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13年11月

ヴィーナスリーグで平成国際大学(一般)とオール京急(U16)が優勝!(2013年11月28日)

関東チャンピオンに輝いた平成国際大学

 今年から約8カ月かけて戦う総当たり戦方式に変わった関東の硬式リーグ「ヴィーナスリーグ」が11月24日、終了し、平成国際大学(埼玉)が優勝を果たした。また中学生以下の「ヴィーナスリーグ・Uリーグ」はオール京急(神奈川)が優勝。両チームとも長丁場のリーグ戦で上位につけ、最終コーナーを回ったところで一気に先行チームを抜き去ったという印象だ。

 ヴィーナスリーグの新システムがよくわからないという人のために簡単に説明しよう。

チャレンジマッチで高校生相手に完投勝利したオール京急の樋口投手

 まず高校生以上の「ヴィーナスリーグ」は参加24チームが予選リーグを行い、上位10チームが「クライマックストーナメント」に進出して年間チャンピオンを決める。

「Uリーグ」(6チーム+オープン参加3チーム)はリーグ戦終了と同時にチャンピオンが決まるが、その後、中学生たちの意欲向上のために別大会「チャレンジマッチ」が用意されており、Uリーグ上位4チームとクライマックストーナメント出場を逃した18歳以下チーム(現状は高校生チーム)の上位2つがトーナメント方式で優勝を争う。

 ではそのUリーグの結果から。
 戦いは9月末までリトルシニア関東連盟のLSレディースが7勝0敗と首位を独走し、そのあとをオール京急が5勝1敗で追う展開。

Uリーグとチャレンジマッチで優勝したオール京急の皆さん

 しかし10月以降、オール京急が立て続けに勝ち星を挙げ、8勝1敗に。
 そして迎えた11月9日、オール京急は今シーズン2度目となるLSレディース戦で6-2と勝利し、9勝1敗とする。そして全日程が終了したところで両チームとも9勝1敗、勝率0.900と並んだため、大会規定により、得失点差でオール京急が優勝した。

チャレンジマッチは中学生の意欲を高めるためのもので、優勝してもヴィーナスリーグに昇格できるわけではない

 11月24日に行われたチャレンジマッチの決勝は、中学生のオール京急と高校生のオレンジレディースの対戦となったが、オール京急は樋口紗穂投手が高校生相手に被安打2の見事なピッチング。1-1で迎えた7回裏には2死一塁の場面で連打する勝負強さも見せ、2-1で劇的なサヨナラ勝ちをおさめた。

 ヴィーナスリーグのクライマックストーナメントは準決勝で予選1位の強豪、尚美学園大学を予選4位の蒲田女子高校が破るという大波乱が。また予選3位の平成国際大学も2位の埼玉栄高校を破り、決勝は平成国際大学と蒲田女子高校というカードになった。

蒲田(攻撃)は高校生ながら新宮投手から二塁打をふくむヒット6本を放った

 平成国際大学の先発は前回のワールドカップ日本代表で、120キロを超すストレートが武器の新宮有依選手。蒲田女子高校は今シーズン、主将として投打の柱としてチームを牽引してきた甲斐綾乃選手。

 平成国際は2回表に七番・内田和子の二塁打を足がかりに1点を先制するが、その裏、蒲田は1死二塁の場面で九番・近藤有加の中前適時打などで2点を奪って逆転。それ以降は投手戦となり、甲斐投手は5回まで打者3人に抑える好投を見せ、新宮投手は4回5回とランナーを背負うも最後は気迫のストレートで三振を奪い、得点を許さない。

完投した新宮投手 好投した甲斐投手。最終回は花ヶ崎衣利投手にマウンドを託した

 しかし6回表、疲れが見えた甲斐投手を平成国際打線がとらえ、4本のヒットと3つの四死球で一挙4点を奪って勝ち越しに成功。最後は新宮投手が蒲田打線を3人に打ち取り、5-2で勝利。
 その瞬間、平成国際の選手たちが歓声をあげながらグラウンドに駆け出した。 

