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12年8月

大学軟式の全国大会で、日本女子体育大学が日本一に!(2012年8月30日)

準決勝、決勝は魚津桃山運動公園野球場で行われた

 8月24~29日、富山県魚津市で「第26回全日本大学女子野球選手権大会」(通称、マドンナたちの甲子園)が開かれ、全国から集まった26大学22チームが熱戦を繰り広げた。

 大学軟式の全国大会上位進出チームの常連は、やはり体育大学(日本体育大学、日本体育大学女子短期大学、東京女子体育大学、日本女子体育大学、大阪体育大学)。なかでも日体大は25回のうち15回もの優勝経験をもつ大学女子軟式野球界の巨人だ。

体育大学とそん色ない戦いをする至学館大学

 しかし今大会、その日体大が準決勝で至学館大学(旧、中京女子大学)に3-4で破れるという波乱が起きた。とはいえ勝った至学館大学は優勝経験こそないものの、準優勝4回、3位3回の実績をもつ、一般大学のなかでは抜群に強いチームだ。

 もう一つの山を勝ち上がってきたのは、準決勝で東京女子体育大学(優勝2回、準優勝5回、3位10回)を6-1で破った日本女子体育大学(以下、日女体)。このところ急激に力をつけてきたチームで、昨年は準優勝を飾っている。

先発した至学館、山田選手。牽制がとてもうまい

 どちらが勝っても初優勝という決勝戦。至学館の先発は山田千晶投手(4年、愛知、英徳高校)、日女体は箱守美里投手(3年、茨城、下妻第二高校)。
 2回の表、まず日女体が死球を足がかりに2点を先取すると、その裏、至学館も負けじと1点を返す。しかし5回の表、日女体は相手守備の乱れと八番・鈴木紅(3年、東京、東海大菅生)のレフトオーバーの2点適時打などで一挙4点を奪って6-1とつき放す。

パワーがすごい、日女体の応援

 その裏、至学館は1死走者二塁の場面で八番・山田真由香(2年、愛知、新城東高校)がフェンス越え(※下段参照)のツーランホームランを放って2点を奪うが、日女体は7回表にも1点を追加し、また二番手投手の星島沙紀選手(2年、千葉、船橋芝山高校)が6回、7回を無失点に抑え、試合終了。7-3で日本女子体育大学が全国大会初制覇を成し遂げた。

最優秀投手賞受賞の日女体、星島選手

 勝因を小澤江里監督は「挑戦者という気持ちでのびのびと試合ができたことだと思います。特に先取点を取れたことで気持ちが楽になりました」と言う。

 日女体は10月14日に行われる大学日本一とクラブチーム日本一の頂上決戦「ジャパンカップ」に出場し、先ごろ全女連の全国大会で優勝した千葉マリンスターズと軟式日本一をかけて対戦する。ジャパンカップは例年東京都江戸川区で開かれてきたが、今年は魚津市の市制60周年を記念して、魚津桃山運動公園野球場で行われる。

「大学一より日本一を目指して練習してきたので、ジャパンカップでも勝ちにいきます」と小澤監督は闘志を見せた。

※全日本大学女子野球連盟の試合は両翼75m、センター85mで外野フェンスを設置している。
大会参加11年目でつかんだ栄光
 


硬式の全日本ユース大会で、蒲田女子高校が初優勝(2012年8月27日)

 8月20~26日、埼玉県加須(かぞ)市で硬式唯一の18歳以下の全国大会「第3回全国女子硬式野球ユース選手権大会」(関東女子硬式野球連盟主催)が開かれた。

蒲田の秋元監督は決勝では「蒲田女子高校」チームを指揮

 今夏は「第5回女子野球ワールドカップ」があったために松山で行われている全国大会の会期がずれ、この大会と重なったため、どちらに出場するか悩んだチームもあったようだが、最終的に東日本の21チームと西日本の3チームの計24チームが参加した。
 
 この大会の特徴は、同じチームから複数チームエントリーできること。そのため多くのチームが2~3チームエントリーして、普段試合に出られない選手にも試合経験を積ませている。また東北や北海道の選手と花咲徳栄高校の選手で編成した「みちのくひばり」も参加。つまり全国大会とはいってもベストメンバーで優勝を争うのではなく、選手育成を目的にした教育的な色合いの濃い大会といっていいだろう。

