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15年10月

プロ野球選手から高校女子野球部監督へ。小久保志乃選手にインタビュー(2015年10月26日)

小久保選手は女子プロ野球1期生

 来春、岐阜第一高校の教員になり、女子硬式野球部の監督を務めることになった兵庫ディオーネ主将の小久保志乃選手。プロ通算200安打を達成し、理想的な転身を決めた彼女に、これまでの野球人生で学んだことや指導者としての抱負をうかがった。

――岐阜第一高校に行くことになった経緯を教えてください。
小久保 9月末に機構に「引退しようと思っています」とお伝えしたとき、来年女子硬式野球部を立ち上げる岐阜の高校が指導者を探している。その指導者にどうですか? というお話をいただき、ぜひにとお答えしました。

――引退後のプランはあったと思うのですが、ぜひにということは、それがベストな選択だったということですか?
小久保 はい。どんなかたちでもいいから女子野球に携わっていたいと思っていましたし、将来的に指導者にもなりたいと思っていましたから。本当に私にはもったいないお話だと感謝しています。

――小久保さんは中学時代は「中野リトルシニア」(東京都)にいらしたんですよね?
小久保 はい。本当は中学になったら野球をやめようと思っていたんですが、誘われて見学に行ったら、指導者の皆さんが女子でもあたたかく迎えてくださって。
 でも中学になると男子との体力差が出てくるので公式戦に出ることはできませんでした。練習試合もほとんど出た記憶がないですね。でも野球ができるだけで楽しかったし、練習しかできなくても自分が向上しているという実感があったので、試合に出られないことはあまり気になりませんでした。

――高校で女子硬式野球部がある学校(花咲徳栄高校)に入ったのは、思い切り野球がしたかったからですか?
小久保 いえ、高校のときも野球を続ける気はなかったんです(笑)。女子野球というものがあることを知らなかったし、男の子のなかでやるのは限界かなって思っていたので。でも同じシニアの男子が花咲徳栄高校の見学に行くとき、女子もあるらしいよって教えてくれたので、その子について行って、アポなしで女子の練習に交ぜてもらいました。
 まさか女の子と野球ができるなんてって思いましたね(笑)。今までやったことがない女子だけの野球っていうのがすごく楽しくて、ここでまた野球ができるって思いましたし、やりたいと思いました。

――高校でのポジションはどこでしたか?
小久保 ピッチャーと外野手をやらせていただきました。試合に出て野球に主体的に関われるようになったので、高校時代に初めて野球の本当の楽しさを知ることができました。

――高校時代は第1回女子野球ワールドカップに出場するなど活躍なさいましたが、当時は将来についてどんなビジョンをおもちでしたか?
小久保 体育教師になりたいと思っていたので、教員免許を取りに日本女子体育大学に進みました。野球関係の仕事に就くという気持ちはなかったですね。
 ちょうど高校3年のときに花咲徳栄高校OGのクラブチーム「ハマンジ」ができたので、大学時代は勉強のかたわらハマンジで野球をするという生活でした。

――ところが大学4年のときに日本女子プロ野球機構ができた。それでトライアウトを受けたんですね?
小久保 はい、迷うことなく(笑)。本当に卒業のタイミングでプロができるっていうのは運命なんじゃないかなって(笑)。

――プロでの経験を踏まえて、高校生たちに何を伝えたいですか?
小久保 技術はもちろん、どうしたら強い気持ちをもてるかといったメンタルの部分ですね。

――ご自身は選手として成長するためにどんな努力をしてきましたか?
小久保 (少し考えてから)「聞く」ということは多くしてきたと思います。自分がどういう状態なのか、どうしたらいいのかとか。(指導者に)聞くってすごく大切だと思います。自分の現状を知ることは、次のステップに進むためにとても大事なことなので。

――では高校生たちには「聞くことができる人」になってほしいと?
小久保 はい。

引退会見に臨む小久保選手と太田幸司・日本女子プロ野球機構SV(9月26日)

――ほかにこういう指導をしていきたいということは?
小久保 高校生はまだ成長期にあるので、まずは怪我をしないような体作りや投げ方などを指導したいですね。いい選手でも怪我をしてしまったら何にもならない。高校って3年間しかないですから、その時間を無駄にしないようにしたいですね。
 高校には中学で軟式野球をやっていた選手や、ほかの競技をやっていた選手も来ると思うので、1年目は体力作りと基本の指導が中心かなと思っています。