総当たり戦に変えたことで予選リーグベスト10の顔ぶれがずいぶん変わった

 
 平成国際大学は新宮選手や吉井萌美選手のような日本代表選手がいる一方で、大学になって初めて野球をする選手も多いチームだ。しかし今年は10月の大学の全国大会で優勝し、このヴィーナスリーグも制するなど著しい成長を遂げた。その理由を濱本光治監督は次のように語った。

「なんといっても新宮選手の投打にわたる活躍に負うものが大きいです。だから途中ケガに泣いた時を除き、私はエースで四番を変えませんでしたし、彼女もその期待によく応えてくれました。またこの一年、自然身体構造研究所の吉澤雅之先生(通称タイツ先生)の指導を受け、選手全員が体に無駄な力を入れることなく楽にバットが振れるようになり、また投げられるようになったことも勝因の一つだと思います」

美しい個人賞のトロフィー

※リーグ戦の結果はこちら →  

クローズアップ 新宮有依選手 (平成国際大学4年)

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 濱本監督が「投球練習はもちろん、打撃についても誰よりも早く来て練習をする努力家」と評する選手で、今シーズンはエースで四番としてチームを引っ張った。クライマックストーナメント決勝でも防御率1.00、打率5割と活躍した。日本代表経験もすでに2回。島根県松江市出身。

 今年5月、キャッチボールの時にボールを顔面に受け、歯を6本損傷するケガを負った。
「チームに迷惑をかけて申し訳なく思うと同時に、運動できなくて筋力や体力が落ちていくのがわかって不安でした。

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 7月からまたマウンドに立てるようになりましたが、8月の松山の全国大会を控えてどうやって自分のピッチングを取りもどそうかと思い、ひたすら投げ込みました。ようやく元のようなピッチングができるようになったのは秋になってからです。
 クライマックストーナメントの決勝では、とにかくここまで来たら勝ちに行こうと全員で話していました。みんな仲が良く、チームワークも良くて、ケガのときもみんなで励ましてくれました。最高のかたちで終われて良かったです」

閉会式も全チームがそろって。壮観です


全国初の試み! 東京都足立区の少年軟式野球連盟が女子中学生クラブを創部!(2013年11月25日)

 来年2月、東京都にまた一つ中学生の軟式クラブチームが立ち上がることになった。作るのは足立区少年軟式野球連盟だ。つまり地域の軟式野球連盟が作る女子中学生のクラブチームということになり、これは全国でも初めての試みだ。

今年、東京都知事杯で優勝した足立フェアリーの選手たち

 足立区といえば東京都の女子学童野球ではピカイチの実績をもつ区で、古くは「足立フレンズ」という選抜チームが東京都の女子大会で連覇したり、IBA-boysのオーストラリア遠征にも参加。昨年は「足立フェアリー」が第1回東京都知事杯で準優勝し、今年は優勝してNPBガールズトーナメント(小学生の全国大会)にも出場している。

 創部の理由を足立区少年軟式野球連盟の増田成典理事長は次のように言う。
「昨年のフェアリー卒団者の親御さんからチームを作ってほしいという話があったからです。やはり中学生になると男子の中ではなかなか試合に出られないということもありますが、もう一つ、思春期という難しい年頃になると男子の中でやるのは着替えやトイレなどの面で不安があるというわけです。
 連盟に依頼がきたのは、連盟のチームなら安心できるからでしょう。また連盟ならグラウンドを取りやすいというメリットもあります。

 足立区は今学童選手の約1割が女の子で、その数は年々増えています。ですから親御さんと連絡を密にしながら、安心して野球が続けられる環境を作ってあげたいと思っています。また地域の少年野球連盟が作る女子クラブチームとして、全国のみなさんに参考にしていただけるような活動をしたいと思っています」

 1期生は足立フェアリーOGがほとんどのため、小学生のころからお互いに顔を知っている同チームの小林均司監督が総監督に就任し、時には小学生チームと一緒に練習する予定だという。活動日は土日祝日。学校で部活動をしている人も参加できるが、スケジュールが重なった場合は基本的にこちらのチームの活動を優先してほしいという。

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 足立区の中学生の軟式野球大会に出場したり各種女子大会に参加予定で、都内の女子チームと練習試合もしたいとか。

