟(全日本女子軟式野球連盟傘下)に加盟して、各種女子大会に出場する。

 余談ながら、現在埼玉県には中学野球部選手で編成される「埼玉スーパースターズF」があるため、今後全軟連の全国大会出場をかけた県予選が必要になってくるだろう。
●問い合わせ先(竹内代表)/090-8773-7977
              sat.52-04-23@docomo.ne.jp

 奈良県   軟式  奈良ブルーソレイユ

 4月に始動する「奈良ブルーソレイユ」は、約40年ぶりに奈良県にできる女子中学生チームだ。立ち上げるのはNPBガールズトーナメントでおなじみの「オール奈良」代表、松山俊夫さんだ(今後学童と中学の代表を兼任)。監督は、やはりオール奈良を率いてきた元女子プロ野球選手の松本育代さんが務める。

説明

「選手や保護者から要望があったので、2年前から検討してきましたが、ようやくスタッフがそろって発足できることになりました」(松山代表)
 心強い仲間は、オール奈良OGの保護者など、少年野球の指導経験者(男性)6人だ。松本さんも、「女子の環境を作れるなら」と、忙しい仕事をやりくりして指導に来てくれることになった。

 練習は土日祝に、磯城郡や橿原市の公共のグラウンドを使って行う。
 関西女子野球連盟(全日本女子軟式野球連盟傘下)に加盟して、「関西ジュニアリーグ」(春と秋のリーグ戦)に参加し、上位大会の全女連の中高生の全国大会出場も目指す。もちろん全軟連の全国大会出場も目標の一つだ。

「でも本当の目標は、奈良県に小学生から大人までの女子軟式野球チームを作ることです」と松山さん。
 12年から、奈良県の女子野球は松山―松本コンビが引っ張ってきただけに、子どもたちの成長とともに、大人までの環境作りに使命感を抱いているようだ。

 その目標のためも、中学生チームの誕生を喜びたい。
●問い合わせ先/080-1452-7357(松山代表)

 愛知県   硬式  愛知セントレアガールズ

 ボーイズリーグ中日本ブロックに所属する愛知県中央支部が、女子単独チームの4月創部を目指している。

説明

 ボーイズリーグの鶴岡一人記念大会には女子の部があり、毎年東日本、中日本、西日本の各ブロック選抜(3年生優先)が試合をしているが、中日本は昨年そこで準優勝し、全日本女子野球連盟の中学生の全国大会でも準優勝するなど、目覚しい活躍を見せた。

「男子の中でやっているときと女子だけのときと、顔つきが全然違いました。それを見たら、やはり女子の活動の場を広げてあげなくてはと思いました」
 と山口護代表(兼・中日本ブロック女子硬式野球推進委員長)。

 チームが立ち上がった暁には、セントレアは中日本ブロックの女子選抜の中核になるという。
 単独チームなので練習は女子だけで土日祝に行う。まだホームグラウンドは決まっていないが、同支部の拠点である知多半島のグラウンドを使用する。

 大会はボーイズリーズと女子硬式野球連盟の両方のものに出場する。ボーイズのほうは男女の体力差を考慮して、1年生大会や2年生以下のジュニア大会に、女子野球連盟の大会は、上記の全国大会が最大の目標だ。もちろん他地域の中学女子硬式野球チームや、高校女子硬式野球部、一般の硬式クラブとの練習試合も予定している。

「通えれば中日本ブロックのどこからでも入団可能で、1年生だけでなく、2年生、3年生も大歓迎です。ぜひ一緒に野球をやりましょう」(山口代表)
●問い合わせ先/090-1827-9144(山口代表)

愛知セントレアガールズ 星野伊都子監督を紹介

 星野伊都子という名前にピンと来なくても、岡本伊都子といえば、ああと思う人もいるだろう。豊田自動織機女子ソフトボール部の元主将で、日本リーグ優勝4回、アトランタオリンピック代表(予備員)という輝かしい経歴をもつ人だ。 

背番号50が星野監督(このときはコーチ)。中日本選抜が準優勝した17年の中学生の全国大会にて

 現在16歳の息子さんの母である星野さんが、女子野球に関わるようになったのは昨年のこと。中日本ブロックの女子チームのコーチを頼まれたのだ。
「アトランタで一緒だった(旧姓)小林京子選手の息子さんたちが、中日本ブロックのチームにいるのですが、その関係で最初は彼女のところに依頼がいったのです。でもできる状況にないということで、彼女から私に打診がありました」
 
