レッドソックス
コラム ★2016年2月1日
レッドソックス「女性ファン感謝イベント」からの妄想
本サイトでも何度か紹介したことがあるオハイオ州在住の福澤秋后(あきさ)さんから楽しいニュースが届いた。福澤さんは東京外国語大学卒業後、アメリカに渡って仕事をしながら女子野球リーグ「コロンバス ウーマンズ ベースボール リーグ」を運営している方。(参照 → 女子野球の底辺を広げていったOGたちの物語)
大のボストンレッドソックスファンの福澤さん、昨年、愛するレッドソックスが女性ファンサービスの一環として「ウーマンズ ファンタジー キャンプ」(16年1月14~17日)というイベントを開くことを知り、早速申し込んだのだそう。
MLBの球団が主催する女性対象のイベントはこれが初めてとのことで、キャンプには野球とレッドソックスが大好きな女性48人が参加。それを4チームに分けて交流戦も行ったという。福澤さんが入ったチームの監督はバッチ・ホブソン(Butch Hobson)。メジャーリーグフリークならご存知だろう、92~94年にレッドソックスの監督を務めた人物で、参加者は大いに盛り上がり、福澤さんのチームが見事優勝したとのこと(冒頭の集合写真参照)。
キャンプの様子はアメリカ在住のスポーツライター、一村順子さんが取材して以下のサイトにアップしているので、ぜひご一読を。ジェットブルーパークの芝生の緑が目に沁みますね。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ichimurajunko/20160120-00053603/
このキャンプを日本のNPBの球団に置きかえるとしたら、たとえば読売巨人軍が女性ファンを集め、キャンプ体験及び往年の名選手(たとえば王貞治、原辰徳、松井秀喜など)が監督になって交流戦をやるイメージだろうか。
日本の場合、プロとアマチュアがコラボするというと、たいてい野球教室という真面目な企画になりがちだが、球団とファンが一緒にキャンプを楽しんじゃおうというのが、いかにもアメリカ的。伸びやかでワクワクする。なんとかその「楽しむ心」を日本に取り込めないか。
たとえばNPBは毎年末、12球団対抗の少年野球大会「12球団ジュニアトーナメント」を開催しているが(ちなみに15年は中日ドラゴンズジュニアが優勝)、その女性版(18歳以上とか)を開くというのはどうだろう。「12球団女子野球トーナメント」である。きっとマスコミの取材が殺到して、世の中の人が女子野球に注目するようになると思うのだけれど。それにジュニアトーナメントからは松井裕樹や森友哉といったプロ野球選手がいっぱい出ているので、その女性版ができたら女子のレベルや意欲もアップするに違いない。
実は今アメリカでは、「MLBの球団にそれぞれ女子チームをもってほしい」という声があがっているという。同様に、日本でも以前から「NPBの12球団にクラブチームでもいいから女子チームを作ってほしい」という声がある。なぜなら日本の女子野球人気の基盤は非常に脆弱(ぜいじゃく)だからだ。
つまり今女子野球人気を牽引している日本女子プロ野球機構や女子プロ野球リーグは、㈱わかさ生活という一企業が運営するもの。わかさ生活は「うちだけでなく、スポンサーと協力態勢を作って運営している」と言うけれど、もしわかさ生活に何かあれば、機構やリーグがなくなり、女子野球人気も下火になる可能性がある。ゆえに「わかさ生活さんには悪いけれど、NPBに女子チームの運営に乗り出してもらって、もっと安定した環境で女子野球を発展させたい」という意見がなくならないのだ。
そう思えば、今回のレッドソックスのイベントはとても示唆に富んでいる。もし12球団が同様のイベントを開催したら、女子野球が盛り上がって、イベントに集まった選手を中心にクラブチームを作ろうという動きが生まれるかもしれない…。
NPBさん、いかがですか? 「12球団女子野球トーナメント」に「12球団女子クラブチーム構想」。どちらもきっと女性ファンが増えますよ。