 小学生時代、足立フェアリーに入らなかった区内の選手はもちろん、足立区以外の選手も入団できる。

「他区の選手が入り、その成長を見ることで、その子の区の連盟が女子チームを作ってくれたらうれしいですね。私たちの願いは女子野球の環境を広げること。そのために中学でも野球をやりたいという子がいたら、みんな受け入れる覚悟はあります」(増田理事長)

 正式な創部は来年4月だが、小学生の活動が一段落する2月ごろから練習を始める予定だ。興味のある人はぜひ以下まで問い合わせを。

●問い合わせ先/03-3852-8551(足立区少年軟式野球連盟事務局)


北陸の秋季大会でダラーズ(一般)とダイヤモンドガールズ(中高生)が優勝(2013年11月21日)

美しく晴れ渡った空の下、大会は行われた。写真は一般の部のダラーズvsビームス戦

 夏の全国大会(軟式)に向けて秋と春の2回行われている「全日本女子軟式野球選手権大会 北陸地区予選」。その第15回秋季予選が11月17日に行われ、富山、石川、福井から集まった4チームが優勝をかけて火花を散らした。

 北陸は1987年から富山県魚津市で大学軟式の全国大会が開かれているせいか、知る人ぞ知る女子野球のメッカで、最盛期は富山と石川だけで大学とクラブ合わせて8~9チームが活動していた。

ダイヤモンドガールズ(攻撃)vsビーンズ戦(中高生の部)

 優れた人材も輩出していて、たとえば金沢学院大学女子軟式野球部OGで、日本代表経験5回、そのコーチ歴2回の松本彩乃選手(ブレインズ→倉敷ピーチジャックスレディース→ダラーズ)や、松本選手の大学の後輩で日本代表経験6回の坂下翠選手(ダラーズ創設者)などがいる。

 現在は3つの大学チーム、2つの一般クラブチームが活動し、11年からは富山と福井に誕生した中高生クラブチームも加盟して新しい時代を迎えている。

 さて、この時期の北陸には珍しい抜けるような青空の下、石川県能美市の根上(ねあがり)球場では、一般の部のダラーズ(石川)対ビームス(富山)の試合と、中高生の部のダイヤモンドガールズ(福井)対ビーンズ(富山)の試合が行われた。

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ダラーズ116019
ビームス000101

 一般の部ではダラーズが2回までに2点を先取し、さらに3回に相手投手の制球の乱れと守備のほころびに乗じて大量6点を挙げ、8-0に。ビームスは4回裏、四球で出たランナーが内野ゴロの間にホームを陥れて1点を返すが、ダラーズは5回にも加点して、9-1で優勝した。

 中高生の部では3回にダイヤモンドガールズが1点先取。ダイヤモンドガールズは5回にもヒットと四球でランナーをため、山野菜智の右前適時打などで4点を追加。

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ダイヤモンド0010405
ビーンズ0000000

 一方ビーンズは相手投手陣に5回まで1安打に抑えられるが、6回、井林いづみが左前安打で出塁。しかし相手の好守備に阻まれて得点できず、ダイヤモンドガールズが5-0で優勝した。

 秋の全国大会予選はこれで終了したが、このあと北陸チームのレベルアップのために双方の優勝チームが対戦。ダラーズが打って走って9-2と貫禄の総合優勝をおさめた。特に坂下選手と、この春岡山から北陸にもどってきた松本選手が積極的な走塁を見せ、中高生たちに範を示した。

 長い歴史をもち、ベテランから小学生まで人材にも恵まれた北陸。今年は「NPBガールズトーナメント」(小学生の全国大会)に北陸はどこも出場できなかったが、現場からは来年はぜひ出場したいという声がたくさんあがっており、今後は小学生レベルから女子野球の機運が高まりそうだ。その意味でも、子どもたちの野球人生のライン上にあるこの大会をぜひ盛り上げていってほしい。

 全国大会出場チームは来春の北陸地区予選を経て決まる。

●全女連北陸支部の皆さん
一般の部で優勝したダラーズ(石川県)。坂下選手は前列左から3番目、松本選手はその左 富山県から参戦したビームス

中高生の部で優勝したダイヤモンドガールズ(福井県)。ジュニア(小学生)チームもある ビーンズ(富山県)はビームスから独立した中高生チーム

クローズアップ 内藤沙弥選手 (ダラーズ、26歳)