 中日ドラゴンズのファンで、子どものころは毎日壁当てをして遊んでいた星野さんは、熟慮の末承諾。それが今回の監督就任につながった。
「練習をしっかりすることはもちろんですが、まず素直で野球が大好きな子を育てたい。好きという気持ちがあれば自然とマナーが身につくし、言われなくても自分で考えて行動し、視野も広がりますから。
 
 最初から目標はこれですとか、ああしなさいこうしなさいというようなことは言いたくない。言えば私自身、それに縛られて選手が見えなくなりますから。それよりも白紙の状態で、入ってくる子をよく見たい。そしてその子に合った指導をしていきたいと思っています」

 輝かしい戦績の陰には苦労も挫折もあったという星野さん。子育て経験も積んだ今、指導者としての旬を迎えているような気がした。

※画像提供/静岡フューチャーズ、Jyoshi One Ladies、奈良ブルーソレイユ、愛知セントレアガールズ


日本代表、異色のトライアウト終了。結果発表は1月末(2017年12月14日)

バックネット裏で選手のプレーを見守るスタッフたち。於・東京ガス大森グランド

 来年8月にフロリダで行われる第8回女子野球ワールドカップの代表選考会(トライアウト)が、12月3日、全日程を終了した。参加したのは、関西会場42人(11月25、26日に受験)、関東会場53人(12月2、3日に受験)の計95人で、いずれも動画による応募者156人の中から選ばれた選手たちだ。

動画による一次審査通過者たち

「まだ見ぬ優れた選手を発掘したい」という思いから、他競技の選手もエントリーできるようになっていたが、応募者はなく、軟式野球から4人が動画審査を通過した。
 硬式では女子野球部がない高校や大学の選手が4人入ったほか、W杯代表や代表候補経験者が9人、9月に行われたアジアカップ代表選手(高校2、3年生)が12人通過。最年少は高校1年生で、そのなかには、NPBガールズトーナメントや全女連、全軟連の全国大会に出場した選手も3人いた。

 すでに様々な報道がなされているので(参考/侍ジャパンのサイトヴィーナス報知)、今回初めて行われた試みや特徴に絞ってご紹介したい。

時々段取りなどを確認

 今回のトライアウトで際立っていたのは、選手選びに時間と手間とお金をかけていることだ。

 まず一次審査を動画にしたこと。競技人口の増加に伴って、近年では一次審査は監督推薦という方法がとられていたが、今回は応募者すべてのプレーを最初から橘田監督やコーチたちが見ている。

 また50m走だけでなく、遠投、スイングスピード、筋力など、全部で21項目のフィジカル測定を加えたこと。特にベースランニングは本塁~一塁、一塁~二塁までの各タイムを測り(本塁から二塁まで駆け抜ける)、50m走との差や、各ベース間のスピードの低下率から走塁技術を見ることも行った。

 こうした科学的な手法を使って選手の能力を多角的に評価するのは、トライアウト史上初めてのことだ。

選手たちにメッセージを伝える橘田監督

 必然的に専門の測定スタッフが投入され、履正社医療スポーツ専門学校の教員でアスレチックトレーナーの小田啓之さんが、すべてを取り仕切った。

 また様々な場面で考える力もチェックされた。驚いたのはトライアウト初日終了後に、選手に「宿題」が出されたことだ。2日目に行われた試合では、一晩考えたその宿題を生かしてプレーする場も作られた。
 橘田監督の許可をいただいたので、宿題の一部をご紹介しよう。監督は「これが正解というものはありません」と選手たちに話したが、もしあなたが日本代表という最高レベルの選手だったら、どんな戦術を考えるだろうか。

■宿題(一部)
 実際の守備フォーメーションを図に記入。また、その説明及び他に想定されるケースを記述してください。
※図は実際には設問の数だけあったが、ここでは1つだけ掲載。

画像の説明

問1 0アウト1塁 初回守備の場合

問2 0アウト1、2塁 初回守備の場合

問3 0アウト1、3塁 0-0同点の場合
 
■2日目の試合設定
奇数イニングは、0アウト1塁
偶数イニングは0アウト1、2塁
いずれも1ストライク1ボールから試合開始。

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 2日間通して強く感じたのは、異色のトライアウトだったということだ。選出方法もさることながら、さながら橘田監督の思いを伝える野球教室のようだったからだ。

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「君たちは女子野球の未来を担う人材」「ここで学んだことをチームに持ち帰って生かしてほしい」ということを繰り返し伝えただけでなく、試合中にベンチに赴き(右)、選手たちに今の作戦の理由を問い、時には考えるヒントを与えることもあった。

