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女子野球連盟と県軟連がコラボする大会

コラム 2016年1月9日

史上初! 女子軟式野球連盟と県軟連がコラボする大会誕生

左/全軟連の旗、右/全女連のマーク。全国大会パンフレットより

女子の連盟が県軟連にアプローチ

 13年に全日本軟式野球連盟(以下、全軟連)が小学生の全国大会を作って女子野球の底辺拡大に乗り出し、14年には全日本女子軟式野球連盟(以下、全女連)が全軟連に加盟。 
 いよいよ女子の連盟と47都道府県の連盟が手を組んで女子軟式野球の環境を作る時代がやってきた! と楽しみにしていたら、あらら、正直言ってそれが全然進んでいないのだ。

2010年から続く関西女子野球ジュニアリーグ

 一つには全女連のPR不足。何十年にもわたって女子野球の環境を作り、人材育成やチーム作りなどの膨大なノウハウを培ってきたのに、野球は男のものという偏見のためにその存在を無視され続けてきたからだろうか、積極的に存在をアピールしないのだ。
 もう一つは47都道府県や地域の連盟の勉強不足が挙げられる。全軟連が女子の育成を重要課題として掲げているのだから、自分の府県に女子チームがどれくらいあるのか把握してほしいと思うのだ。

 といっても別に全女連や県軟連に文句を言っているわけではない。ひとえにもったいないと思うのだ。なにしろ女子軟式野球を発展させるためには子どもの野球からママさん野球、シルバー野球ができるまでの環境を地域ぐるみで作っていかなくてはならない。とすれば全女連と47都道府県の連盟、全軟連がもてる力を出し合って環境作りを進めるのが、一番効率的ではないか。

 というわけでここ2年ほど、進まない環境作りに一人でジリジリしていたら、昨年末、うれしいニュースが入ってきた。全女連傘下の関西女子野球連盟(もちろん軟式です)が、兵庫県軟式野球連盟と協力して中高生の大会を作るというのだ。なんと史上初の、女子軟式野球連盟と47都道府県がコラボする大会が生まれるのだ。
 大会名は「第1回西日本女子軟式野球中高生大会」。詳細は大会ページをご覧いただくとして、まず創設のいきさつからご紹介しよう。

 仕掛け人は関西女子野球連盟で中高生大会「関西女子野球ジュニアリーグ」の運営を担当する佐藤妙子さん。兵庫県の百合学院中学高校に奉職中、女子軟式野球部を作った方で、今は他校で教えるかたわら園田学園女子大学軟式野球部のコーチを務めている。

佐藤妙子さん。大学軟式の全国大会にて

 大変勉強熱心で男子の大会の観戦に行くこともしばしばだが、その手にいつも携えているのは関西女子野球連盟が作ったPR用のパンフレット。私は密かに彼女を「関西女子(軟式)野球の伝道師」と呼んでいるのだが、その彼女が昨年9月、「天皇賜杯全日本軟式野球大会 ENEOSトーナメント」に行ったときのこと。  

 本部席を訪ね、兵庫県軟連の重吉豊理事長や後藤義見副理事長、同じく副理事長で加西市野球協会理事長の藤田紀さんにご挨拶し、PR用パンフレットを渡して歓談することしばし。何気なく「中高生の女子の西日本大会を開きたいんですよね」と、ずっと温めていた企画を話すと、3人が興味を示したのだという。そして重吉理事長が藤田副理事長に「加西市でやれないか」と打診し、藤田副理事長がその場でグラウンドや宿、雨が降ったときの場合の体育館の手配までやってくれたのだという。

 あれよあれよという間にお膳立てが整い、審判も何人か出してくれることになった。県軟連の力や恐るべし。そしてもてるネットワークをフル活用して西日本の女子中高生チームに連絡をとり、運営の詳細を詰めてしまった女子軟式野球連盟(佐藤さん)の力もすごい。この大会のために新たに中学生チームを結成するところまで出てきたというのだから、さらにすごい。
 やっぱり女子の連盟と県軟連がコラボするのは実に効率的なのだ。

西日本の女子野球発展の原動力に

 佐藤さんがこの大会を企画した理由は、全女連の夏の全国大会だけでなく、春にも西日本全域のチームが交流する中高生のトーナメント大会がほしかったからだという。なにしろ西日本は関東よりチームが少ないので試合も少なく、長らく西日本のチームが夏の全国大会で3位以内に入ったことがないのだ。この大会を通して気持ちも技術もアップして夏の全国大会で西日本勢が活躍してくれれば…。

 また参加できる大会が少ない高校軟式野球部を盛り上げたいという思いもあったという。全国にたった5つしかない高校軟式野球部。こちらもネットワークを駆使して参加を促し、今回は愛知県の中京大中京高校が参加することになった。

アラジンスタジアム

 藤田副理事長は、
「全軟連が女子の育成に力を入れるというので、兵庫県もそれに協力しようと思っていたところ、この話をいただいたのですぐに協力を決めました。女子中高生のリーグ戦はいつも河川敷球場でやっているというので、それならと加西市の球場を提供することにしました。なかでもアラジンスタジアムは高速の加西インターから近いし宿舎も球場から500メートルぐらいのところにあって、すごく便利がいいですよ。

 今年の8月には京都で全軟連が主催する女子中学生の全国大会も開かれるので、これから女子野球はもっと盛んになると思います。私どもとしてもこの大会を長く続けて、女子野球や野球界全体を盛り上げたいですね。高校生も参加できるので、彼らの目標にもなってほしいと思います」
 と、とても前向きなコメントを寄せてくれた。

 野球界は今、「将来母になる子に野球の楽しさを」をスローガンに女子野球に力を入れている。ぜひ女子軟式野球連盟と47都道府県の連盟が力を合わせて、地域にその環境を作っていっていただきたい。

●女子軟式野球の組織を知りたい方は → 「女子野球団体と主催大会」
●どこにどんな女子軟式野球チームがあるか知りたい方は → 「全国のチーム一覧」
●全女連の人と情報交換したい方は → 全日本女子軟式野球連盟のサイトへ。チーム名一覧のページに傘下の連盟や支部長の連絡先が出ている。
●47都道府県の連盟と交流したい女子軟式野球関係者は → 全日本軟式野球連盟のサイト

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