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 ダラーズの若手のまとめ役としてなくてはならない存在。兵庫県出身。少年野球チームでプレーした後、中高はソフトボール部に入部し、金沢大学進学後にダラーズで再び野球を始めた。

 走攻守に秀でたバランスのとれた選手で、状況判断も的確。ノーサインでもその時求められているプレーを考え、きっちり決めてみせる。
 肩の調子が良かった2年前は、セカンド、ショート、投手をこなすオールラウンダーとして活躍。チーム最多の16試合に登板し、防御率1.30の成績を残した。今年はセカンドとファーストを守り、守備率は.990。

「入団当初は本当におとなしく、話題探しに苦労するような選手でしたが、今では若手のリーダーとしてチームを引っ張ってくれています。休日でも『若い子たちを誘って練習をするので、監督、来てください』と連絡が来ることも。人一倍練習をし、努力する選手です。

 彼女をひと言で表現するとですか? 『努力』×『継続』+『センス』+『人間性』の『野球バカ』でしょうか(笑)」(吉田典宏監督)

※写真提供/全女連北陸支部


四国初の小中学生大会で福井(小学生)と滋賀(中学生)のチームが優勝(2013年11月21日)

マドンナジュニアの選手と大会を支えた愛媛の皆さん。赤いユニフォームはマドンナ松山の選手、左端は愛媛マンダリンパイレーツの選手とそのマスコット、中央は愛媛県のマスコット「みきゃん」

 9月7日の記事でご紹介したように、11月16、17日、愛媛県松山市で四国初となる小中学生の軟式大会「小野スポーツ交流女子軟式野球大会(小学生の部中学生の部)」が開催され、小学生の部5チーム(マドンナジュニアBBC愛媛、徳島県選抜、岡山レインボーガールズ、ガールズ広島、ダイヤモンドガールズジュニア〔福井〕)と、中学生の部4チーム(マドンナジュニアBBC愛媛、広島レディース、岡山スカイマーメイド、滋賀マイティーエンジェルス)が熱戦を繰り広げた。

福井の村田凪佐選手は投打に大活躍。小学生の部にて

 この大会、愛媛県、特に松山市を挙げての大会となった。というのも主催した総合型地域スポーツクラブ「ONOスポーツクラブ」の特別顧問が中村時広愛媛県知事のため、大会を全面的に応援してくれたからだ。

 また知事や野志克仁松山市長が女子硬式チーム「マドンナ松山」の顧問をしている関係で、同チームに知事や市長から大会サポートの依頼が入り、選手たちが中学生の部の塁審を務めてくれた。さらにONOスポーツクラブのお膝元、松山市小野地区のみなさんも子どもたちのために無償で裏方をかって出てくれたという。

 そんな温かい雰囲気のなかで行われた大会。小学生の部では「NPBガールズトーナメント」(小学生の全国大会)に出場した徳島県選抜とガールズ広島が再結成され、エントリー。徳島の山田有璃監督も広島の沖田靖身監督も「全国大会後は練習らしい練習はしていませんが、子どもたちはこの大会に出られて大喜びしています」と口をそろえた。

中学生の部、決勝。マドンナジュニア(攻撃)vs滋賀マイティーエンジェルス

 予選リーグの成績は愛媛、徳島、福井、広島、岡山の順で、上位4チームによって決勝トーナメントが行われ、決勝には準決勝でガールズ広島を4-2で破ったマドンナジュニアBBC愛媛と、徳島県選抜を8-5で破ったダイヤモンドガールズジュニア(福井)が進出した。

 試合は両者の力が拮抗し、点を取られては取り返すという展開。しかし6-3と福井リードで迎えた7回、福井の三番・村田凪佐、四番・市川愛渚が連続ホームランを放ってダメ押しの3点を奪い、9-3で福井のダイヤモンドガールズジュニアが優勝した。
 同チームの小坂泰雅事務局長は、「今年のチームは村田、市川、小坂未羽のクリーンナップを中心に、打撃では6年生の男子にも負けません。また守備もうまく、完成度が高いチームです。優勝できて本当にうれしいです」と声を弾ませた。

滋賀の川崎千由紀投手は11年に滋賀の学童選抜が岡山の大会で優勝したとき、主将を務めた選手。成長しました!

