第1章
調査報告 ★2020年12月26日
平均値、最大値、最小値
第1章 種目別測定結果と特徴
※表中の「○○±△△」は、「平均値±標準偏差」を表します。
測定結果
50m走
全体の平均値は中学生が8.29±0.47 秒で、一番速かった。
またすべての年代において8秒台前半が多かった。
ベースランニング
全体の平均値は中学生が19.81±1.17 秒で、一番速かった。
また中学生は19秒台、高校生は19秒台と20秒台、大学生は18秒台から20秒台、社会人は19秒台と20秒台が多かった。
投球速度(終速)
全体の平均値は中学生が85.3±8.24km/h、社会人が85.3±7.15km/hで、他の年代より速かった。
また中学生は80km/h 台、高校生は70km/h 台から90km/h 台、大学生は80km/h、社会人は80km/h 台が多かった。
遠投距離
全体の平均値は中学生が55.0±8.60mと最も数値が高かった。
また中学生は50m台、高校生は50m台、大学生は40m台と50m台、社会人は40m台と50m 台が多かった。
バットスイングスピード
全体の平均値は中学生が102.6±10.04km/hと最も速かった。
またすべての年代で100km/h台が多かった。
対象者全体の記録の特徴(論文から一部抜粋)
※「論文」とは、「女子軟式野球選手の基本的競技能力調査報告」を指します。
対象者全体の平均値は、全種目、中学生が最も高かった
スポーツ庁は新体力テストの結果から、女子の筋力は40代まで加齢とともに増加するものの、柔軟性、敏捷性、 全身持久力、筋持久力は14歳前後にピークに達し、20歳ごろまでは横ばい、それ以降は加齢とともに低下すると報告している(2018年)。
また臼井(2011)は、女子の握力のピークは30歳代、背筋力は20歳程度であるとし、金子(2001年)は18歳までの女子の筋パワーは12~13歳ごろをピークに停滞し、膝伸展パワーも高校1年ごろがピークであるとしている。
今回野球初心者をふくむ対象者全体の平均値が、中学生が一番高かった理由の一つは、このような女子の体力発達特性が関係していると考えられる。
その一方で加齢の影響があるとされる社会人(22~49 歳)でも、種目によっては中学生と並ぶ結果を出し、特に20代は統計的に有意ではないものの、投力(投球速度、遠投距離)と打力(スイングスピー ド)で中学生を上回る値を出していることから、体力発達特性とは異なる要素も影響していると考えられる。そこで、
第3章で「野球経験年数」の観点から、
第4章で「少年野球経験と野球開始年齢」の観点から、
第5章で「身長、体重など」の観点から、
第6章で「上位者の特徴」の観点から、
第7章で「男女差」の観点から、
女子野球選手の基本的競技能力を検討した。