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17年7月

第5回北海道女子硬式野球大会、大成功のうちに閉幕(2017年7月17日)

韓国チームをはじめ、8チームが参加

 2013年に、北海道の女子硬式野球を盛り上げようと3チーム(ホーネッツ・レディース、平成国際大学、花咲徳栄高校)で始まった北海道女子硬式野球大会。今年はこの春創部したばかりの札幌新陽高校や尚美学園大学、至学館大学、韓国のクラブチーム「ブラックパールズ」が新規参入し、過去最大の8チームによって優勝が争われた。

選手宣誓する平成国際大学の御山真悠主将

 今大会の注目の的は、なんといっても北海道初の高校チーム、札幌新陽高校だ。観客席には保護者、同校に選手を送り込んだ中学生クラブの指導者、北海道の野球関係者などが陣取って声援を送り、また同校の追っかけ取材しているテレビ局のカメラが試合の様子を追うなど、こちらも過去最大の盛り上がりを見せた。

 その札幌新陽高校は1年生ばかり26人。昨年、北海道代表として全軟連の全国大会に出場した金桃花選手(日本代表経験者の金由起子選手の姪。北広島市立東部中学のとき、U14北海道選抜に選出)や、同じく全国大会出場組の宮澤朱音選手(遠軽町立遠軽中学)、さらに身長173センチの長身から投げ下ろす剛速球が武器の亀田織音(しおん)選手(釧路市立共栄中学)など、多士済々。
 以前京都両洋高校女子硬式野球部を指導していた石井宏監督も、「京都両洋の1期生に匹敵するくらいの力がある」と太鼓判を押す。

 1回戦の相手は尚美学園大学。公式戦デビューとなるその試合で、新陽はなんと初回に2点先制! 先頭打者ヒット、送りバント、四球の無死二、三塁から、四番、五番が連打するという、見事な攻撃だった。投げては先発した二番手投手が2回裏に9失点するも、3回4回に河野朱音(オール京急)が登板して無失点。5回にはエース亀田が三者凡退に仕留める力投を見せた(試合は2-9の5回コールド負け)。

札幌新陽高校。中学時代に野球で鳴らした選手も多い

 さらに侍との順位決定戦では、7回表に3点奪われて4-3と逆転されるが、その裏、1点加えて4-4に追いつくという粘りも見せた(豪雨のため7回で終了)。

 石井監督は「思っていたよりいい試合をしてくれた」と総括し、「夏の全国大会ではなんとか1勝したい」と意欲を見せた。

 決勝は平成国際大学vs尚美学園大学。
 3-1と平国リードで迎えた6回裏。まず打席に立ったのは平国の九番・笹沼菜奈(日本代表歴2回の投手)。今大会、韓国戦で右中間にランニングホームランを放つほど当たっている彼女は、この時もセンター前にクリーンヒット。なかなか見られない「投手・笹沼」の活躍にベンチが沸く。

 彼女に続けとばかりに濱本監督はヒッティングを指示し、二番打者の二塁打、三番打者のレフトフライで笹沼がホームを踏み、4-1。最終回は1点返されるも、最後は5→4→3のゲッツーで尚美を仕留め、平成国際大学がこの大会4回目の優勝を決めた。ちなみに笹沼選手の打率は10割。誰もが認める優勝の立役者だった。

どのチームもレベルが上がっているなか、決勝は関東の雄、平成国際大学と尚美学園大学に 優勝した平成国際大学の皆さん こちらは至学館大学vsHIU(平成国際大学)戦。1-0でHIUの勝ち

「今大会は北海道初の高校チームや、ホーネッツ・レディースの金(由起子)選手とのつながりで韓国チームが参加するなど、画期的な大会になりました。尚美学園大学や至学館大学が来てくれるなど、この大会の認知度が高まっていることもうれしいです。これからも国内外のチームと交流しながら、北海道の女子硬式野球を育てていきたいと思います」(NPO法人 北海道ベースボールクラブ、高橋一彦ゼネラルマネージャー)

 最後に、今韓国では約40チームが活動しており、国内大会の整備も進んでいるそうだ。今回来日したのはその中の1チームで、平成国際大学に0-20で敗れたが、韓国の女子野球熱の高まりを感じさせる参戦だった。