 ちなみに同じ日、石川県で行われた中高生の北陸大会では、お姉さんチームのダイヤモンドガールズが優勝し、福井勢は小学生、中高生のダブル優勝を果たした。

 中学生の部は、予選リーグも決勝トーナメントも滋賀のマイティーエンジェルスが四国や中国のチームを投打に圧倒し、4試合で3失点という素晴らしい成績で全勝優勝した。
 上野竜也監督は、「夏に東京で行われた中高生の全国大会で千葉のチームに打ち負けたので、それからは練習のたびに1人300本の打撃練習を課してきました。優勝できたのはそのおかげかもしれません」と語った。

 今まで環境がなかった四国の子どもたちのために初めて作られた小中学生大会。残念ながら日ごろ大会出場経験を重ねている他の地方のチームに優勝は譲ったが、地元愛媛のマドンナジュニアBBC愛媛が小中の部とも準優勝をおさめるなど、実り多い大会だった。この大会を機に、四国勢はさらに力をつけていくに違いない。

小学生の部で優勝したダイヤモンドガールズジュニア(福井) 中学生の部で優勝した滋賀マイティーエンジェルス 

●大会の結果は → こちら(ONOスポーツクラブ)

※写真提供/ONOスポーツクラブ、滋賀マイティーエンジェルス、ダイヤモンドガールズジュニア
 


関西の硬式リーグで履正社RectoVenusと福知山成美高校Bが優勝(2013年11月19日)

レクトヴィーナスvs京都両洋A(攻撃)。予選リーグにて

「いつか関西でも硬式野球の長期リーグ戦を!」という関係者の願いから生まれた「関西女子硬式野球リーグ」が11月16日に閉幕し、Aリーグ(高校生以上中心)は履正社RectoVenus(以下レクトヴィーナス)が、Bリーグ(中学生以上中心)は福知山成美高校Bが優勝した。

 第1回大会ということでまだ要綱は流動的だが、ふだんベンチに入れない選手も出場できる教育リーグという位置づけで、年齢で分ける2リーグ制(各5チーム)、試合は予選リーグ+決勝トーナメント方式、期間は9月半ばから11月半ばという内容で実施された。

Aリーグ決勝のスコアボード

 しかし大会がスタートした直後の9月16日、福知山市を台風18号が襲い、メイン会場の福知山市民球場脇を流れる由良川が氾濫。一時は大会開催が危ぶまれたが、なんとか他球場を手配して大会を続行。関西の皆さんにとっては忘れられない第1回大会となった。

 さて大阪BLESS、大阪体育大学、レクトヴィーナス、福知山成美高校A、京都両洋高校Aが参加したAリーグは、「実力にあまり差がなく、どこが勝ってもおかしくない状態」(大会関係者)だったが、レクトヴィーナスが予選リーグ1位(3勝1分)で決勝へ。相手は決勝トーナメント準決勝で福知山成美A(予選2位)を6-4で下した京都両洋A(予選3位)。

レクトヴィーナスの主砲、斎村選手

 レクトヴィーナスは初回に京都両洋に1点先制され、また相手の好守備に阻まれてなかなか得点できなかったが、6回表、斎村成美、野上菜未の連打などで2点を返して逆転。そのまま逃げ切った。

 レクトヴィーナスの橘田恵監督は「夏の松山の全国大会で優勝したものの、10月の千葉のクラブ選手権では7位に終わったため、選手が奮起したのだと思います」と振り返った。

 福知山成美高校B、京都両洋高校B、京都外大西高校、丹波ガールズ、ピュアエンジェルが参加したBリーグは、予選リーグから福知山成美B(1年生チーム)が投打に圧倒的な強さを見せ、全勝で決勝へ。

福知山成美B(攻撃)vs京都外大西。予選リーグにて

 対するのはピュアエンジェル。同チームは決勝トーナメント準決勝で、ふだん試合に出られない選手を積極的に起用した京都外大西をシーソーゲームの末破り(3-5。8回タイブレーク)、決勝に進出した。