花ヶ崎選手

 今回人々を驚かせたのは蒲田女子高校の快進撃。なんと準決勝に進出した4チームのうち3チームが蒲田のチーム。そして蒲女シーガルズ対蒲女アルバトロス(1年生チーム)は6-3でお姉さんチームの蒲女シーガルズが勝ち、残る蒲田女子高校が花咲徳栄高校を2-0で破ったため、決勝は蒲田女子高校(以下、蒲田)対蒲女シーガルズ(以下、シーガルズ)という同門対決となった。

 蒲田のバッテリーは先のワールドカップ日本代表の座にあと一歩と迫った花ヶ崎衣利投手と、同じく日本代表選考の二次審査まで進んだ1年生捕手、泉由希菜選手。シーガルズは今大会好投が光る林佳名子投手と永野莉穂捕手のバッテリー。

5回裏、内野安打を放つ泉選手

 先に得点したのはシーガルズ。3回表、四球で出たランナーを四番・立花美奈代が二塁打で返すと、五番・永野莉穂の内野安打で立花が一気にホームを陥れ、2点を奪う。しかし4回裏、蒲田は1死走者二塁の場面で四番・泉由希菜がレフトオーバーの豪快な二塁打を放って1点を返し、さらに5回の裏にも押し出しと2死満塁からの泉の内野安打で3点を奪って勝ち越し。シーガルズは7回表の攻撃を3人で終わり、4-2で蒲田がこの大会初の優勝を手にした。泉由希菜選手は3打数2安打3打点の活躍だった。

 出場した全チームがベスト4入りした蒲田の秋元進監督は「ほかの高校の多くは3年生が抜けましたが、うちは少し3年生が残っていましたから、その点が有利だっただけです」と謙遜するが、「うちは昔から失点はするけど得点もするという守備より打撃のチーム。それが花ヶ崎の成長と泉由希菜の入部で守備力がグッと増した。それが勝因でしょう」と目を細めた。

優勝メダルを胸に

 エースの花ヶ崎選手は「優勝できてうれしいです。日本代表の選考に落ちてすごく悔しかったけど、今日の優勝で気持ちが切り換えられました」と頬をゆるめた。

 なおこの大会は加須市の全面協力のもとに開催され、大会のシンボルマークには加須市の地場産業の鯉のぼりが採用され(写真右のボールにも)、国旗の隣には鯉のぼりがはためくという光景が見られる。また大会のサポートは平成国際大学の女子選手とともに加須リトルシニアの選手たちが務めていることも書き添えたい。グラウンド整備はもちろん、試合中は大きな声を出して声援を送る姿が素晴らしい。この大会のもう一つの見どころといってもいいだろう。

●大会の結果 → 

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ウィングスジュニア、Kボールの全国大会で初代クイーンに(2012年8月25日)

富士山を臨む素晴らしい環境で開催された大会。決勝戦にて

 8月20~23日、静岡県伊豆市で「第1回 15U全国女子KB野球選手権大会in伊豆」(KB野球連盟、日本野球連盟主催)が開催され、山形、宮城、埼玉、東京、千葉、神奈川、静岡(三島)、愛知から集まった8都県10チームが熱戦を繰り広げた。

 Kボールは重さと大きさが硬球と同じゴム製のボールで、少年野球(軟式)から高校野球(硬式)に移行する間の中学生を主な競技者対象としている。女子の全国大会は2010年にプレ大会ともいうべきものが東京都で開かれたが(宮城ドリームガールズが優勝)、今年、静岡県開催の全国大会として装いも新たにスタートした。
 

 決勝に進出したのは準決勝でMISHIMA DREAM GIRLS(以下、三島)を6-4で下した三鷹クラブW(東京)と、千葉マリンスターズヤングを1-7の逆転で下したウィングスジュニア(東京)。

ウィングスジュニアの攻撃。決勝戦

 三鷹打線はウィングスジュニアの先発・富山沙絢に4回までノーヒットに抑えられ、0-2と先行されるが、5回裏、2死二、三塁の場面で敵失と八番・奥山紅亜の中前適時打で2点を奪って同点とする。7回表、ウィングスジュニアは1死満塁の場面で四番・富山沙絢がスクイズを決め、勝ち越しの1点をあげるが、その裏、三鷹は敵失と六番・朝長沙織の右前打で無死二、三塁とし、一打サヨナラのチャンス。しかし後が続かず、ウィングスジュニアが3-2で逃げ切った。