※大会結果 → 
※写真提供/ホーネッツ・レディース、平成国際大学、札幌新陽高校


熊本の県立高校に県内2つ目の女子硬式野球部が誕生!(2017年7月14日)

甲佐高校。硬式では2つ目、軟式もふくめると県下で3つ目の高校女子野球部となる。

 秀岳館高校に続き、来年4月、熊本県に2つ目の高校硬式野球部ができることになった。名乗りを上げたのは県立甲佐(こうさ)高校だ。
 同校は県立高校では珍しいクライミング部を立ち上げるなど、進取の気性に富んだ学校として知られているが、実現すれば、室戸高校(高知県)、佐伯高校(広島県)に続く、全国3つ目の県立高校野球部ということになる。

 元々野球熱の高い県のこと、女子野球も06年誕生の熊本暴れん坊ガールズ(小中学生)の活動とともに拡大し、近年は高校で硬式野球をやりたいといって県外の学校に進学する選手が急増していた。 
 そんな様子を見ていた甲佐高校の教員が、県内でその夢をかなえられないものかと考え、創部に動いたのである。指導は硬式野球経験がある男性教員が行う予定だ。

 とはいえ、創部までにはいくつかの課題がある。まず県立であるため、県外の選手の受け入れが簡単ではないことだ。これまで室戸高校も佐伯高校も、この「県外枠」を獲得するために、県と交渉して特例を作ってもらうなどしてきた。
 しかし熊本県には「5%枠」なるものが存在し、募集人数の5%までなら県外の選手が入学できるのだという。甲佐高校は当面、この枠を活用して県外生の獲得に努めていく。

男子と共用するグラウンド

 寮はないが、甲佐町や地域住民の協力を得ながら、住環境を整えるという。グラウンドは1つしかないため、練習は男子野球部と一緒に行う予定だ。熊本市内からバスで40分ほどかかるが、そのハンデは原付通学(16歳になると許可される)で解消したいという。また将来的には、数年後に完成予定の町営野球場も使用する予定だ。

「本校のスローガンは『オンリーワン』です。熊本における高校女子硬式野球のパイオニアとして、自らの可能性を切り開き、ぜひともオンリーワンの人生を送ってください。学校としては、将来的に女子野球や野球界全体の発展に寄与することのできる人材の育成や、グラウンドで身につけた礼儀やマナーを実践できる人材の育成も目指します。
 この甲佐の地から、一緒に女子硬式野球の輪を広げましょう!」(山下由美校長)

 創部後は地元シニアやボーイズ、高校や大学女子硬式野球部と練習試合をしながら、各種女子大会に出場するという。

 県立高校で野球をするという、男子では当たり前のことが未だにできていない女子野球界。でもこうした熱意ある学校の登場で、現状が変わっていくに違いない。野球が大好きな中学生は、オープンスクールに足を運んではいかがだろうか。

オープンスクール(体験入学)/7月29日(土)9時~(受付開始8時半)。
 要申し込み。ただし締切後も問い合わせには対応。
問い合わせ先/096-234-0041(甲佐高校、担当・馬本竜司先生)
県立甲佐高校ホームページhttp://sh.higo.ed.jp/kousa/

※写真提供/甲佐高校


仙台の通信制高校に女子硬式野球部誕生。楽天野球団と共同運営(2017年7月14日)

 昨年、硬式野球部が北北海道代表として夏の甲子園大会に出場したクラーク記念国際高校が、来春、女子硬式野球部を作ることになった。同校は全国に63のキャンパスをもつ通信制の高校で、女子硬式野球部を作るのは仙台キャンパスだ。東北初の高校女子硬式野球部の誕生である。

 さらに㈱楽天野球団が指導者を派遣するということも、大きな話題になっている。NPBの球団のなかには女子学童大会を主催したり(読売巨人軍)、関東や関西のリーグ戦を後援したり(読売巨人軍、阪神タイガース)している例があるが、学校と共同運営という形で高校生の指導に乗り出すのは、楽天野球団が初めてだ。