 試合は福知山成美の大串桃香投手が完封まであと一歩という好投を見せ、また打線も援護して6-1で福知山成美が勝利(日没6回コールド)。しかし敗れたとはいえピュアエンジェルは、女子プロ野球ユースチームから一般の中高生クラブになったこの1年の苦労を思えば、よくぞここまでがんばったといえる。

好投した福知山成美Bの大串投手

 関西には来春、神戸弘陵学園高校(兵庫)、履正社高校(大阪)、プール学院大学(大阪)、㈱ヒューマンドリーム(大阪)など、たくさんの団体が女子硬式野球部を創部予定だ。これらの新チームや既存のチームのレベルアップ、交流の場として、この大会の重要性はさらに増すに違いない。
 また若い世代のチームが増えることで現在は少ない社会人チームも増えることが予想され、いよいよ関西も本格的な女子硬式野球時代を迎えたといっていいだろう。

 余談ながら関東の硬式リーグ「ヴィーナスリーグ」の様子は全試合スポーツ報知が報じているが、この関西の硬式リーグはデイリースポーツが報じることになったという。それだけ購買数が期待できる、つまり女子硬式野球人口が増えたと新聞社が判断したわけで、それはそれでうれしい話ではないだろうか。

●大会の結果はこちら → 

※写真提供/履正社RectoVenus、京都両洋高校、福知山成美高校


東京都府中市の学童大会で町田女子選抜が2連覇(2013年11月18日)

決勝4回表、四球で出塁した江戸川の伊沢凛選手は押し出しでホームを踏む

 今年で第7回を迎えた「学童女子軟式野球交流大会」(府中市学童野球連盟主催)が東京都府中市で行われ、昨年を上回る28チームが参加して優勝を争った。

 この大会の特徴は参加資格は東京都のチームに限っているものの、一つの支部から2チームエントリーできるところ。そのため第二の東京都知事杯(都大会)と位置づけて都知事杯当時は参加できなかった支部がエントリーしたり、町田市のようにクラブチームと少年野球チーム選抜の2チームが出場したところもあった。

 11月16日(土)の準決勝に臨んだのは町田女子選抜(少年野球チーム選抜)、オール調布ベリーズ、オール昭島、江戸川エンジェルズ。そのうちオール昭島が学校行事の都合でどうしても選手がそろわずに棄権。その結果、江戸川エンジェルズと、準決勝でオール調布ベリーズを2-1のサヨナラで破った町田女子選抜が決勝に進出した。

北戦と準決勝の調布戦で好投した町田の5年生、佐藤裕実果投手 身長が伸びて球威が増した調布の池田杏香投手 町田の大嶽希実主将。準決勝にて

 町田女子選抜は昨年のこの大会の覇者で、今年は東京都知事杯で準優勝して夏のNPBガールズトーナメント(全国大会)にも出場している。対する江戸川エンジェルズは昨年の東京都知事杯で優勝するなど、受賞歴多数の強豪だ。

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江戸川30025
町田222×6

 試合は互いに相手投手を攻略できず、ヒットが少ない中での点の取り合いとなった。
 1回の表、江戸川は町田の先発・堀田葉月投手の立ち上がりを攻め、1死一、三塁の場面で四番・木戸脇柚璃の三累打などで3点を先取。その裏、町田は押し出しなどで2点を挙げると、その後も毎回得点で逆転。しかし粘る江戸川は4回表、相手投手から2連続押し出しを奪って追いすがるが、反撃もここまで。6-5で町田女子選抜が江戸川エンジェルズを下して大会2連覇を果たした。

全国大会のマウンドも踏んだ町田の堀田葉月投手 力強い投球で町田打線をおさえた木戸脇柚璃投手

 町田女子選抜の大嶽希実主将は「全国大会の1回戦では逆転負けしてすごく悔しかったので、みんなで府中の大会では絶対に優勝しようねと言っていました。キャプテンとしてはみんなの意識を高めるために、遅かった色々な準備のスピードを上げるように声をかけたり、自分でも率先してやるようにしました。その効果はあったと思います。2連覇できてすごくうれしいです」と笑顔を見せた。