 勝因を同チームの井上俊夫監督は、「実は子どもたちをいくつかのグループに分けて、全チームの打率、バントの確率、選手一人ひとりの癖などのデータを取らせ、毎晩ミーティングをしたんです。そうやって相手を知ることでピンチになっても動じない心や、自分たちの力で勝とうという意識をもたせました。
 今回最終回に大ピンチがありましたが、しのぎきれたのは、こうした力と子どもたちの勝ちたいという強い思いがあったからだと思います」と言う。

優勝したウィングスジュニア

 またMVPに輝いた富山沙絢投手は、「打たせてアウトを一つひとつ取ろうと思って投げました。相手のチームを調べたことで心に余裕ができて、1点取られても同点にして延長で点を取ればいいと思っていました」と冷静なコメント。
 ほかのチームが寛いでいるときにも努力を重ねて勝ち取った優勝に、メンバー全員がはじけるような笑顔を見せた。

 今大会のもう一つの収穫は、山形、静岡、愛知の女子中学生チーム初結成(大会後は解散)の県に、女子野球の芽が出てきたこと。山形では本格的に中学生チームを作る動きがあるというし、静岡は三島チームの快進撃を地元紙が連日報道したこともあって、次回は自分たちも参加したいという問い合わせが殺到しているという。また愛知の指導者も東京のチームに刺激を受け、中学生チーム結成の必要性を感じ始めたという。

 KB野球連盟の志太勤会長は、「オリンピックから野球がはずされたのは男女共通の競技ではないという理由からです。だからなんとか女子野球を盛んにしてオリンピックに野球を復活させたいし、この子たちがオリンピックに参加できるようにしたい」と言う。

 軟式や硬式の連盟とは違った歴史と人脈をもつKB野球連盟。女子野球界に新たに参入してきた連盟が、今後どんな種をまき、花を咲かせるかに注目したい。

準優勝の三鷹クラブW 3位の千葉マリンスターズヤング 3位のMISHIMA DREAM GIRLS

MISHIMA DREAM GIRLSの姉妹バッテリー

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 三島チームの快進撃を支えたのは高橋紗弥投手(中1、左)と美彩捕手(中3、右)の姉妹バッテリー。紗弥選手は昨年、12球団ENEOS CUPの中日ドラゴンズジュニアに選ばれ、現在はスルガマリンボーイズでプレー。夢は女子プロ野球選手だ。姉の美彩さんは男子との体力差などから野球部を諦め、ソフトボール部に所属。「ふだんは時間的にすれ違いばかりだから、あんまり口をきかない」という2人だが、姉妹バッテリーは「やりやすかった」と口をそろえた。


ワールドカップ3連覇、日本代表チーム凱旋報告(2012年8月21日)

「第5回女子野球ワールドカップ」で優勝し、08年の松山大会、10年のベネズエラ大会に次いで見事3連覇を果たした日本代表チームが、8月21日夕方帰国し、記者会見に臨んだ。新谷博監督と一部選手の皆さんの凱旋の言葉をお届けしよう。

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―― 帰国しての感想は?
新谷 3連覇できて、大会が終わったときより帰国した今のほうがホッとしています。
―― 今回初めてプロとアマが参加しましたが、お互いに刺激になりましたか?
志村 私自身はプロアマは意識しないでやっていましたが、プロの人たちは自分たちはプロなんだという意識をもって取り組んでいて、その姿勢や意識の高さに刺激を受けました。

―― 磯崎選手は準決勝、決勝と連投しましたが、なぜですか?
新谷 準決勝は磯崎と決めていたんですが、決勝は誰にするか決めていなかったんです。投手は6人とも同じように良くて、決勝は全員を出そうかと思っていたくらいなんですが、それなら磯崎は連投になるから遅くより早くに出そうと(笑)。

優勝カップ(左)とトロフィー(右)

―― 決勝のアメリカ戦で磯崎選手が2回表に死球を出して2死満塁になったとき、なんと声をかけましたか?
新谷 打ち取る気がないんならやめてくれ(マウンドを下りてくれ)と。いつも言っている言葉なんで別に厳しくはないと思いますよ。
―― それで見事に立ち直りましたが、ご本人はどんなお気持ちでしたか?
磯崎 監督に喝を入れられて、しっかりしなきゃと思って思い切り投げました。

