近畿地方の女子野球事情(U18)
近畿地方の女子野球事情
※2009年に『HIT&RUN』(ベースボール・マガジン社)に掲載された記事を再構成しました。数字は09年当時のものです。
好評だった小学生大会
2009年に入って近畿の女子野球が熱くなってきた。3月に吉田えり選手が神戸ナインクルーズでナックルボールを披露し、4月には京都の福知山成美高校が、女子野球日本代表であり女子硬式クラブチームの大阪BLESS代表でもある長野恵利子選手を監督に迎えて、近畿初となる女子硬式野球部を作った。さらに8月には創部3年目の大阪体育大学女子軟式野球部が大学の全国大会で準優勝し、10年の春には女子プロ野球リーグが関西で開幕予定だ。
そんな大人の世界に影響を受けてか、近畿の小中学生の女子野球の世界にもいろいろな動きが出てきた。その最新情報をお届けしよう。
8月29日、京都で小学生の女子大会「近畿少年軟式野球大会 女子選抜の部」が行われた。3回目を迎える09年は、京都、大阪、滋賀、和歌山の4つの各県代表チームが参加し、大阪選抜が優勝、和歌山選抜が準優勝した。
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近畿地方で唯一のこの女子大会、実は関東には女子学童大会があると聞いて、
「それなら近畿ではどのくらい女子選手がいるか調べてみようということで、大阪、京都、和歌山、滋賀、奈良、兵庫の連盟に問い合わせたんです。そうしたら各県30~60人いるということがわかって、それなら女子の交流大会をやろうということになりました」
と大阪府軟式野球連盟の山田三樹理事長は言う。06年の第1回大会は大阪と京都だけの参加だったが、08年と09年は上記4チームで開催。今後は奈良と兵庫の参加が待たれるところだ。

うれしいことにこの大会が回を重ねるごとに女子野球熱が高まりつつあり、11月にはこの大会のために結成された和歌山の3つの学童チームの交流戦が予定されているし、滋賀選抜と石川選抜、福井選抜による交流大会も行われるという。
できれば選抜メンバーによる大会だけでなく、女子なら誰でも参加できる女子大会が各府県で開かれるようになると、近畿の女子野球がさらに盛んになるのではないだろうか。
増えてきた中学生チーム
では近畿の女子中学野球はどうだろう。残念ながら中学野球部にさえ「野球は男子のもの。女子はソフトボールに」と言われることが多いのだという。
そんななか、「中学生になっても野球をやろうよ」と大阪市西淀川区の軟式野球チーム、野田ファイターズのお母さんたちがチームの支援を受けて女子中学部を立ち上げた。野田ファイターズレディースだ。現在野田ファイターズが参加する中学リーグに参加して、男子を相手に何勝かあげているという。
さらに滋賀県でも中学生クラブチームを作る動きがあるという。
もう一つ心強いのが、関西女子野球連盟に所属する大人の強豪女子クラブチームの動きだ。01年に次代を担う若手を育てようと大阪ワイルドキャッツが中学生以上の選手で構成する「ジュニア部門」を発足。今年になって中学生11人を抱えるようになったオール兵庫も8月に「キッズ」をスタートさせ、2チームで交流戦を開始したのだ。

大人の中ではなかなか出場機会がない中学生たちが生き生きとプレーするのを見て、今後中学生や10代選手の交流戦を積極的に開きたいという。
先の野田ファイターズレディースと、現在中学生選手がたくさん在籍する兵庫県尼崎市の百合学院中学、高校軟式野球部との交流戦も行われており、中学生の活躍の場が広がっている。
今、近畿女子野球から目が離せない。
●2010年に関西女子野球連盟が主催する中高生大会
「関西ジュニアリーグ」が誕生し、関西地区のチームだけでなく、福井県や愛知県のクラブチームも参加している。