――トレーナーはつくのですか?
小久保 まだ学校とそういう話をしていないのでわからないのですが、今女子プロ野球のトレーナーさんに色々聞いています。また日本女子プロ野球機構は以前、選手全員に柔道整復師の勉強を義務づけていたので、私は資格は取らなかったのですが、少しはできることがあると思っています。
 
――高校女子硬式野球部の監督としてどんな目標をおもちですか?
小久保 やっぱり「女子野球ジャパンカップ」に出ることです。プロを倒してやりたいですよね(笑)。

――最後にプロで過ごした6年間を振り返っての感想を。
小久保 プロ生活に悔いなしです(笑顔)。


岐阜第一高校が来春、女子硬式野球部を創部。監督はプロ退団予定の小久保志乃さん(2015年10月20日)

 中部地方にお住まいの皆さんに朗報だ。岐阜県本巣市にある私立・岐阜第一高校(男子校)が来年4月、共学化するにあたって女子硬式野球部を創部するのだ。本巣市は県西部に位置し、日本三大桜の一つ「根尾谷 薄墨桜」で知られる土地だ。

野球場全景

 岐阜県といえば14年に女子学童選抜「岐阜選抜ドリームス」ができ、NPBガールズトーナメント(小学生の全国大会)に参加しているが、今まで大人の女子野球チームが作られたことがないため、県内の女子野球の認知度は高いとはいえない。

 そんななか創部に踏み切った理由を、学校は次のように言う。
「共学化にあたって何が女子にアピールするか考えた結果、野球とバレーボールという結論に至りました。特に女子野球部は他校にない、インパクトのある部活として魅力を感じています。本校は過去に6回も甲子園に出場しているので、女子野球部の活躍を楽しみにしています」

 作るからにはいい指導者がほしいということで、女子プロ野球チーム、兵庫ディオーネを退団予定の小久保志乃選手を監督に迎えることにしたという。
「体育大学を卒業して教員免許をおもちなので、保健体育の教員としてお迎えします。野球のキャリアが申し分ないのはもちろん、人柄も優れ、教員としてしっかり生徒指導もできる方だと思います。ぜひ目標をもった活力のある生徒に入部していただき、小久保先生と一緒にたくさんの事を学んでいただきたいと思っています」

オープンキャンパス・チラシ

 同校には普通科(カレッジコース、プログレスコース、スポーツコース)、工業科(自動車工学コース、電子機械コース)の2科5コースがあるが、本気で野球をやりたい人は練習時間が多いスポーツコースに入学するのが基本とのこと。ただしスポーツコース以外の生徒も入部することができる。

 練習環境は整っており、ナイター設備を完備した両翼90mの松翠学園野球場(男子野球部と曜日や時間を分けて共用)、雨天投球練習場、トレーニングジム、校舎南のグラウンドなどを使用する。
 女子寮はまだないが、近隣のアパートを学校が借り上げ、食事は学食で3食食べられるようにするという。

 学校見学は随時。11月22日(日)、12月6日(日)にオープンキャンパスを予定しており、11月22日(日)には女子プロ野球チーム、兵庫ディオーネと京都フローラによるエキシビションマッチが行われる。終了後には野球教室も開催されるので、中学生でなくても足を運んではいかがだろうか。

●問い合わせ先/058-324-2161(岐阜第一高校 担当/大場順二副教頭、河原林博史副教頭・入試渉外部長)
●参考URL/http://www.gifu-daiichi.ed.jp/index.html(岐阜第一高校)  
 
※小久保選手のインタビューは後日アップいたします。

野球場は両翼90m ナイター設備も完備

投球練習場 雨天投球練習場

トレーニングマシンを備えたスポーツ実習室 学校のマイクロバス

※写真提供/岐阜第一高校


神奈川県に2つ目の中学硬式クラブが誕生!(2015年10月16日)

 神奈川県西部に位置する秦野市に、この10月、中学生の硬式クラブ「西湘Future(せいしょうフューチャー)」が誕生した。

説明

 監督には「高松宮賜杯全日本軟式野球大会」(社会人の全国大会)に出場した経験をもち、少年野球チーム「秦野ドリームス」の指導経験も長い加藤文彦氏(52歳)が就任。来年4月の本格始動に向け、ただ今1期生を募集中だ。