 6月の東京都知事杯のときに比べてどのチームも選手の体が大きくなり、野球もうまくなっていて驚いたが、精神面でも成長したことを大嶽主将の言葉から実感した。

昨年に続き優勝した町田のみなさん。

●大会の結果はこちら → 


新生「侍ジャパン」に女子も参入。第6回ワールドカップは宮崎県で開催(2013年11月7日)

新生「侍ジャパン」の監督(後列)と代表選手(前列)たち。中央手前に志村選手、その左奥に大倉監督

女子野球というカテゴリーを野球界が正式に認知

新生「侍ジャパン」一覧

 11月6日、新生「侍ジャパン」全世代結成式が都内で行われ、新しい日本代表のユニフォームに身を包んだ7つのカテゴリー(右の表参照)の監督と代表選手が抱負を述べた。そのなかには第6回女子野球ワールドカップ日本代表監督を務める大倉孝一さん、第5回大会の主将を務めた志村亜貴子選手の姿もあった。

 本題に入る前に新生「侍ジャパン」とは何かについて説明しよう。
 これまで「侍ジャパン」の呼び名はWBCに参加する男子チームに対して与えられてきたが、今後は表の7つのカテゴリーの日本代表チームに対して与えられることになり、そのすべての日本代表チームを総称して新生「侍ジャパン」と呼んだのである。つまり今後「侍ジャパン」は一つではなくなり、「侍ジャパン」の概念そのものが変わることになる。

これからの野球界のビジョンとして示されたもの

 この新生「侍ジャパン」構想が生まれた背景には、ここ数年進められてきた野球界の方針転換がある。簡単にいえばプロ、アマ、硬式、軟式、男、女、年齢によってバラバラだった各組織の方向性を一つにし、みんなで協力して野球界全体の活性化と発展を図ろうというのである。そしてその方向性とは「底辺拡大」「国際化」「地域密着」であるという。

 そのためにこのサイトでも何度か紹介してきたように、今年4月、硬式と軟式のアマチュア組織を傘下におさめる全日本野球協会が発足し、5月には世界最強チームを作るために全日本野球協会と日本野球機構(NPB。プロ12球団を統括する団体)が「野球日本代表マーケティング委員会(JBMC)」(任意団体)を立ち上げた。

大倉孝一監督

 そして野球界全体の融合と日本代表の強化を象徴するのが、新生「侍ジャパン」なのである。

 画期的なのはそのカテゴリーのなかに女子野球が入ったことで、今まで女子野球がたどってきた苦難の歴史を考えると隔世の感がある。これでやっと女子野球も競技として正式に認められたといっていいだろう。

 記者会見でトップチームの小久保裕紀監督などに続いてマイクを握った大倉孝一監督は、
「女子も侍ジャパンのなかに加えていただいてとてもうれしく思いますし、今がんばっている選手たちにとってもすごい励みになると思います」
 と挨拶し、志村亜貴子選手は、

フラッグにサインする大倉監督(右)と志村選手(左)。このあと監督と代表選手全員がサインした

「今女子野球は人口が増えていますが、環境はまだまだです。私たちが勝つことでそんな状況が変わっていくと思うのでがんばりたいと思います」
 と決意を語った。

●野球界全体図は → こちら
●侍ジャパンについては → こちら(オフィシャルサイト)
●新ユニフォームについては → こちら(ミズノ)

第6回女子野球ワールドカップと代表選手の選考について

 現時点で明らかになっている次回ワールドカップの詳細を紹介しよう。

大会名/第6回WBSC女子野球ワールドカップ宮崎大会2014
開催日/2014年9月1日(月)~9月7日(日)
開催会場/サンマリンスタジアム宮崎、アイビースタジアム(ともに宮崎市)

サンマリンスタジアム宮崎

監督/大倉孝一氏(第2~4回女子野球日本代表監督)
参加国/8カ国(2013年の世界ランキング上位8チームが原則だが、まだ確定していない)
主催/世界野球ソフトボール連盟(WBSC)
主管/全日本野球協会、日本野球連盟(JABA)、日本女子野球協会
※大会の運営は全日本野球協会や日本女子野球協会、みやざき観光コンベンション協会、MRT宮崎放送などからなる大会実行委員会が行う。

