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第2章

調査報告 2020年12月26日 

第2章 年代別・選手の所属と背景

※文章や表中の「○○±△△」は、「平均値±標準偏差」を表します。

中学生 [324人] の所属と背景  

小学校中学校と野球を続けている「野球専門家」が96%

 平均年齢13.2±0.80歳
中学生

 中学生 
全員、全日本女子軟式野球連盟加盟クラブに所属。
 ちなみに中学校に女子軟式野球部が作られたことは歴史上一度もないため(2020年現在)、女子だけで野球をしたければ、女子野球連盟のクラブに所属することになる。
中学生のスポーツ歴
約1/3の選手は中学野球部や中学軟式野球クラブと兼部し、男子と一緒にプレーしていた。
 彼女たちは日常的に、女子軟式野球用の小さなグラウンドサイズ(塁間25m、投本間17m)と、一般(男子)用の大きなグラウンドサイズ(塁間27.43m、投本間18.44m)でプレーしている。
 なお兼部する主な理由は、「地域に女子野球チームや大会が少なく、女子の活動だけでは試合数が少ないから」「男子のパワーやスピードに刺激を受けたいから」だった。

小学校、中学校と連続して野球をしている選手は96%で、野球経験年数も平均5.1±1.84年と、高校生(4.1±3.50年)や大学生(3.4±3.47年)より長かった(理由は他の年代の項で触れる)。

3年以上の野球経験者率は90%と高かった。

中学校入学前に野球またはソフトボールをやっていたのは、98%(317人)だった。

少年野球経験者(311人)のほとんどが9歳(小学校3、4年生)までの、プレ・ゴールデンエイジと呼ばれる年齢に野球を開始していた。またこの傾向は全年代の少年野球経験者に共通していた。

野球以外のスポーツ歴では水泳(「幼児向けスイミング」という回答をふくむ)、体操(「リトミック」という回答をふくむ)が多かったが、野球を始めるころには多くの人がやめている。
 本調査の対象者は、野球を専門的に行っている人が多かった。

   大学生の所属と背景  社会人の所属と背景

高校生 [53人] の所属と背景

55%が入学前に野球を経験。ソフトボールは2位(32%)

 平均年齢16.2±0.97歳
高校生

高校生のスポーツ歴
 高校生 
女子軟式野球部も女子軟式野球クラブも、全日本女子軟式野球連盟に加盟し、その大会に出場している。
 ちなみに日本高野連は2020年時点で、女子の選手登録を認めていない。

高校入学前に野球経験があったのは55%(29人)で、ソフトボール経験者と合わせると、75%(40人。掛け持ちあり)に野球またはソフトボール経験があった。

小中高と野球を続けていたのは38%(20人)だった。

少年野球経験者(29人)のほとんどが9歳(小学校3、4年生)までの、プレ・ゴールデンエイジ(4~9歳)と呼ばれる年齢に野球を開始していた。またこの傾向は全年代の少年野球経験者に共通していた。

野球経験年数は平均4.1±3.50年と、中学生(5.1±1.84年)を下回った。また3年以上の野球経験者率も53%と、中学生(90%)に及ばなかった。
 その理由は、まず彼女たちの中学時代(2016年より前)は、通年活動する中学生や中高生の女子野球クラブが少なく(2014年4月時点で軟式硬式合わせて全国に40チーム)、野球を続けたくても続けられない人が多かったこと、また中学野球部に入っても、男子との体力差などから途中でやめてしまう選手が多かったことが挙げられる。

幼児・学童時代に水泳をしていた選手が多く(12人、23%)、その80%が競泳選手として小学校高学年や中学校まで続けていた。

   中学生の所属と背景  社会人の所属と背景

大学生 18~22歳 [114人] の所属と背景  

ソフトボール経験者が多数。多くの選手に多彩な競技歴

 平均年齢19.6±0.94歳
大学生

大学生のスポーツ歴
 大学生 
選手の90%が全日本大学女子野球連盟(軟式)加盟チームに所属し、10%が全日本女子軟式野球連盟のクラブチームに所属。

大学入学前のスポーツ経験は1位ソフトボール(47人、41%)、2位野球(41人、36%)で、両競技を合わせると、67%(76人。掛け持ちあり)に野球またはソフトボール経験があった。

小学校から大学まで、野球を専門的にやってきたのは10%(11人)だった。

少年野球経験者(37人)のほとんどが9歳(小学校3、4年生)までの、プレ・ゴールデンエイジ(4~9歳)と呼ばれる年齢に野球を開始していた。またこの傾向は全年代の少年野球経験者に共通していた。

野球経験年数は平均3.4±3.47年と、中学生(5.1±1.84年)や高校生(4.1±3.50年)を下回った。また3年以上の野球経験者率は42%で、全年代で最も低かった。
 その理由として、彼女たちの中高生時代(2016年より前)は女子が野球をする環境が極端に少なく、野球をやりたくてもできなかったこと(2014年4月時点で、通年活動する中学女子野球クラブは軟式硬式合わせて全国に40、高校女子野球部は軟式3、硬式18)、また中学や高校野球部に入っても、男子との体力差などから途中でやめてしまう選手が多かったことが挙げられる。
 結果として、少年野球の後、長いブランクを経て野球に復帰した選手が多かった。

硬式野球経験者は8%(9人)で、学童硬式野球クラブ、中学硬式野球クラブ、高校女子硬式野球部でプレーしていた。高校女子硬式野球部OGは6%(7人)を占めた。

選手の競技歴が全年代で最も多彩だった。

   中学生の所属と背景  高校生の所属と背景
   社会人の所属と背景

社会人 22~49歳 [25人] の所属と背景  

20代は学童、30代40代は18歳以降に野球を開始

 平均年齢29.4±8.15歳
社会人

社会人のスポーツ歴
 社会人 
全員、全日本女子軟式野球連盟加盟クラブで野球をしていた。

野球経験年数は13.9±7.81年と、全年代で最も長かった(中学生5.1±1.84年、高校生4.1±3.50年、大学生3.4±3.47年)。3年以上の野球経験者率も96%と、全年代で最も高かった。

20代17人のうち、59%(10人)が少年野球経験者で、うち5人が社会人までずっと野球を続けていた(20代の29%)。

全日本軟式野球連盟が女子児童の登録を認めたのは1987年(昭和62年)であるため、本調査の30代、40代の対象者には少年野球経験がなかった。
 唯一学童野球経験があった選手(32歳)は硬式野球リーグで野球をやっていた。所属リーグはわからないが、リトルシニア、ポニー、フレッシュの各リーグは、1970年代のリーグ創設当初から女子の加盟を認めている。
 また30代後半および40代は、中学、高校時代も既存の野球連盟に登録できなかったので、8人中6人が18歳以降、全日本女子軟式野球連盟や全日本大学女子野球連盟(軟式)のチームで野球を始めている。

高校を卒業するまでに野球またはソフトボール経験があったのは、84%(21人)だった。

学童野球(軟式、硬式)経験者11人のほとんどが9歳(小学3、4年生)の、プレ・ゴールデンエイジ(4~9歳)と呼ばれる年齢に野球を開始者していた。これは全年代の学童野球経験者に共通する傾向である。

硬式野球経験者8人のうち、20代(5人)は高校や大学の女子硬式野球部や職場の野球部で、30代(1人)は学童野球クラブで、40代(2人)は20代から30代にかけて、女子野球日本代表チームで硬球を握った。

   中学生の所属と背景  高校生の所属と背景
   大学生の所属と背景


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