 創部の理由を加藤監督は次のように言う。
「今年、女子児童の神奈川県大会で、秦野市選抜『秦野桜エンジェルス』の監督をさせていただいたのですが、そのとき、才能があるのにまだ開花していない選手が何人もいたんです。それで、女の子だからこの程度できればいいというのではなく、基本からしっかり教えて、次のステップで活躍できる選手に育てたいと思ったのです」

 実は加藤監督のお嬢さんは、このたび女子プロ野球のトライアウトに合格した加藤優さん。少年野球から中学硬式野球などを経て高校ソフトボール部に入ったものの、やっぱり野球がやりたくて退部し、女子企業チーム「アサヒトラスト」に入団した経歴をもつ。
 決して平坦ではなかったその道程を見て、女の子には女の子だけで思い切り野球をやらせてあげたい、女子野球を発展させたいと思ったことも創部の理由だという。

 練習は土日祝と、平日の夜間(週1、2回)を予定。残念ながら専用グラウンドがないので、秦野市や県西部の公共グラウンドを利用するそうだ。

「私の場合、指導者というよりサポーターといったほうがいいかもしれません。とにかく女の子の成長をサポートしたいという気持ちでいます」と言う加藤監督。
 中学で女子硬式野球をやりたい人は、まずは説明会に足を運んではいかがだろうか。

●入団説明会/11月21日(土) 17時~と19時~の2回
        於・秦野市文化会館2階 第2会議室
       11月22日(日) 13時~と15時~の2回
        於・秦野市文化会館2階 和室
●問い合わせ先/090-4940-6451(事務局・加藤育彦)
●チームホームページhttp://seisyoufuture.89dream.jp/


女子プロ野球、今年3回目のトライアウトを11月に実施(2015年10月9日)

 日本女子プロ野球機構は10月7日、今年3回目となるトライアウトを11月14日(土)、15日(日)、埼玉県の尚美学園大学で開催すると発表した。

10月4日の試合で3打数3安打1打点と活躍したアストライアの川端友紀選手

 これまで関西で行われたトライアウトで3人、関東で行われたトライアウトで5人の入団が内定しているが、さらに人材を募る理由を機構の広報に聞いてみた。

Q1 さらに選手を求めるのは来期、チーム数や試合数が増えるからですか?
A  今のところチーム数も試合数も変更の予定はなく、従って変更(増加)に伴う追加募集ではありません。

Q2 何人ぐらい採用する予定ですか?
A  毎年採用する人数は決まっておらず、良い選手がいれば採る、いなければ採らないというスタンスです。

Q3 東北レイアは来期も新人育成部門という位置づけで活動するのですか?
A  現在のところその予定です。

 まだ不確定な部分が多いようだが、毎年退団者が数人出るので、その補充のための今回のトライアウトといえそうだ。まだ1チームあたり17人(東北レイアは12人)と決して充分な人数とはいえないだけに、新規採用は歓迎だ。

 今年の合格者の中には何度もトライして遂に夢をかなえた選手もいるので、過去に落ちたからといって諦めず、腕を磨いてトライしてほしい。
 トライアウトの方法は従来どおり。エントリーの締切は11月7日(土)なので、お間違えなく。

●トライアウト詳細 → 日本女子プロ野球機構

※写真提供/日本女子プロ野球機構


日本体育大学、ジャパンカップを制し、軟式女王に(2015年10月7日)

胴上げされる矢島駿一監督。日体大は男子学生が監督をするシステム

 クラブチーム日本一と大学チーム日本一が戦う頂上決戦「ジャパンカップ(女子軟式野球王座決定戦)」が10月4日、江戸川区球場(東京都)で行われ、日本体育大学が4-1で千葉マリンスターズを下し、軟式日本一に輝いた。

 千葉マリンスターズと日本体育大学というカードは昨年と同じで、2008年の初対戦以来、5度目の対決となる。戦績は3勝1敗で千葉がリード。昨年も3-0で千葉が勝利しているだけに、日体大にとっては負けられない試合だ。

4回表、先制のホームを踏む石附選手(左)

 よく晴れた空の下、13時試合開始。千葉の先発は若手のホープ、成田夕陽(ゆたか)、日体大は大学選手権決勝でも先発した羽鳥奈央(3年)がマウンドに立った。
 
 試合は日体大の一番・久保鈴香(4年)の中前打で始まった。俊足の久保は二塁を狙ってリードを大きくとるが、成田は得意のけん制で久保を仕留め、波に乗せない。成田はその後も安定した投球を見せ、3回まで無失点。対する羽鳥も毎回打者3人に抑える力投。