仙台キャンパス外観

 創部の動きは、東日本大震災後に松木幸弘仙台キャンパス長が、野球に取り組んでいる女子選手が東北にいることを知ったことに始まるという。さらに中学以降、野球を断念する選手が多いことから、高校として女子硬式野球部を作り、東北の女子野球を活性化させようと思ったのだという。

「楽天野球団さんに協力を求めたのは、今までにない女子硬式野球選手の育成システムを作りたかったからです。楽天野球団にはプロ野球だけでなく、小中学生の指導部門(楽天イーグルスアカデミー)があるため、高校との連携が可能だと思いました」(松木キャンパス長)

 野球をやりたい生徒は、来春仙台キャンパスに新設されるスポーツコース女子硬式野球専攻に入学し、一般の教科と硬式野球を学んでいく。その概要は以下だ。
■入学資格…中学卒業の資格を有し、高校生に該当する年齢(15~18歳)であること。他県の人も入学可能。
■学校生活…週5日登校(全日型)。
午前中は通常授業(国語、数学、英語などの一般科目)。単位取得のためにレポート提出も行う(インターネットを活用した家庭学習として)。
午後は楽天イーグルスアカデミーから派遣された山﨑隆広監督の指導の下、硬式野球の練習。
専用グラウンドがないため、他校のグラウンドや楽天野球団が所有する野球場、トレーニングルームを使用する。また女子寮として、提携する学生会館を利用予定だ。
■楽天野球団との役割分担…授業内の怪我やトラブル、グラウンドの手配は学校が全責任を負う。
楽天野球団は指導者を派遣し、練習施設の貸し出しなどの面でも協力する。
大まかには、技術指導は楽天野球団、生徒指導やスケジュール管理は学校という分担だ。

「本校で一番大切にしているのは『自分に自信をもつ』ということ、そして野球を通じた人間形成です。高校時代、好きなことに目いっぱい取り組むことで自分に自信をもち、成功や失敗を繰り返しながら一人の人間として成長していくと思っています。
 またプロの指導を受けることで、技術だけでなく、一つのことを突き詰めるという姿勢も学んでくれると考えています」(同)

 将来指導者やトレーナー、女子プロ野球選手などを目指す人も応援したいという。ちなみに昨年甲子園に出場した男子硬式野球部員の進路は、環太平洋大学、札幌学院大学、愛知東邦大学、同朋大学、大阪商業大学、帝塚山大学、独立リーグ高知ファイティングドッグスなどだそうだ。

■楽天野球団からのメッセージ■

 協力を決めた背景として、昨年新設された日本野球協議会(プロとアマが協力して野球の振興を図る組織で、その中には女子部会もある)で、女性委員の方から女子野球の状況報告を聞いていたことがあります。プロとして何かお手伝いができないかと思っていたため、学校からの打診を受けて、すぐに協力を決めました。

 監督を務める山﨑隆広(40歳)は元東北楽天ゴールデンイーグルスの外野手で、現在は楽天イーグルスアカデミーのジュニアコーチです。毎年年末に行われている12球団ジュニアトーナメントでは、監督とコーチを2回ずつ務めるなど指導実績は充分で、「育てて戦う」なら山﨑が最適だろうと判断しました。また小学生のときにソフトボールをやっていて、女子ソフトボールスクールの指導経験があることも起用の決め手になりました。
 
 とはいえ、女子野球の指導のノウハウはないため、有識者に相談しながら指導をしていければと思っています。

 プロの技術指導の理論は実にシンプルです。まずは基本の技術をしっかり身に着け、応用はそれからというのが、その考えです。女子高校生たちにも、大切な部分を凝縮して教えていきたいと思っています。

問い合わせ先/022-791-3222(仙台キャンパス、担当・渡邊 崇)
学校説明&体験練習会/8月5日(土) 10時~、東北文化学園大学茂庭グラウンド
            8月13日(日) 10時~、koboパーク宮城室内練習場
            山﨑監督が直接指導。要予約
クラーク記念国際高校仙台キャンパス ホームページ
 https://www.clark.ed.jp/tohoku/sendai/news/?page=1#57239

※写真提供/クラーク記念国際高校仙台キャンパス


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