 合格した選手たちに自らの思いを熱く語る監督たちはいたが、トライアウトの場で語る監督を初めて見た。

 さて、これだけ手間をかけたトライアウトだけに、結果が出るのは1月末になるとのこと。発表を楽しみに待ちたい。

■指導者たちからのコメント■

左/志村コーチ、右/橘田監督

橘田恵監督 (履正社レクトヴィーナス、履正社高校女子硬式野球部監督)
 女子野球もレベルが年々上がってきており、日本代表チームが最高峰でないといけないと感じています。そのために実力のあるコーチたちの力を借りて、選手たちにより高いレベルの野球を教えたいと思っています。選手たちには、意識のうえでも世界の女子野球のお手本になるように取り組んでほしい。また学んだことを自分のチームにフィードバックして、女子野球全体のレベルアップと発展に生かしてほしいと思っています。

志村亜貴子コーチ (中学校教員。アサヒトラスト所属。日本代表歴6回)
 私は北海道で野球を始め、よりレベルアップできる環境を求めてここまでやってきました。その結果世界を見ることができたし、その素晴らしさも味わいました。その経験を生かして選手の皆さんにアドバイスしたい。役割分担は外野守備の強化です。また勝つことだけがすべてではないので、経験したことのすべてを、将来の女子野球の発展のために生かしてほしい。

左/木戸ヘッドコーチ、右/猪坂コーチ

木戸克彦ヘッドコーチ (阪神タイガース・球団本部プロスカウト部長。85年に阪神タイガースが日本一になったときの正捕手)
「預かった子全部が、元のチームにもどって日本の女子野球を支える人材になってほしい」という橘田監督の考えに共感しました。監督からはバッテリー、特に捕手の指導を頼まれています。またプロ野球に精通している人間として、一般的なセオリーだけでなく、こんな野球もある、あんな野球もあるということを、その子に合った方法で楽しく教えたい。

猪坂彰宏コーチ (大阪ガス社員。元大阪ガス選手、マネージャー)
 社会人野球の要素を取り入れるために呼ばれたと思っています。基本的に遊撃手としてプレーしてきたので、内野守備全般、それに走塁のレベルアップを担当します。塁の回り方、一歩目のスタートの切り方など、基本技術から繰り返し教えるだけでなく、極力ミスをなくすことも指導したい。選手たちには、技術、志など、学んだことをチームに持ち帰って広げてほしい。

■選手たちの感想(関東会場にて)■

左/鈴木選手、右/金満選手 田中選手

鈴木菜乃花(開志学園高校女子硬式野球部)
 多少緊張しましたが、上のレベルを学べた楽しい2日間でした、まだ高校1年生で先が長いので、これからもレベルアップのために努力していきたいです。

金満梨々那(開志学園高校女子硬式野球部。アジアカップ代表選手)
 これから大学生になるので、年上の人たちのプレーが参考になりました。橘田監督にはアジアカップのときに考える野球を徹底的に指導されたので、今回も頭を使った2日間でした。監督は野球をよく知っている人だと思います。怖くはないし、楽しく話してくださいました。

田中美羽(アサヒトラスト・硬式野球)
 トライアウトを受けるのは2回目です。前回悔しい思いをしたので、この日を目指してがんばってきました。参加した選手のレベルは高かったです。相手の動きを見て、自分で考えながらプレーすることを求められたので、勉強になりました。成長が感じられた2日間でした。

内海選手 坂本選手 坂原選手

内海類流子(日本体育大学女子軟式野球部)
 日体大は軟式の大学選手権で何連覇もしているチームですが、ここに来て、上には上がいると思いました。知らないことがいっぱいあったし、課題(宿題)を見て考えるポイントもわかりました。それによって取り組み方も変わりました。今回学んだことをチームのみんなに伝えたいし、自分自身、もっと上を目指さなきゃって思いました。

坂本桃子(日本体育大学女子軟式野球部)
 高校時代は神村学園女子硬式野球部でプレーしていたので、知っている人に会えてうれしかったです。軟式の選手にとって硬球を使うトライアウトは不利で、実力を充分に発揮できたとはいえませんが、それよりもみんなのレベルの高さに驚きました。たとえばボールを捕って投げる、そんな当たり前のことでもレベルが全然違いました。将来は指導者になりたいので、選手をどう引っ張っていくかなど、勉強になることが多かったです。