 しかし4回表、日体大打線が成田をとらえた。三番・石附彩(4年)が右前打とパスボールで無死二塁とすると、四番・桜木幸美(4年)が左前適時打でこれを返し、先制。さらに2死二、三塁から八番・羽鳥がレフト前にポテンヒット。2点を加えて3-0と千葉を突き放す。

6回表、桜木選手は捕手のグラブをかいくぐって4点目をあげた

 6回表には桜木が千葉の二番手投手・植村朋子から左中間二塁打を放って出塁。四球などで1死一、三塁とすると、五番・池田朱音(3年)の犠牲フライで桜木がタッチアップ。千葉の8-4-2の中継の前にあわやアウトかと思われたが、桜木はうまくかいくぐり、4点目を奪った。

 千葉の反撃はその裏。九番・舛巴彩が二番手投手・渡邊千諒(4年)から四球を奪って出塁すると、ボークで二進。さらに2本の内野ゴロの間に本塁を陥れ、ノーヒットで1点を返した。しかし反撃もここまで。

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日体大00030104
千葉マリン00000101

 千葉は随所で好守備を見せたが、日体大の投手陣にわずか2安打に抑えられ、涙を飲んだ。

 日体大の矢島駿一監督(日体大4年)は、
「大学選手権では苦しい戦いをしてきましたが、それでも勝てたのは、やはりジャパンカップに出て日本一になりたかったからです。それほどジャパンカップは憧れの大会です。
 千葉マリンスターズには昨年負けているので心に期するものがありました。昨年はチャンスに打てなくて負けたので、今年は打力を上げるために一人ひとりがTバッティングなどの自主練に取り組んできました。
 また4人しかいない4年生が、主将の石附を中心によく下級生をまとめてくれたのも勝因だと思います」
 と語った。

羽鳥投手は4回までパーフェクトピッチング 日体大のヒットは8本。写真は池田選手

成田選手は元々千葉マリンスターズでプレーしていた選手。村田女子高校硬式野球部を経て同チームにもどってきた 初回、成田選手のけん制の嵐に苦しんだ日体大。一塁手は女子野球界のレジェンド・大久保菜緒子選手

日体大は今年のテーマ「結束」の文字を掲げて応援 中学生クラブ「千葉マリンスターズヤング」は右に左に走ってお姉さんチームを応援

ズームイン! MVP受賞 

日本体育大学 石附彩選手(神奈川県出身、4年)
 小学校/ユニバーサルホッケー → 中高/ソフトボール → 大学/野球

画像の説明

 この夏の大学選手権で、3年連続18回目の優勝を果たしたが、
「実は去年の秋に新チームがスタートしたときはみんなの気持ちがバラバラでした。4年生も4人だけというかつてない状況で、関東の秋と春のリーグ戦では優勝を逃し、5月の碧南大会でも決勝に進めなくて、このままでは王者の称号を守れないという危機感がありました。
 
 だから4年生みんなで下級生、特にうまくできない選手、悩んでいる選手にまめに声をかけ、コミュニケーションを図るようにしました。その思いに後輩たちがよくこたえてくれたと思います。
 今日はそれぞれが自分の仕事をしっかりできたし、練習に励んできた打撃が冴えて勝つことができました。最高です」

スームイン! 敢闘賞受賞 

千葉マリンスターズ 林美里選手(千葉県出身、高校2年)
 小学校/野球 → 中学/陸上 → 高校/野球(部活は陸上)

画像の説明

 電車や親御さんが運転する車で片道2時間以上かけてグラウンドまで通っている。俊足と思い切りの良さを買われ、入団早々レギュラーに定着。去年のジャパンカップはライトで、今年は二番センターで先発した。

「強いチームで野球がやりたくて、インターネットで調べて全国優勝を何度もしているこのチームに入りました。今日は積極的にバットを振ることができませんでした。もっとレベルアップして来年またこの場所にもどってきて日本一になりたいです。
(大学生と対戦して)大学でも野球をやりたいと思いました」

 余談ながら部活では槍投げの選手で、県大会新人戦で優勝したほどの実力だそうだ(41m98)。  

現在部員39人。うち33人がソフトボールや野球経験者で、高校女子硬式野球部OGもいるという


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