―― 磯崎選手は3連覇とMVPと防御率0.33という数字を手にしましたが、感想は?
磯崎 思い切り投げて大会を楽しむことを考えてきたので、3連覇できてうれしいです。MVPも取れると思っていなかったのでうれしいです。でも一番うれしかったのはアメリカの三番打者・ホームス選手を打ち取れたことです。(※リーグ戦の日米戦で日本はホームス選手に三塁打1、二塁打2を許しているが、決勝では安打1、ゴロ1、三振1)

磯崎選手と新谷監督。後ろは西選手

―― 磯崎選手の投球の強みは何ですか?
新谷 色々な球種をもっていて、すべての球でストライクが取れること、また打者が打ちづらい微妙な間をもっていることです。

―― 一番苦しかった試合はどれでしたか?
新谷 2戦目でアメリカに負けてからあとは全試合苦しかったです。3連覇のためには1つも負けられないと強く思っていたので。だから勝った時はうれしいというよりホッとしました。
―― 若い人たちにメッセージをお願いします。
新谷 代表メンバーに選ばれる人の技術は年々上がり、精神力も強くなっています。でも中高生の皆さんには3連覇したメンバーなんかすぐに超えてやるわ、というくらいの気概と目標をもってほしいですね。

選手のみなさんにインタビュー

グラブ形の優勝カップの台座

志村亜貴子主将
 主将としてのプレッシャーはどこかで感じていたのかもしれませんが、いい選手ばかりだったので、特に何かしなくても大丈夫でした。

金由起子選手
 今回はなんでなのかわからないんですが、最初からいつになく緊張していて。3連覇のプレッシャーだったのかもしれません。今回たくさん打てたのは、みんながいい場面で私に回してくれたから。ここでなんとかしなきゃという気持ちで食らいついていったのが良かったのだと思います。

西朝美選手
 3連覇は特に意識しませんでした。一番プレッシャーを感じていたのは新谷さんでした。前の2大会も一緒だったので、緊張しているのが表情からわかりました。捕手としては投手全員とコミュニケーションをとって、大会前の練習では癖や性格などを、大会では体調を把握したうえで臨めました。今回は日本にいるときに充分練習することができたので、それが良かったと思います。悔しかったのはアメリカ人のライバル、主砲・ホームス選手にバッティングで完敗したことです。

左から新谷監督、磯崎選手、金選手、中島選手

中島梨紗選手
 以前の大会では中継ぎや抑えが多かったので、リーグ戦のオーストラリア戦で先発を命じられたときには驚きました。しかもオーストラリアでプレーしていたことがあるので、今回のメンバーの大半は昔の仲間。でも私情を捨て、相手を一バッターとして見てプランを立てた結果、イメージどおりの投球ができました。

中野菜摘選手
 試合中は全力でプレーしていましたが、その分充実していたし、満足のいく戦いができました。以前の大会で外国人選手との身体能力の差を感じていたので、日本にいるときから外国人ができない小技を磨くようにしていました。

六角彩子選手
 3連覇目指してずっとやってきたのでうれしいです。仲の良いチームだったので、毎回楽しい試合でした。プレッシャーをあまり感じないタイプなので、特に気負うこともなく楽しめました。

※限られた時間の中での取材だったため、全選手にお話をうかがうことができませんでした。機会があればほかの皆さんにもお話もうかがいたいと思います。なお新谷監督のお話は、後日ほかの話もふくめてまとめ直し、アップする予定です。


東京の中学生クラブチーム「三鷹クラブW」が野球教室を開催(2012年8月18日)

 2010年の創部ながら着実に実績を伸ばしている三鷹クラブWが、夏休み最後の日曜日に女子学童を対象とした野球教室を開催する。指導するのは同チームの中学生選手たち。
 中学でも野球をやりたいけれど、進学する中学野球部は女子が入れないという人や、女子チームの雰囲気を見てみたいという人などは足を運んでみてはいかがだろうか。参加者による紅白戦も予定されている。

●日時/8月26日(日) 9:00~17:00
●場所/大沢野川グラウンド(三鷹市、有料駐車場あり)
    http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/001/001667.html
●内容/午前…三鷹クラブWの選手による野球教室
    午後…参加者による紅白戦
●チラシ → 


軟式の全国大会で千葉マリンスターズ(一般の部)と横浜隼人中学高校(中高生の部)が優勝(2012年8月15日)