坂原朱音(札幌シェールズ・軟式野球)
 日本代表になることは中学のときからの夢でしたが、軟式の人は受験できなかったので、今回参加できてとてもうれしいです。参加者のレベルは高かったです。(守備に入った)外野に飛んでくる球の伸びが違うし、打席に立っても甘い球が全然来ない、無駄球がない。硬球にようやく慣れてきた頃に終わってしまいましたが、学んだことは自分の人生にプラスになると思いますし、チームのみんなに伝えたいと思います。

■測定風景■

 全部で21項目の測定を実施。結果は今後に生かせるよう、後日選手に送られることになっている。それにしても、これだけ測るのは大変だったはず。選手の皆様、お疲れ様でした。

以下、左からベースランニング(本塁から二塁まで駆け抜け、本塁~一塁、一塁~二塁のタイムを測定)、遠投、立ち幅跳び、
スイングスピード、肩関接の柔軟性、太もも裏の柔軟性、
背筋、腹筋

ベースランニング 遠投 立ち幅跳び

スイングスピード 肩関節の柔軟性 太もも裏の柔軟性

背筋 腹筋


笑顔全開。第1回四国女子学童大会、盛況のうちに閉幕(2017年12月7日)

一人ひとり名前を呼ばれての選手紹介に、笑顔で手を振る高知家リトルガールズの選手

 12月3日(日)、四国軟式野球連盟(4つの県軟連の上部組織)が主催し、高知県軟式野球連盟が主管する「第1回女子学童軟式野球交流大会」が高知市野球場で開かれた。有志の大会ではない「野球連盟の女子大会」は、四国初だ。

5年生中心の高知家リトルガールズジュニア

 発起人で、閉会までの一切を取り仕切ったのが、高知県軟連事務局長の宮田薫さん。今夏の中学生の全国大会で、監督として県代表チーム「高知家(こうちけ)ガールズ」を8強に導いた人だ。

「来年からNPBガールズトーナメント(小学生の全国大会)は愛媛県の松山市で行われます。でも高知県は第1回、第2回大会は出ていますが、その後3年間出場できていませんし、香川県は一度も出ていません。他県がわざわざ四国まで来てくれるのに、四国の県が出なかったら申し訳ないでしょう。

高知家リトルガールズのエース、細川美彩輝選手。決勝では4回途中まで徳島打線を無安打に抑えた

 それで、夏に行われた四国連盟の会議で『女子野球を盛り上げるために四国の大会を作ろう』と提案し、『ためしにやってみよう』ということになりました」

 やはり全国大会四国開催の影響は大きかった。高知県だけでなく、どの県も女子野球に前向きになっていたのだ。14年に徳島がガールズトーナメントで優勝し、今年は中学生の全国大会で愛媛が優勝、徳島が4強、高知が8強に入ったことも開催に弾みをつけた。

 残念ながら香川県が選手たちの日程が合わずに欠場したが、愛媛(マドンナジュニア愛媛)、徳島(AWA-MUSUME BBS JUNIOR)、高知(高知家リトルガールズ[6年生中心]、高知家リトルガールズジュニア[5年生中心])の、3県4チームが参加した。

ガールズトーナメントにも出場した6年生投手、手塚選手

 どこも代表チームは夏で解散しているので、今回のチームは3年生から6年生まで、初めて女子大会に出る選手も入れて編成されたという。その分、たくさんの選手が女子だけの野球を楽しめたわけだが、それができたのは、やはり地元(四国)開催だからこそ。

 実力的には6年生を10人そろえていた徳島県が群を抜いていた。投げるリズムを変えてタイミングをはずしてくる手塚衣咲選手、楠本とも子選手を思わせるパワー系の加川晴菜選手の二枚看板に加え、2人のリリーフが好投。決勝では投手陣のがんばりに加え、敵失に乗じて機動力を生かし、高知家リトルガールズを13-2で破って初代四国女王に輝いた。

優勝した徳島県。樫本監督は後列左端 第1回大会の結果 
 
 第2回ガールズトーナメント優勝監督で、ずっと代表チームを率いている徳島県の樫本有璃監督は、
「選手の中には、チーム事情でガールズトーナメントに出られなかった子もいるので、今回女子の大会に出られて、とても喜んでいました。
 大会は高知県の皆さんが盛り上げてくださったので、とても楽しかったし雰囲気もすごく良かったです。今まで大会というと四国から出ないといけなかったのが、四国開催なので、家族みんなで前の日から参加する選手もいました」

 2010年に小中高校生チーム「マドンナジュニア愛媛(旧称・マドンナジュニアBBC愛媛)」を立ち上げ、手弁当で愛媛のU18女子野球環境を作ってきた和田博文監督は、
「県軟連の意識が変わったことを感じます。選手集め、資金の調達、お弁当の手配までやってくれて、非常に協力的でした。肩の荷が半分下りた気がします」
 と喜ぶ。