 代表選手の選考については日本女子野球協会のサイトに詳しいが、以下に要点を紹介する。

資格/硬式野球選手に限る(軟式野球、ソフトボールなどの選手は対象とならない)
選考方法/前回までの誰でも受けられるオープン形式のトライアウトをやめ、まず規定を満たす硬式チームの監督推薦を受け、その後トライアウトを受ける方式に変わった。11月上旬現在、監督による選考が進んでいる。

 資格の規定や選考方法が変わった理由など、詳しくは日本女子野球協会のサイトをチェックしてほしい。 → こちら


IBA-boysの学童大会で「オール船橋レディースプラス」が初優勝(2013年11月6日)

決勝は船橋(左)VS山梨(右)

 現在行われている女子学童大会の中で最も歴史が古い「IBA-boys 学童女子選抜大会」(96年創設)が11月2~3日に埼玉県で開かれ、東京、千葉、埼玉、新潟、山梨から集まった10チームが熱戦を繰り広げた。

 実はこの大会、近年は強いチームが彗星のごとく現れては決勝まで勝ち上がるというパターンが繰り返されている。つまり強いチームが生まれるたびに対戦相手を求めてこの大会にエントリーし、優勝をさらっていくのだ。

 たとえば07年、08年は関東の複数の女子大会で優勝した「茨城クイーン」が準優勝、優勝とステップアップし、09~11年は新潟の「BBガールズ選抜」が3連覇。12年はNPBの関東大会を制した「山梨女子選抜」が初出場、初優勝をおさめている。

 そして今年も新星が現れた。「オール船橋レディースプラス」だ。

この大会でもギャラリーをうならせた相澤投手

 このチーム、大会が始まったころから参加している古豪「オール船橋レディース」(船橋市選抜)に千葉県内の選手を「プラス」して作られたチームなのだが、そのメンバーは今夏のNPBガールズトーナメント(女子学童の全国大会)で準優勝した「千葉なのはなガールズ」と全く同じ。

 つまりNPBガールズトーナメントを見た人間にとっては、その準優勝チームが新たに参戦したイメージだ。

 同チームは準決勝で第1回大会から参加している強豪「東西レディース」を7-0のコールドで破って決勝に進出。
 もう一つの山は準決勝で「BBガールズ選抜」を7-4で破った「山梨女子選抜」が勝ち上がったが、こちらもNPBガールズトーナメントに出場した「山梨選抜」と全く同じチームで、全国大会では8強に入っている。

山梨は5回に伴野瑞希が二塁打で出塁するも得点ならず。船橋のショートは安川主将

 
 はからずも全国大会出場チーム同士の戦いとなった決勝戦。

 1回の表、船橋は四番・相澤ありさの左前適時打で幸先良く1点を奪うと、2回にも1死二、三塁の場面で九番・清水咲良が二塁打を放って2点を追加。

 一方山梨は1回の裏、2死二、三塁のチャンスに四番・杉田優花が初球を思いきり振り抜き、打球は勢い良くセンターへ。しかし船橋の中堅手・有本遥香に好捕され、8→6→2の見事な中継プレーにあって得点できなかった。

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船橋120003
山梨000000

 
 結局山梨は船橋の豪腕投手・相澤ありさに4回までノーヒットに抑えられて反撃の機会を作れず、最後は船橋のクローザー・佐藤愛が山梨の打者を三振に切ってとって試合終了。

「オール船橋レディースプラス」(千葉なのはなガールズ)は初の優勝を手にし、MVPには相澤ありさ投手が選ばれた。

 船橋も山梨も全国大会後は練習できなかったというが、船橋のキャプテン、安川しおり選手は「みんなに会ったのは久しぶりだったけど、すぐにまた仲良くなれました」と笑顔を見せ、夏に果たせなかった優勝を喜んだ。

胴上げされる清水捕手 船橋の人たちにとってはチーム史上初の優勝

●大会の結果はこちら → IBA-boysのサイト


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