全国大会優勝は通算4回目

 8月11~13日、東京都江戸川区で行われた「第23回 全日本女子軟式野球選手権大会」(一般の部)と「第10回 全日本女子軟式野球学生選手権大会」(中高生の部)で、千葉マリンスターズと横浜隼人中学高校がともに3連覇を成し遂げた(横浜隼人は「高校生の部」当時からの通算)。
 軟式の全国大会は一般の部、中高生の部とも、チームが複数ある地方は予選を行い、1つしかない地方は予選なしで出場するシステム。

 そのため一般の部では予選でしのぎを削ってきた北海道、関東、東海、関西のチームが勝ち上がるケースが多いが、今年は1回戦でオール兵庫と愛知アドバンス、大阪ワイルドキャッツと町田スパークラーズ(東京)という、強豪同士の星のつぶし合いがあり、オール兵庫と町田スパークラーズが姿を消した。

大阪ワイルドキャッツの応援団

 決勝には大阪ワイルドキャッツ(以下、キャッツ)と千葉マリンスターズ(以下、千葉マリン)が進出。昨年の決勝と同じカードだが、キャッツは若返りをはかり、15歳と18歳のバッテリーを中心に中高生6人、ベテラン3人で試合に臨み、一方の千葉マリンは20~30代の大学日本一経験者や高校女子硬式野球部OGなどのベテランをそろえて日本一を狙った。

千葉マリンスターズの応援団

 0-0で迎えた2回表、千葉マリンは五番・森高真代、八番・森川暁子の二塁打などで2点を先取すると、4回表、1死満塁のチャンスに九番・青井理水の左前適時打で2点を追加。さらに2死満塁から敵失と四番・飯沼樹里、五番・森高真代の連続右前適時打などで4点を加え、8-0と突き放す。対するキャッツは千葉マリンのエース、大久保菜緒子に1安打に抑えられ、また失策も重なって大量得点を許し、結局8-0のコールドで千葉マリンスターズが優勝した。

「パワーヒッターがいるわけじゃないうちの野球は、転がして一つずつ進塁するスタイル。今大会は全試合自分たちの野球ができました」と千葉マリンの飯沼保監督。キャッツも千葉マリンもジュニアチームをもち、若手の育成に力を入れているが、キャッツの積極的な若手起用を見て、「うちも来年からは若手を入れますよ」と早くも来年を見据えていた。

 決勝戦が行われた江戸川区球場には一足早く試合を終えた中高生チームが駆けつけ、千葉マリンの応援団にはオール京急が、キャッツの応援団には横浜隼人中学高校が札幌シェールズの若手とともに加わって大応援合戦を繰り広げ、会場を沸かせたことも書き添えておこう。

大人だけでなく、ジュニアも育成

 参加希望チームが急増している中高生の部は、大会運営上の限界の16チームに絞って開催。決勝に進出したのは昨年の覇者、横浜隼人中学高校と、中学生クラブチームのオール京急。どちらも神奈川県のチームで、関東大会などで何度も顔を合わせている間柄だ。

後半激しく追い上げたオール京急だったが…

 1回裏、1点を先制した横浜隼人は、3回裏、1死満塁のチャンスに四番・美松瞳のスクイズ、五番・小川舞の左前適時打で3点を奪うと、4回裏にも2点を追加して6-0とする。
 しかし5回表、オール京急は四死球や敵失などで一気に3点を返し、6回表には1死満塁から六番・太田ゆかの中前適時打でさらに1点を追加して追いすがる。しかし7回表は3人で打ち取られ、試合終了。横浜隼人が6-4でオール京急を破って優勝した。

「実は大会前の練習試合では負け続き。士気が上がっていなかったので、とにかく気持ちで負けないようにと選手たちに話しました。苦しい中、初戦で勝利したことで自信がつき、優勝できたのだと思います」と田村知佳監督は笑顔を見せた。

今大会は高校生16人と中学生2人がエントリー

大健闘、札幌ブレイクジュニア。初参戦で3位入賞 

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 中高生大会で台風の目となったのは北海道から初参戦した札幌ブレイクジュニア。中学生投手を柱に固い守備とワンチャンスを生かす攻撃で勝ち上がったが、準決勝でオール京急にサヨナラ負けして3位決定戦に回り、三鷹クラブWを破って3位に入った。
 初めての中高生大会の感想を野原貢監督にうかがうと、「いやあ、みんな強いですね。北海道ではいつも大人相手にけっこういい試合をするんですが、この大会で勝つのは本当に大変でした」と驚きを隠さない。来年はチーム事情で中高生大会には出られないそうなので、この入賞は今夏だけの良い思い出になりそうだ。