マドンナジュニア愛媛のみなさん。和田監督(左)は創部当時から県外の選手も積極的に受け入れて、野球を続けられるようにしてきた

 高知県軟連の宮田さんは熱く語る。
「四国にはまだ女子野球を経験したことがない子や、全国大会があることを知らない人たちがたくさんいるので、今後も大会や女子野球のPRに努めていきます。女子選手が輝けるステージを作り、野球を生涯愛してくれる人材を育てたい。
 今年はまずは楽しく。皆さんに笑顔になってもらえる演出をいろいろ工夫しました」

 たとえば大リーグのように名前を呼びながら選手一人ひとりを紹介し、攻守交替のときは音楽を流して盛り上げる。保護者たちは豚汁でもてなし、運営スタッフも審判団も笑顔の大サービス。
 四国期待の大会は、晴天の下、たくさんの人々の笑顔に包まれて閉会した。

大リーガーのような紹介は、他の大会じゃ経験できません! リトルガールズジュニアの選手。恥ずかしくも晴れがましい瞬間 高知家ガールズ(中学生)たちもお手伝い。応援も一緒にやりました

豚汁を振る舞うお母さんたち。買い出し、早朝からの準備、後片付けと、本当にお疲れ様でした 会場には小中の全国大会を紹介するパネルなどを展示。みんな興味津々 

※写真提供/高知県軟式野球連盟、AWA-MUSUME BBS JUNIOR


軟式初の企業チーム。佐川急便が女子野球部を創部(2017年11月9日)

 全国に425の営業所をもつ大手運送会社の佐川急便㈱が、来年春までに、女子軟式野球界に参入することが明らかになった。女子野球部を作るのは中京支店(愛知県の小牧営業所拠点)で、現在、野球をやりたい女子社員を大募集中だ。

 同社には男子軟式野球部が全国に7つあり、02年には国体の一般Aで佐川急便中京が優勝しているので、その活躍をご存知の方も多いだろう。

 説明  

 ではなぜ女子野球部を創部することになったのか。小牧営業所の松岡真司(まさし)係長(愛知高校硬式野球部→名城大学硬式野球部。現在佐川急便中京軟式野球部員で、02年の国体優勝メンバー)は次のように語る。

「私は9月まで岐阜県の営業所に勤務していたのですが、そこに高校女子硬式野球部OGの社員(ドライバー)が2人いたんです。彼女たちと所長、私が雑談するなかで、『女子野球部を作ってくださいよ』という話が出て、それは面白いとなったのです。
 東京にはうちの女子硬式野球部があるため、当初は硬式野球部にすることも考えましたが、硬式用の練習グラウンドが少ないこと、硬式は週に何日も練習しないと怪我につながりかねないこと、年齢を重ねると続けるのが難しいことなどから、軟式野球部に決めました」

 運送業界の人手不足のニュースが世の中をにぎわせて久しいが、同社もドライバー不足に悩んでおり、女性ドライバーはいくらでもほしい状況だという。またドライバーはちょっと、という人には別の仕事も検討するという。
 
「仕事と野球を両立できるように、曜日を分けて活動します。現在考えているのは週休3日制(月、木、日曜休み)にし、練習は月曜と木曜の週2回というものです。日曜日はオフか試合にあてる予定です」
 用具の多くは会社から支給され、寮はないものの、住宅手当が出るという。練習は小牧市民球場(小牧営業所から車で約5分)をはじめとする小牧市内の野球場を使用し、監督は松岡さんが務める。

「採用人数に制限はありません。30人集まればチームを2つ作ります。練習は小牧市で行いますが、勤務地は中京支店傘下の愛知県西部、岐阜県、三重県のどの営業所でもいいので、希望があればおっしゃってください」(松岡さん)
 
 すでに全日本女子軟式野球連盟傘下の東海女子軟式野球連盟に創部の挨拶を済ませており、来年創部した暁には、「3年で全国大会出場、5年でジャパンカップ優勝を目指します」とのこと。

 今まで女子軟式野球部を創部しようとした企業はあるが、残念ながら実現には至らなかったため、正社員という安定した身分でしっかりと野球ができ、男子野球部のノウハウをもつ佐川急便の参入は楽しみだ。愛知県以外からの応募も歓迎だそうなので、細かい労働条件など、色々問い合わせてほしい。

●問い合わせ先/m_matsuoka001@sagawa-exp.co.jp(小牧営業所・松岡真司係長)


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