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第5章

調査報告 2020年12月26日

第5章 身長・体重と記録の相関、種目間の相関

 身長・体重との相関、種目同士の相関の、2つの観点から検証した。主に中程度の相関と強い相関に着目した。

相関の強弱は以下に従って判断した(r は相関係数)
0.7<r≦1.0 -1.0≦r<-0.7 …強い相関がある
0.4<r≦0.7 -0.7≦r<-0.4 …中程度の相関がある
0.2<r≦0.4 -0.4≦r<-0.2 …弱い相関がある
□0<r≦0.2 -0.2≦r<0 …ほとんど相関がない

身長や体重との相関

 野球初心者をふくむ「対象者全体」(A群)の傾向を見ると同時に、比較的野球経験を積んでいる「少年野球経験があり、野球経験3年以上の選手」(B群)のデータとの比較も行った。

 ただし本調査では身長、体重は自己申告だったため、今後さらなる調査、研究を期待している。

スイングスピードと体重に中程度以上の正の相関

大学生のA群と社会人30代、40代を除き、スイングスピードと体重に中程度以上の正の相関が認められた(体重が重いほうがスイングスピードが速い)。
 この傾向は野球経験値が高いB群のほうが顕著で、大学生もB群では中程度の相関があった。
 
 除脂肪体重または体重とバットスイングスピードに正の相関があることは、男子野球でしばしば指摘されることだが、女子野球においてもその可能性があると推測される。

中学生(A、B群)と高校生(A、B群)のスイングスピードは、体重だけでなく、身長とも中程度以上の正の相関があった(身長が高い選手のほうが記録が良い)。しかし経験値による差は認められなかった。
 また大学生以上になると、身長はスイングスピードに影響を与えないと考えられる。

大学生以降、走力は体重が増えると落ちる傾向

走力は中学生、高校生は体重が増加するにつれて記録が良くなる傾向があったが、大学生以上になると、体重が重くなるにつれ、記録が悪くなる傾向にあった。特に社会人30代、40代は、体重の増加と走力の低下の相関が顕著に強かった(ベースランニング…r=0.89、50m走…r=0.70)。

 走力は一般的に20歳を過ぎると加齢とともに低下するといわれるが、その原因の一つに体重の増加があると推測される。しかし高校生までは走力を後押ししていた体重増加が、大学生以降、逆になる具体的な理由は本調査からはわからなかった。
体重との相関身長との相関

種目間の相関

走力同士、投力同士は強い相関

図5より、走力同士(50m走とベースランニング)、投力同士(投球速度と遠投距離)は、すべての年代で強い正の相関関係にあった。つまり50m走のタイムが速い人はベースランニングのタイムも速く、速い球を投げる人は遠くまで投げられるということである。

 同年代のA群とB群の相関係数を見ると、B群が大きいわけではないので、この傾向は野球の経験値によるものではなく、選手の資質から来るものと考えられる。

 参考までに、複数の種目で上位10%の記録を出した選手たちのデータを示した(図4)。走投打すべてに優れた選手はいるものの、走力に優れたタイプと投力に優れたタイプがいることがわかる。
 表は上位者だけだが、全選手の能力を種目別の順位から検討しても、おおむね走力に優れたタイプと投力に優れたタイプに大別できた。

相関の実際

遠投距離は、ほぼどの種目とも中程度以上の相関

遠投距離は社会人30代、40代と大学生B群を除き、すべての種目と中程度または強い相関があった。これは他の種目にはない特徴である。

スイングスピードと投球速度に中程度以上の相関

社会人30代、40代と高校生のB群を除き、スイングスピードと投球速度には、中程度または強い相関があった。

種目間の相関

   身長や体重との相関   


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