スポーツカフェバーなどで みんなで一緒に日本代表を応援しよう!(2012年8月14日)

 日本女子プロ野球機構から「第5回 女子野球ワールドカップ」に出場中の日本代表を応援する、パブリックビューイングの知らせが届いた。パブリックビューイングとは大型スクリーンで観戦するイベントのこと。場所は神戸と大阪の2カ所。
 ネット中継を見ながらみんなでカナダに熱いエールを送ろう!(ちなみにネット中継もこのイベントも、日本女子プロ野球機構が提供するもの。女子プロ野球のみなさん、ありがとう)

神戸市三宮
SPORTEREA(スポルテリア) (スポーツカフェバー)
●8月18日(土)10時半プレーボール(開店10時)
    カナダ戦(予選リーグ最終戦)
●8月19日(日)6時プレーボール(開店5時半)
    日本対オーストラリア戦(決勝トーナメント)
●8月20日(月)8時プレーボール(開店7時半)
    日本対アメリカ(決勝)
場所/各線・三宮駅より徒歩3分
   http://www.sporterea.com

大阪市東心斎橋
スポニチプラザ大阪
●8月20日(月)8時プレーボール(受付開始7時半)
    日本対アメリカ(決勝)
ゲスト/太田幸司(日本女子プロ野球機構・スーパーバイザー)
    田中碧(大阪ブレイビーハニーズ)、
    新原千恵(兵庫スイングスマイリーズ)、
    塩谷千晶(京都アストドリームス)
    高坂峰子(元女子プロ野球選手)
場所/大阪市中央区東心斎橋 1-19-11 鰻谷スクエア1階
   地下鉄御堂筋線・心斎橋駅から徒歩3分

※上記はすべて日本時間
※急な試合日程や時間の変更がある場合は、開場日時も変更になる可能性がある
※SPORTEREA(スポルテリア)に関する注意事項
 ・18歳未満の方は保護者同伴のこと
 ・店内への飲食物の持込禁止
 


丹波高校連合、女子高校生の全国大会で大健闘(2012年8月9日)

 7月末に行われた高校生の全国大会(硬式)リーグ戦で、丹波高校連合(以下、丹波連合)が大健闘し、会場を沸かせた。
 丹波連合は学校に女子硬式野球部がない選手にも全国大会出場のチャンスを与えようと、全国高等学校女子硬式野球連盟が結成するチーム。春と夏の大会直前に編成され、大会が終わると解散するが、今夏は兵庫5、大阪4、京都4、和歌山2、宮城2、山口1の計18人が参加した。

好投した枡選手。愛知高校連合戦にて

 抽選の結果Bブロックに入った丹波連合は、愛知高校連合(至学館高校とクラブチーム「ASCA」などの混成チーム)と埼玉栄高校と対戦することに。1試合目の愛知高校連合との試合は15安打を放って10-3で勝利。注目の埼玉栄戦は、監督を務めた足立俊長さん(丹波ガールズ監督)の言葉で紹介しよう。

「埼玉栄は昨夏の優勝チームであり、今春も優勝。観客の誰もが丹波連合の大敗を予想していました。自分もなんとかコールド負けだけは避けたいと思っていました。しかし試合には今回参加した2人の女子選手が所属する高野山高校(和歌山県)野球部員が応援に来てくれ、試合開始と同時にすごい大声援で、埼玉栄は完全にアウェー状態。

 1回表、先頭打者・尾崎香保(高野山高校1年)がセーフティバントで出塁すると、二番・後藤瑞希(聖和学園高校2年・宮城)が私の送りバントのサインを無視して左中間に2点ランニングホームラン。ありえません。ベンチは大盛り上がり。その裏、こちらの左腕・枡眞理子(白石高校2年・宮城、写真右上)が先頭打者にセンターオーバーホームランを打たれ、2-1。まるでプロ野球みたいな派手な立ち上がりです。
 4回裏にスクイズで同点とされ、5回裏に走塁妨害をとられて失点し、2-3と逆転されますが、応援団からは『あきらめるな!』の大声援。7回表、三番・松尾春菜(高野山高校2年)が期待に応えてライト前ヒット。四番・吉岡杏子(福知山淑徳高校2年・京都)が四球で出塁し、五番・橋本留緒(徳山高校3年・山口)が送って1死二、三塁。このチャンスに二塁走者の吉岡が相手二塁手に隠し球されてタッチアウト。六番・達磨沙嬉(牧野高校2年・大阪)がショートゴロに倒れ、試合終了。スタンドからは『よくやった』の声。みんな泣いていました。負けは監督の責任です」

 強豪・埼玉栄と2-3の接戦を演じることができた理由の一つは、枡選手の好投。
「枡がめっちゃよかった。ストレートが速くてスライダーとカーブのコントロールがいい。並みの男子よりすごいと思います。点があまり入らなかったのは枡のおかげです」と捕手を務めた達磨選手。達磨選手は少年野球チーム、中学野球部を経て高校硬式野球部に入ったが、強豪相手に「同じ女子やし、勝てへん相手やないやろと思いました。いつも男子と一緒にスピードとパワーのあるスリリングな野球をやっているから、全然恐くなかった」と言う。当面の夢は大学の女子硬式野球部で野球をすることだ。

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 枡選手は少年野球チームから中学野球部へ。同時に女子クラブチーム「宮城ドリームガールズ」でもプレーし、10年に同チームがKボールの大会で優勝したときのメンバーでもある。女子硬式野球部の見学にも行ったが、「女子チームはなんかちょっと雰囲気が違うかなと思ったし、勉強もやりたいし、男子と一緒に高いレベルで野球がやりたかったから」と高校硬式野球部を選んだ。高校では練習試合の2試合目に投げさせてもらうことが多いという。「丹波連合は父がネットで探して」初参加。「楽しんでやれたし、そこそこ抑えられたので満足」とのこと。将来の夢は日本代表に選ばれることだ。

 混成チームゆえ苦労もあったのでは? と主将を務めた橋本選手に尋ねると、「私もそうですが春も参加した選手が多くて、春に負けたとき、みんなで『パワーアップして帰ってくる』って約束していたんです。だから仲は良かったです」と笑顔を見せる。橋本選手は小学生のときから野球となぎなたの選手として活躍し、特になぎなたは千葉国体と山口国体に出場したほどの腕前。現在はなぎなたをがんばると同時に一般クラブチームの「山口きららマウントガール」で野球もしている。今大会について「正直あそこまでやれるとは思っていなかったし、高野山高校の男の子たちが応援してくれたのがすごくうれしかったです。将来の夢ですか? 大学に行って理学療法士になることです」と語った。もちろん野球もなぎなたも続けるつもりだ。

 丹波連合では選手たちは毎回足立監督の自宅に寝泊まりして期間中を過ごすという。今回は大会3日前から直前合宿を行い、また試合の中日には川遊びやカラオケにも行ってチームワークを高めた。女子硬式野球部に入るのもいいが、こういうかたちで夢を追う青春もあるのだと気づかされた彼女たちの活躍だった。
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写真提供/丹波高校連合


高知県で女子プロ野球のエキシビションマッチと野球教室開催(2012年8月7日)

 女子プロ野球選手が初めて高知県入りし、エキシビションマッチと女子小中学生のための野球教室を行う。主催はどちらも四国アイランドリーグplus所属の球団、高知ファイティングドッグスだ。エキシビションマッチは女子野球ワールドカップに参加している5選手を除くプロ選手を、東軍と西軍に分けて行われる。野球教室ではたくさんの女子プロ選手が直接子どもたちの指導にあたる予定だ。

 現在高知県には県立室戸高校に女子硬式野球部を作ってもらおうという動きがあり、「この試合と野球教室が刺激になって希望者が増えるとうれしいですね」と室戸高校と交渉を進め、選手集めにも奔走している亀井司郎さん(スポーツ洋品店経営)は言う。
 近くにお住まいの方はぜひ足を運んでほしい。

エキシビションマッチ
●日時/8月18日(土) 19:00~
●場所/高知市営球場
●入場料/大人…1000円 中学生以下…無料

野球教室①
●日時/8月18日(土) 14:30~16:00
●場所/潮江中学校
●参加費/無料

野球教室②
●日時/8月19日(日) 11:00~12:30
●場所/越知町民総合運動場
●参加費/無料

★野球教室の申し込み/
 088-878-0775(高知ファイティングドッグス)
★「室戸高校に女子硬式野球部を作る会」への問い合わせ/
 090-1009-1333(亀井)


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